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デスパラ=神として転生したオジサンは下界でパイ作り職人を目指す=  作者: 流転小石
第1章 異世界的紆余曲折
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第17話 それぞれの反省会

ある日の帝国で行われた会議において、帝王の何気ない質問に枢密院の五人は驚いた。

「ところで貴公達、前回の魔物達との戦争では何が敗因だと思うか?」


枢密院は前回の戦争後に各方面からの意見を寄せ合って帝国内の戦乱前後の全容を把握していて、五人は戸惑いながらも教皇が代表して説明した。


「幾つかございますが、一つ目は先帝の無謀ともいえる強引な戦略でしょうな。二つ目は魔王国の戦力を見誤った事でしょう。これは生き残った者達から聞き取った事でして、想像を絶する強い魔物達が居たようで、多くの兵士たちの命が失われました。三つ目は戦力不足でしょうか、結果から申し上げれば帝国の戦力をもってしても微力だった訳で、同盟国らに協力を要請していれば結果も変わっていたかもしれません」


実際の所、元魔王も戦況は前半しか報告を知らず、後半になると王国も総出で対処していたので今初めて知った帝国の内情だった。


「冒険者たちは参戦しなかったのか? ヴォルフガング」

「はっ、基本的に冒険者は国家の戦争には加担しない約束事が有りますが、魔王国との戦さに関しては報奨金を出して希望者の参戦を許可しました」

「それは魔物だからか?」

「確かにそれも理由の一つですが先帝からの勅命が有りまして、報奨金がかなり良かったので参戦した者もそれなりにおります」

「ふむ、何人ほどだ」

「ざっと100人程ですが、帰って来たものは二十人を下回っております」

「報酬を出したのか?」

「いえ、国に問い合わせておりますが、何も連絡は有りません」

「解った。手配させよう」

「ありがとうございます陛下」


「他に意見は無いか? クーバー将軍はどうだ」

「はっ、私が悔やまれるのは貴方様があの場に居なかった事でしょうか」

「それは、意味の無い其方の希望的見解であろう」

「しかしながら、もしも次回が有れば陛下とロドコッカス宮廷魔法大臣がいらっしゃる限り必ず我らの勝利に間違いないでしょうな」

「馬鹿者、お前は帝国に災いを(もたら)す者か!!」

「い、いえ、決してそのような事はございません」

「陛下、クーバー将軍も陛下の御力を知っての希望的観測をされたのでしょう」

「猊下、その通りでございます」

「まぁ良い。ワシは王国とは今後戦争は起こらないと予測するがな」

「ほぉ、それはまた、どうしてでしょうか?」


教皇も驚き全員の注目を集めたが、強引に話題を変える帝王だ。


「それは・・・(かん)だ。話は変わるがこの王城はもう少し綺麗にはならないのか?」

「そう申されると言う事は城内が汚い訳ですか?」

「まぁ教会と比べるとな。しかし帝国の城がこれほど老朽化しているとは思わなかったぞ」

「陛下、全て先帝の政治でございます」

「まさか自分の棲家や親族の住まいを豪華にしているのか?」

「おっしゃる通りでございます」

「ふむ、全て取り壊して没収した財宝も城の改築の費用に充てるが良い」

「畏まりました」


王国の城も同様だが、帝国の城も石を積み上げた物で、内装も石で出来ている。

大きな四角い石は土台や支柱に多く使われて、内装は普通に丸い石が多数使われ、木造は梁と扉や窓に使われていた。

廊下は平らな石を並べ、壁は小ぶりで丸い石を積み上げ、天井は木材を梁とした石灰や粘土を利用したものだ。

全ての梁は石や漆喰で隠されて、これらは火事を想定して作られている。

全ては先人達の知恵で、過去に火事や火責めで全焼した経験が現在に反映されているからだ。





ある日の王国で行われた会議において、聖魔王の何気ない質問に答える元老院の五大老だ。

「ところでお前達、前回の人族達との戦争では何が敗因だと思う?」

「武力では我らが勝利していた」

「如何にも。大挙する人間どもを皆殺しにして撤退させたのだからな」

メガモナスとノーザが優位性を主張するも、メガモナスが現実を突きつける。

「しかし、我らが軍兵もかなり戦死しておる」

するとノーザが愚痴をこぼした。

「もう少し早く龍軍が来ていれば、もっと優位になっていたものを・・・」

「む、それは今となっては仕方あるまい。我が不在な時を狙って攻めてきたのかも知れんしな」

「まさか、我が軍に間者が居ると言うのか?」

「それは解らん。しかし城と我らの住まう山とは距離が有るのは仕方の無い事よ」

「全くだ。悔やんでも悔やみきれん」


「だが、軍は押し返したが魔王様が滅せられたのであれば敗北と言えよう」

ココディリロ族の代表バチルスの一言が他の大老たちに無念の思いを蘇らせた。

「貴様は参戦せずよくも抜け抜けとその様な事が言えるのぉ」

顔面をヒクヒクさせながら怒りを抑えてメガモナスが嫌味を言う。

「我らは水場が主戦場であれば、歴代の魔王様と水場のみの参戦を盟約にしておるのは皆も知っておろう」

「まぁ待て、聖魔王様は敗因を我らに聞かれておるのだぞ」

パルビルブラが場を制した。


「軍の構成に戦術と戦略がなっとらんからだろう」

ドワーフ族のシュードが王国の敗因を指摘した。

「我らは他種族国家だ。それぞれが強力な種族であるが故に共闘する事は過去に無かったのが事実だ。しかしながら力では劣る人族に城攻めされるなど、それぞれの種族が慢心していたのだろうなぁ」

