2話 憧れの女上司と死んでしまった
オレ佐藤タカシはひょんなことから憧れの上司古川サキエさんと同じ部屋で1晩を過ごすこととなった。そして、オレたちは10階の部屋に向かっている。
「は~、このホテルなんか汚いわね。良く言えばレトロなんだけど・・。」
「そっそうですね。エレベーターマニアがレトロなエレベーターを目当てに泊りに来るくらいレトロなホテルらしいです。」
「ふーん、やっぱり佐藤くんって、そういうマニアックな話が好きなの?」
「いっいえ、これはネット情報です。」
「佐藤くん、ネットの情報もいいけど、営業ってのはお客さんから生きた情報をもらうことが大切なの、ネットでは得ることができない情報に価値があって・・・」
サキエさんはすぐに説教モードに入るが、またこれもいい。
そして、オレたちは件のエレベーターの前に着いた。
「ねぇ、これ大丈夫なの?」
「さすがに大丈夫じゃないですか?」
エレベーターがあまりにもボロイ・・マニアが喜ぶわけだ。
「ワタシ階段で行くわ。」
サキエさんはそう言い残し横の階段を昇って行った。オレは、10階のボタンを押してエレベーターを待つこととした。
(おっそいエレベーターだな・・・)
「佐藤くん!やっぱりエレベーターに乗るわ!階段にはゴキブリがたくさんいてムリ!」
「古川さん、ムシ苦手なんですか?」
「ゴキブリはムシの中でも特別なのよ!」
結局2人でエレベーターに乗った。
ごぉぉぉーーん、ごごごっ
きゅるるる
すごい音がする・・・ロープが老朽化しているんじゃないのか。
「おっそいエレベーターね・・。」
しばらく気まずい空気が流れ、エレベーターが静止した。
「10階についたのかしら?」
その時、事件が起きた。エレベーターがものすごいスピードで下へ落下を始めた。
「えっヤダ!これ落ちてるわ!」
「古川さん!」
「そんな佐藤くんと一緒に死ぬなんて・・・」
そして、エレベーターは10階から1階まで落下。轟音がホテル中に鳴り響きオレたちは地面にたたきつけられ、死んだ。