5話 謎の男現る
今ゴブリンに囲まれて、非常にピンチである、多数のゴブリンがジリジリと距離を詰めてきている。
「あ、あ、あ・・・。」
オレはカ○ナシみたいな声しか出なくなった。
「佐藤くん、ワタシが突っ込むからその隙に逃げて。」
「そんなこと、できませんよ・・・。」
ゴブリンたちが一斉に距離を詰めてきた、遂に終わりかと思ったその瞬間、ゴブリンたちに弓の雨がり、ゴブリンたちは半数が倒れた。
「な、なんで弓が・・・。」
その直後、号令とともに大勢の人間の男たちが突っ込んできて残りのゴブリンたちを殲滅した。
『君たち、大丈夫か!?』
1人の男がオレたちの近くに寄って来た、その男は鎧を纏い、剣を携えている。兵士だろうか、それも少し位の高そうな感じがする。
「あっ、えっと・・・。」
「ありがとうございます!どなたか存じませんが、助かりました。」
オレがしどろもどろになっているところ、サキエさんがすかさず返事をしてくれた。
『いやいや、無事でなによりだ。あとは我々で対処するから安心してくれ!それにしても、先ほどの君の棒術なかなか素晴らしかった。』
「いえ、それほどでもないですわ。って、さっきの見てたんですか?だったら早く助けてくれれば、良かったのに・・・。」
『ははは、すまない。我々の役目はゴブリンの群れの殲滅、あそこで我々が出ていけばゴブリンは仲間を連れてくることもなく、どこかに逃げていってしまうと思ってな。』
「ワタシたちを囮ににしたってことですか?」
サキエさんは少しムッとしている。
『だから謝っているのだ、あとでお礼もさせてもらうよ。それに君の強さを見て大丈夫だと思ったのもある、あの棒術、どこかの貴族のお嬢様か名のある冒険者とお見受けしたが‥。』
「お嬢様・・・いえ、そんな普通の平民ですわ。佐藤くん、ワタシのこと貴族のお嬢様だって!」
サキエさんは、すごく嬉しそうにしている。
いつも営業先でもこんな感じになる。本来ならば、オレが話を進めなければいけないのに、なぜかサキエさんとお客さんが話の中心になって、オレは話にも入れず相槌をうって、愛想笑いをしているだけ。今回もこの兵士とサキエさんが話をしていて、オレは相手にもされてない。
「隊長!ゴブリンの殲滅を確認しました。」
1人の兵士が駆けつけてきた。どうやら、ゴブリンの殲滅が完了したらしい、オレたちはあの絶望的状況から助かったのだ。
『ところで、2人は何故こんなところで野宿をしていた?冒険者にしては、武器も持ってないしな。』
「話せば長ーくなるんです。どこか、近くの町にでも送っていただけると、お話もしやすいのですけど・・・。」
さすがはサキエさん、早速交渉に入っている、オレにはこの図々しさはマネができない。ここからの話はサキエさんに任せよう、オレには出来ることがない。
「!?」
後ろを振り向くと、一匹のゴブリンが弓を構えていた。打つ気だ!
「古川さん!うしろ!」
オレは人生で初めて叫んだが、遅かった・・・矢はすでに放たれた。
もうダメだと思った、その時オレの足下が光ると同時にサキエさんの背後に土の壁が出来て矢を防いだ。
そして、すぐさま兵士がゴブリンにトドメをさした。
「な、何だ今のは・・・?」
オレは訳もわからず固まっていた。
『少年、キミはギフトスキル持ち"ギフテッド"だったのか・・・。』
ギフテッド?隊長と呼ばれていた男はオレに対してそう言った。