16話 旅立ち
オレたちは旅の必需品や衣類、食料を買って(サキエさんに借金)準備をしていた。
「サトウ様、サキエどの、こちらをご覧ください。この周辺の国の地図です。」
旅立つにあたって、地図があると便利だと言ってクラディウスさんが持ってきてくれたのだ。
「佐藤くん、この地図をワタシはどこかで見たことあるわ・・・。」
「少し、ザックリですけど、これは地中海周辺の地図ですね・・・。驚きました。ボクたちの世界と同じなのかもしれないですね。」
オレは大学時代、クイズ研究サークルに所属していたので、地理、歴史には少し自信がある。
「お2人の世界と同じなのですか?それはまた面白い話ですな。」
「クラディウスさん、ルガール王国はどこですか?」
「我が国はここですね。」
ルガール王国は北アフリカのモロッコの辺りだった。
「古川さん、ここはモロッコです。」
「モロッコってどこ?」
「モロッコはアフリカ北部にある国で、ヨーロッパに最も近いアフリカの国、首都はラバト、人口は・・・」
「もういいわ!佐藤くん。」
「あっすみません・・・。」
オレはついつい知識でマウントを取りたがる癖があり、特に女性に知識を披露するときはそれが加速する。高校時代に隣の席の女の子にこれをやらかして、ドン引きされた。
「で、クラディウスさん、フランツ王国ってのはどこかしら?」
「こちらですね。」
フランスのあたりだ。
「フランスだ。ということは北に向かって、ジブラルタル海峡を渡り、イベリア半島で経由して・・・。」
「何を1人でブツブツ言ってるのかしら・・・?」
「サトウ様、行きますよ。海峡の港まで歩いて1週間ほどかかります。」
「あっはい!」
「ふふ、楽しみだわ。」
こうして、オレたちは都を出て、北へ向かう。