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24話 奴隷の正体

 目覚めたオレたちは奴隷のいる馬小屋に行くと、あることに気づいた。奴隷の1人がいないのだ。

 

 『なっなんで奴隷が1匹いないんだーーー』

 

 ほかの奴隷たちは奴隷同士が鎖に繋がれたままだった。

 

 『おい、お前ら!あいつはどこに行った?』

 

 「夜中に鎖を引きちぎって出ていった。それは一瞬の出来事でワタシたちにはどうしようも出来なかった・・・」

 

 1人の奴隷が答えた。

 

 『ぐぬぬ、鎖を引きちぎっただと・・・アイツそんなこと出来たのか』

 

 アハブーは頭を抱え悩んでいる。奴隷に逃げられては商人としてのし尿を失うことになる。

 

 『冒険者の皆さん、お願いです!奴隷探しを手伝ってくれませんか!?もし見つけていただいたら報酬を倍出しますので』

 

 アハブーは奴隷を探すようにオレたちに依頼をしてきた。

 

 「どうします?古川さん」

 

 「そうね、まぁ、依頼の一環ではあるからやってもいいけど・・・」

 

 あまり気乗りはしない。奴隷商人の護衛ならばともかく奴隷を見つけて捕まえるというのは奴隷狩りのような気分がして嫌気がさす。

 

 『お願いします!ワタシは奴隷を10人連れていくと商会に約束してしまったんだ!このままでは信笑いものになってしまう・・・』

 

 「そ、そうですか・・・まぁ、お受けしますわ」

 

 「ふむ、あまり気乗りしませんが、やりましょうか。」

 

 オレたちは3手に分かれて奴隷を探すことにした。

 

 オレは森の中、サキエさんは村をクラディウスさんは来た道を戻って探すことにした。

 

 奴隷商人曰く足枷を付けているからそんなに遠くには行けないとのこと。

  

 「・・・とは言ったものも、こんな森の中どう探せばいいんだ」

 

 オレは森の中を捜索している。森には魔物がいるらしく、ギフテッドならば、なんとかなるだろうということで森の捜索を任された。

 

 「お~い、奴隷さん・・・いたら返事してくださーい」

 

 返事などあるわけがない。返事をするくらいなら逃げたりはしないだろう。

 

 歩き続けて2時間くらい経っただろうか、お昼までには戻らなくてはならないからそろそろ戻らなくては。

 

 「そろそろ戻るか・・・」

 

 がさっ!!

  

 「えっ!なんだ!?」

 

 木の向こうで何か音がした。

 

 「なんだ~?もしかしたら奴隷さんかな?」

 

 オレは恐る恐る、音のした方に歩いて行った。すると、木の向こうから何かが飛んできた。

 

 「おわっ!」

 

 球だ!オレは驚きしりもちをついた。

 

 「だっ誰だ!?」

 

 木の向こうから1人の男が現れた。

 

 その男は足に鎖がついている。逃げた奴隷だ。

 

 「あっ!」

 

 「貴様、あの奴隷商人の仲間の1人だな?」

 

 「えっ!?いや、そういえばそうですけど、そうじゃないとも・・・」

 

 「消すしかないか・・・」

 

 その男の手の平から空気が圧縮されたような球が出現した。

  

 「ちょっちょっと待って!話をきいてく」

 

 「問答無用!」

 

 その空気弾はオレに向かって放たれた。

 

 オレは土を盛り上げて、壁を作りガードしたが、土の壁が半分ほど抉れた。

 

 「あぶねー・・・本当に殺す気だな」

 

 「なんだコイツの魔法は?」

 

 男はさらに空気弾を生成。オレに目掛けて撃ちまくる。

 

 オレは土壁を生成し続けガードをした。

  

 「ちょっと!いい加減に撃つのを辞めてくれませんか!?」

 

 「オレを捕らえに来たものに対して反撃をして何が悪い!?」

 

 「あ~もう!すみません少し反撃します!」

 

 オレは男の足元の土を避けて落とし穴を生成。男はその落とし穴に見事に落ちた。穴は3メートルほどにしておいたので、出ることはできない。

 

 「ふ~・・・これで一安心」

 

 「くそおぉぉぉーーっ!人間め!またしてもこんな卑劣な手で捕まえようとは!」

 

 人間め?どういうことだ?

 

 「あの~アナタ人間じゃないんですか?」

 

 「ぶっ殺してやる!?」

 

 聞いちゃいない・・・

 

 「は~一か八かだな」 

 

 オレは落とし穴を盛り上げて、男を地上に出した。

 

 「なっ貴様!?何をしている?」

 

 男は驚いている様子だ。

 

 「いや、オレは正直アナタを捕まえる気は無いんだ。捕まえて来いとは言われているけどさ・・・」

 

 「・・・信用しろと?」

 

 「はい、逃げてもいいですよ。ボクも追う気は無いんで。あの商人には適当に嘘をついておきます」


 「・・・すまない」

 

 「いや、人間が人間を買うなんて良くないですよ」

 

 「・・・人間ではない」

 

 「人間じゃない?」

 

 オレはさっきの”人間め”という言葉が気になっていた。

 

 「エルフだ」

 

 エルフ!あのエルフだと!確かに尖った耳、透き通るような金髪の髪だ・・・。

 

 「どうした?なぜガッカリしている?」

 

 せっかく異世界に来たというのに出会ったエルフが男なんて・・・残酷すぎる。

 

 「いえ、こちらの事情がありまして・・・でもエルフっているんですね、初めて見ました。」

 

 「だろうな。エルフはこのあたりにない」

 

 「・・・じゃぁ、何でこんなところで奴隷なんて?」

 

 「北の国の人間がオレたちの故郷を見つけ、子供を人質に取り大人子供をさらっていった・・・そしてこの国に奴隷として流れ着いた」

 

 「そんなひどい」

 

 「あぁ、貴様ら人間は意地汚く、自然の声を聴くこともしない。だから平気で弱者を蹂躙し、森を壊しオレたちの住処を奪う」

 

 「・・・」

 

 オレはそれを聞いて何も言えなくなった。

 

 「人間よ、オレはこのまま逃げてもいいのだな?」

 

 「はい・・・でもどうするんですか?このままじゃ、また人間に捕まるんじゃ?」

 

 「・・・弟がつかまっているんだ、人間社会に溶け込み子供を探し助け出す」

 

 「そんな・・・そんなのムリですよ」

 

 「貴様はムリだからと、自分の兄弟を見捨てるのか?」

 

 「いや、そんなことはしないけど・・・いくらなんでも無謀すぎる」

 

 「無謀は承知!それでもやるのだ!」

 

 「いや、そんな風に突っ走っても、弟さんは救えないと・・・」

 

 「考えなど無駄だ!命尽きるまで探し続けるのみ!」

 

 「いや、だから・・・」

 

 「人間には分からぬ!」

 

 「・・・」

 

 「もう止めるな!」

 

 「だったら、ボクたちと一緒に来ませんか?」

 

 「えっ・・・?」

 

 オレはエルフのあまりに無謀な行いを見かねて、気づけば某海賊マンガの主人公みたいなことを言い放っていた・・・。

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