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デスパラ=神として転生したオジサンは下界でパイ作り職人を目指す=  作者: 流転小石
第1章 異世界的紆余曲折
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第25話 密会

両国の会議を自室で観察していたディバルは、予選の選考方法を考えていた。


「お呼びでしょうか、ディバルシス様」

「何度もすまないな、バレンティア」

「お声が掛かれば即座に馳せ参じます」

「街の周りに簡易的な闘技場と言うか予選を行う場所を作って欲しい。職種の数だけだから十カ所だ。あと城壁は居るか?」

「承知しました。どちらもお望みとあらば即座に御作り致します」

「ではそうしてくれ。それとな、適当な場所に会議室を作って欲しい。適当と言っても帝国と王国の中間だ」

「承知しました。即座にご用意いたします。闘技場と街は既に完成しておりますが、精霊魔法で隠してあります」

「なるほど。隠蔽じゃモノが大きすぎて隠せないか」

「おっしゃる通りでございます」

「じゃスクリーバかウルサに解除させれば良いな」

「はい」




ほどなくしてスクリーバとウルサから会議室の座標が魔人王と聖魔王に連絡が入り、魔人王は事前に打ち合わせをして特定の人物と会う事となった。


王国城と帝国城の間には森と平原が広がっており、丁度中間に簡易な石作りの建物を用意したバレンティアだ。

簡易と言っても、会議室を挟むように転移室が二つ有り、出入口に窓と天井は存在しない。

壁は有に10mもの高さで、外見は塔の様に見えた。


先に転移して会議室で待っていたのは聖魔王ことアスラとパルビルブラにメガモナスだ。

「しかし聖魔王様、我らに合わせたい人物とは一体何者なのですか? 今回の戦いに何か関係が有ると?」

「そう答えを急くでないメガモナスよ。陛下のお考えで我らに説明してくださるのだからな」

「確かにそうなんだが、わざわざ転移の魔法まで使ってよぉ、話してくれたら良い物を」

「俺の話よりお前たちが見た方が早いと思ったからさ。そろそろ現れる時間だが・・・」

すると前方に見える扉が開き、二人の人物が現れた。


パルビルブラとメガモナスは二人を凝視しているが、解らないようだった。

基本的に上位の魔物は角が生えているので、角無しの段階で人族には興味を示さない二人だ。

そんな二人の前に立つ男が野太い声で言い放った。

「ワシがフォルティス帝国の帝王、いや魔人王と呼ばれておるティマイオス・コクシエラ・バーネッティだ」

その声を耳にした瞬間、聞き覚えのある声に反応したが、話の内容に驚愕する二人だ。

「な、何いいぃぃぃぃっ!!!」

「なんとっ!!」

「馬鹿な!! その名を語るとは貴様は何者だぁ!!」

メガモナスが激昂する。


「何を怒っているのだファニ。まさかカル爺も解らんか? じゃ我が隣にいる者も解らぬのではないか」

「私も解らないの? 帝国では筆頭宮廷魔導士のゾフィ・ロドコッカスよ。本当に解らない? 髪の色が変わって角が無いだけじゃない」


パルビルブラは大きな口を開けて驚いていた。

メガモナスも同様で指をさしパクパクと何かを言いたそうだった。


「二人を驚かせたようだな」

「陛下!! 我らに説明を」

「貴様ぁ!! てっきり死んだものだと・・・」

メガモナスは感極まっていた。

「クロストリジウムと同じなのさパルビルブラ」

「!!!っ」

その言葉を即座に理解した老龍だ。

「まさか、進化したと・・・しかもロドコッカスもじゃとぉ」

「どういう事だ、パルビルブラ」

「ふむ、察する所。御二方は既にクエルノ族では無いな」

「何ぃぃぃぃ!」

「いちいち大声を出すなファニ」

「貴様は本当に・・・バーネッティなのか?」

「ファニよ。このティティが信じられぬと?」

それは幼馴染しか知らない呼び名だった。

((ティティって・・・可愛い・・・))


