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デスパラ=神として転生したオジサンは下界でパイ作り職人を目指す=  作者: 流転小石
第1章 異世界的紆余曲折
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Alius fabula Pars20 隠された国

ディバルの計画は順調で、物語の中心となる人物たちは既に存在して邂逅を待つだけだ。

対して敵対する勢力はこれから教育すれば良い訳で、テトラに子供達を全員住まわせての教育をメイド達にも活躍してもらうつもりだ。


大いなる目的は”世界の為に神が望んでいる”からだと教育し、座学と実戦はスクリーバとウルサにメイドが担当し、生活様式全般をメイドが教える予定だ。


基本的に丸投げだが精霊王の二体が付き添わなくともディバルには影の護衛が付いている。

シニストラとデクストラだ。

常に距離を置き、問題が起きた際には即座に駆け付けて処理する役目を持っている。

本来は”それ”すら必要無いと思っているディバルは次の目的地を告げた。



「次はカルバラリアに行ってみたいけど、どうだ?」

「は、しばしお時間を賜り準備いたします」

スクリーバが待てと言ってきた。

「ん? どう言う事だ?」

「は、この国のエルフたちは外界との接触を拒んでおります」

「以前何か有ったのか?」

「いえ、昔からの仕来りでして、研究に明け暮れております」

「バレンティアは知ってるのか?」

「そのような話は過去に無かったと思われます」

(もしかして・・・忘れてんのか?)

「エルフってラソンの眷属だよな?」

「はっ」

(一度戻って確かめて来るか・・・いや、向こうの大陸に居るかも知れないな)





場所は変わり、ディバルの居る大陸とは違う別の大陸にある巨大国家で、獣王国バリエンテの王城にある塔の一室に居を構える一人の男に念話が有った。

(あーコラソン、聞こえるか?)

(は、はいっ!!)

その念話の(ぬし)に驚いて飛び上がったコラソンだ。


(ディバルだが、ラソンと連絡とりたい。どうすれば良い?)

コラソンにとっては可笑しな質問だった。

何故なら直接念話すれば良いのに態々自分に念話するのだから。

(何か問題が生じましたでしょうか?)

(いやぁ、こっちでもエルフがひっそりと住んでいるらしくてさ、外と交流が無いらしくて理由が有れば知りたかったのさ)

(畏まりました。直ちにラソンを向かわせましょう)

(あぁ頼む)

「ふぅ・・・一体何をお考えなのか・・・いや、愚問だな。ラソンを呼ぼう」


コラソンに呼び出されて訪れたラソンに説明してディバルの元へ向かうように指示した。


「えぇぇ、私一人でですかぁ?」

「勿論だ。ディバルシス様の仰せだ」

「はぁ~い」

ラソンにしてみれば気の無い返事だった。



転移で向かうラソンだが、そもそも転移は転移先の座標を把握して無いと出来ないが、テトラマトンの場所は大体分かるので、近くに転移して飛んで行けば良いのである。



ディバルの館の入り口で、訪問を知らせる金属板を叩くラソン。

暫くするとメイドが扉を開けた。

「ようこそ、お越しいただきました、ラソン様」

「ディバルシス様に呼ばれたの。何処に行けば良いの? 案内して頂戴」

「畏まりました」


ティバルの執務室に案内されると、待っていたのはスクリーバとウルサも同席していた。

スクリーバから事情を聴き、質問に答えるラソンだ。


「我が眷属の神であらせられるアルブマ様からの指示で、テネブリス様と合同で開発された魔法の研究と検証を実地しておりました」

「ああぁ、なるほど。あの魔法か」

その魔法の存在は一部の龍種しか存在を知らされていないが、納得するディバルを見て改めて創造神を認識したラソンだ。


「何で外界と断絶してるんだ? それに魔法は既に完成してるだろ? 今は何してんだ?」

「はい、以前この大陸での実験の際に失敗した経緯が有りまして、甚大な被害を出してしまい、研究自体を隔離した場所で行い実証しております。今も続けているのは、かの魔法の精密さと精度の研究をしております」