「「「・・・」」」

全員が思う事が有りシュードの指摘に沈黙した。

「それは先代の魔王も同じだったのではないか? だからこそ俺がこの場に居るのだから」

「「「・・・」」」


聖魔王の一言に、ぐぅの根も出ない元老院だ。

そもそもドワーフは国を持っていて龍族の住む山の中に王国を作っていた。

時の魔王から武器の取引と不可侵の同盟を結ぶ盟約を交わし現在に至っている。


そこに聖魔女リオが意見を放つ。

「女の身でありますが、皆さまに提言して宜しいでしょうか」

「我らに性別の差は無い。好きに申されよ、聖魔女殿」

「ではお言葉に甘えて、新たに取り決められた王国闘技大会、技能闘技大会、そして十二の闘技大会で勝ち抜いた強者(つわもの)達の中から希望者を聖魔王様の親衛隊にするのはどうでしょうか?」

「おおっ、それは良い考えだ!!」

「もしくは王国闘技大会、技能闘技大会の上位三名が任命されるとか」

「どちらも良案だな。如何なる場合も絶えず陛下の側に仕え安全を第一に考える者達か」

「半年、もしくは一年で交替性にするのか?」

「では定員制にして二年で交替であれば、絶えず指導する者と新たな者の組み合わせが出来よう」

元老院が次々に意見を述べると、最終案をパルビルブラが示した。


「聖魔女様、他にも指摘が有れば申されよ」

「・・・これは聖魔王様とお話ししていた事ですが、軍隊の編成は種族別ではなく、能力別で組み分ける方が良いと考えていました」

「ほぉ、それはどの様な能力なのかお聞かせくださいますか」

「聖魔王様のお考えでは大まかに歩兵、重歩兵、弓兵、魔法兵、特殊能力兵、騎兵、空軍、偵察兵、連絡兵、整備兵、補給兵、治療兵に分けることが出来ます。それぞれの部隊を組み合わせたり、単独小隊を配置したりする事で効果的に殲滅する事も可能だと思われます」

全員が腕組みで思案中だ。


「例えば一般的な獣人と人族が百人ずつの対戦だとします。人族は重歩兵二十人の後ろに特殊能力兵(毒矢や麻痺攻撃)と弓兵と魔法兵を二十人ずつ配置して歩兵の二十人を、衝突と同時に前に移動させます」

眼を瞑り、腕を組んで考えていたノーザが呟いた。

「あまり面白い展開では無いな」


「では獣人の強みは何でしょうか、個々の素早さと強力な肉体による爪と牙攻撃だと思いますが・・・」

「その通りだ」

「でも鉄の盾には爪も通さず敵の魔法攻撃に屈してしまいます。しかし、他種族との共闘でこんな敵も簡単に蹴散らす事が可能でしょう」

「どこの種族だ」

「まぁ種族ではなく能力ですよ。魔法でも良いですしね。人族の重歩兵二十人も魔法には太刀打ちできません。敵の特殊能力には騎兵や治療兵が必須です。そして弓兵には素早さで圧倒する獣人族に分が有るでしょう。このように、敵の編成を予測出来れば死亡者を減らして勝利する事も可能だと考えていました」

「しかしそれは予測であろう? それでは組み分けも出来ないし不可能だ」

「まぁその為の空軍であり偵察兵ですよ。陸と空からの偵察で敵の規模を特定し、戦闘中も絶えず偵察しながら軍を動かせば、温存している兵たちも効果的に力を発揮できるでしょう」

全員が沈黙で思考している。


「まぁ戦闘訓練はした方が良いな。リオに協力してくれるかパルビルブラ」

「はっ、仰せのままに」

「ところで話は変わるけど、城内は掃除とかしないのか?」




魔王城の印象。

元勇者と元聖女の二人が感じた印象は、とにかく汚いだ。

決してお世辞にも綺麗とは言えない薄汚れた床、壁、天井が松明で揺れる灯りで恐怖感をそそられるものだった。


就任した夜に、まずは謁見の間を浄化した二人だ。

次に魔王の部屋だ。

そしてリオ専用の部屋も同じく浄化した。


「魔物に浄化したらどうなるかしら?」

「多分大丈夫じゃないかな?」

「攻撃魔法じゃないし、アンデットなんていないだろ?」

「一応確かめてから浄化した方が良さそうだな」




「みんな気付いてるか分からないけど、この部屋と謁見の間も浄化して綺麗にしたんだぜ」

「なっ、浄化ですとぉ」

「そう言われてみれば・・・」

全員が辺りを見回し、巨大な円卓が綺麗になっている事に気づいた。


「しかし、綺麗な城など必要でしょうか?」

魔物であるノーザがもっともらしい意見を放った。


「俺は王国の者であれば、指定の許可を得て誰でも城に入れるようにしたいと思っている」

「「「・・・」」」

「王城に来た者達は城内を見てどう思うだろう? すれちがう強者を見てどう感じるだろう? あんな凄い人たちの様に頑張ろうと子供たちに見えるのではないかなぁ」

「「「・・・」」」

「それが汚い城を見たらどんなにガッカリするだろうな」

「「「・・・」」

「お前たち強者が居る憧れの城に勤める事を目標にする子供たちのも増えると思うけどなぁ」

「・・・清掃員を構成しましょう」

「賛成する」

「「賛成・・・」」」

「じゃ手っ取り早く俺とリオで城全体を浄化するよ」

「なっ、城を全部ですとぉぉ」

「ああ、浄化魔法使うから死んでしまったりしないよな? まさかアンデットなんて居る?」

「死霊使いなら居るので避難させましょう」

「あぁやっぱり居たのか、聞いてよかったなリオ」


反省するのは誰?

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