「俺とパルビルブラはクロストリジウムが進化した時に立ち会ったが、それよりも先にこの二人は進化していたのさ」

「それは聖魔王様もでしょうか?」

パルビルブラの問いかけに、うなづくアスラ。


「一体どうなってやがんだぁ!! 何故お前が人族の王になってやがる。ロドコッカスもだ。納得のいく説明をしてもらおうでは無いか」

激昂のメガモナスだが、パルビルブラは冷静だ。


「まぁ、一言で言うと色々あってな、そんな事よりこれからの事だ」

「誤魔化すんじゃねぇ!!」

「まぁ追々と教えるが・・・仕方がない。ワシは以前の十倍は強くなった。そしてアスラはワシと同等の力を持つ信頼できる男だ」

「むぅ・・・」

元魔王の強さは良く知っているメガモナスだ。

幼い頃から常に自分より一歩先の強さを示すバーネッティに嫉妬もしていたが認めていた男だった。


「では何故お前が人族の王なのだ」

「だから色々と有るのだ」

「その色々を言わないと解らんだろうが」

「仕方ないなぁ。メガモナスが理由を知りたいなら、俺と勝負して勝ったら教えてやるよ」

「クッ・・・」

現在のメガモナスでは聖魔王には勝てないし、王国の誰もが単騎で打ち勝つことは不可能だと認識されていた。

聖魔王の説明は”教えない”と同義だった。


情報も地位も金も異性も力を示す事で優位になる王国のやり方だ。


「だけどさぁ、こう考えたらどうだメガモナス。消息不明だった元魔王が人族の王となって支配していた・・・それって魔物側の勝ちだよな」

「「!!っ おおおっ!!」」

「なるほど、聖魔王様のおっしゃる通りでございますなぁ」

「まぁ、真実を知ればその様に見えるが、我らはこの事を隠している。そして今回の事で王国側に我らの名が知られてしまう」

「なるほど、我らに打ち明けられたのは、王国側の調整ですな」

「その通りだ、パルビルブラ。そして我らはお前たちと敵対関係にあるぞ」

「むっ・・・なるほど。闘技場では代理戦争だが、お互いの立場が有ると言う訳だな」

「そうだ。選りすぐりの戦士を投入し自治王を我が国から出す予定だ」

「そんな訳で俺達の国から自治王に成るべき者を選ばないといけない訳さ」

「クククククッ・・・ワァッハッハッハァァ」

魔人王と聖魔王の掛け合いにメガモナスは大笑いする。

その表情を見て呆れたパルビルブラだ。

「全く、お二人は面白い事を考えるものよ」


「じゃ二人とも理解してくれたようだから、改めて命令しよう。帝王ティマイオス・コクシエラ・バーネッティと宮廷魔導士のゾフィ・ロドコッカスは人族側であり、似た名前の魔物も過去に存在したが偶然同じ名前だったと言い張れ。この事は聖魔女リオを含めた六人だけの秘密とする」

「「御意」」

聖魔王アスラの指示に従う配下の二人だった。



「質問が有る」

メガモナスからだ。

「帝王と話す機会は有るか?」

「内容にもよるが、さっきの件は駄目だぞ」

魔人王から釘を刺された。

「解っとる。単に話がしたいだけだ。まぁ、そっちの情報も知りたいしな」

「教える訳が無いが、貴様が話せば考えてやるぞ」

「・・・良いだろう」

「「クククッ・・・」」

どうやら既に二人の騙し合いが始まっているようだ。


「俺が知りうる限り闘技場では専用の部屋が有るらしいから、日時を決めれば大丈夫じゃないか?」

「そうだったな。まだ現地は見てないが既に完成していると聞いたからな」

「じゃ、合同会議の後で観に行くのはどうかしら?」

「まぁ、別行動の方が良いと思うがな」

「そうね・・・」

「では明後日にでも会議を開くか。ワシ等も早く闘技場を見たいしな」


両国では不穏な動きは無いのかなぁ?

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