「なるほど・・・発動の簡素化と、より正確に作用する為か」

「おっしゃる通りでございます」

「そうか、じゃ訪問してもダメか・・・」

「・・・ディバルシス様はかの地で何かされるのでしょうか?」

「いや。只の散歩だ。見て歩くだけさ。土地の物を食べて風景を見て現地の者達と会話したりな。それに俺がアルブマ達の邪魔をする訳が無い」

「解りました。それではわたくしと同行であれば問題ございません」

「そうか、じゃスクリーバとウルサは子供たちを頼むな」

「はっ、我が風体であれば、かの地に入る事は出来ますまい。しかし、デクストラとシニストラであれば従者の代わりとして同行する事を希望します」


獣人の体なので自分の代わりにエルフに似たホムンクルスを護衛として同行させたいウルサだ。

そこにスクリーバも同行したいと言い出した。

「私めが一緒だから大丈夫では無いか?」

「いや、今回はデクストラとシニストラだけにしようと思う」

「二人にはまだ早いのではないでしょうか」

「大丈夫だ。ラソンも居るし、いずれ二人だけにするつもりだったが、それが今になっただけだ」

「「・・・畏まりました」」


時期尚早と思ったスクリーバとウルサは、この後デクストラとシニストラに厳重な注意事項と心得(こころえ)を伝授することにした。

当たり前だが身を挺して守り抜く意思であり、どのような手段を講じても主人に不快な思いさせない気配りであった。

ただディバル本人にとっては面倒で、はた迷惑な内容だ。

ディバルの目的は、自由にこの世界を楽しむ事なのだから。





新しい体を与えられた子供たちには、ほぼ知識の無い状態なのでディバルとスクリーバとウルサが相談して個別の特殊魔法以外にも、基礎となる魔法や大陸の知識をプリインストールした。

最低限の言語や世界の知識を教える事も面倒だからだ。

子供たちは基本的に全体受講と全体訓練に、班別訓練と二班合同訓練を行っていく予定だ。

とは言え、元となる魂が幼すぎる者が四人いる。


四悪のレピデウス・ガラマとゼニキュラータ・ダンバーに、四死のラクタス・トリシュナーとフラジリス・ラティだ。

身体が大人でも魂は五歳児なのだから。

もっとも他も大体十歳前後の魂なのでスクリーバとウルサが考案した戦闘訓練は身体が慣れるまでは少しずつ行う様に釘を刺すディバルだ。

何故なら異様に二人が興奮していたからだ。


「我らにお任せあれ」

「最強の部隊を育て上げましょうぞ」

(いや・・・部隊じゃないし。この子達には好きに暴れさせたいのだが・・・)


四罪四凶班は、たどたどしくも急速に体の扱いも慣れて知識を吸収していった。

四悪四死班は、半分が五歳児の魂なのでメイドの保育付で始まったが、兄弟や仲間の支えも有り真似をする事で必死に付いて覚えようとしている。



暫くするとスクリーバとウルサから四罪四凶班に重要な説明があった。

「お前たちは弱い。どれだけ訓練しても”今のまま”では弱すぎるのだ」

「そこでアルジ様がお前たちに力を貸し与えると申された」

「喜べ。お前たちに至高の力を使えるようになる」

「だがな、その力を振るう姿は人から見れば恐ろしい姿なのだ」

「我の様な獣人も居れば、もっと恐ろしい姿の者も出てくるだろう」

「しかぁぁし、お前たちのやるべきことは何だ?」

「「「・・・」」」

「まさか忘れたわけでは無いだろうな」

「お前たちの本来の姿を・・・」

「あの、今にも死にそうな幼い姿を忘れたのかぁあぁぁ!!」

ウルサの怒号が響いた。


「忘れる訳がない!!」

「そうだ!!」

「俺たちは復讐を誓ったんだ」

「絶対に許さないわ」

「皆殺しなするんだから」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

無言の者も、コブシを作りその瞳には激しい憎悪が燃えていた。

子供達には七日に一度、元の姿を見せられてスクリーバとウルサから愚かな人族の話しと、救いの手を差し伸べたディバルへの信仰を刷り込んでいた。


「ふむ。それで良い」

「ではお前たちに与える力の元となる姿を見せよう」

それぞれに手渡された本当の姿が映っている魔導念写をもらった。

「すっげぇ」

「なんか可愛くない」

「私もよ」

「おおぉ、強そうだよなぁ」

「私・・・飛べるのかなぁ」

「えっ、蛇!?」

「おぉ羽生えてるし」

「・・・」


ディバルの予想とは違い、好評の様だった。

本人たちは今の変身した人の姿が、本来の姿だと思い込んでいるからだ。


「その姿になれば今よりも遥かに強くなれるだろうが、お前たちの魂が体に付いて行かなくなる」

「したがって、今は訓練あるのみ」

身体は大人だが魂が子供の数人が問いかけてきた。

「あのぉ・・・どの位強くなりますか?」

「魔法とか使えますか?」

「ふむ。お前たちが全員魔法を使っての相手をするとなると・・・面倒だな」

「よぉぉぉぉし、やるぞぉぉぉぉ!!」

「俺もだぁぁぁ!」


気の早い男たちが燃えていた。




ディバルが向かうのは、山々に囲まれたエルフの小国カルバラリアで城下町ゲニキュラータだ。


エルフ、エロフ・・・

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