12話 決闘の末に
サキエさんは武器を木剣から薙刀へと変えた。
「サトウ様、あの武器は何というのですか?」
「あれはナギナタと言います。我が国に古来からある武器です。」
「刃が反っているのですね・・・この辺の国では見たことがありません。」
「浅い知識ですが、反っているほうが斬りやすいらしいです。」
「ほー勉強になりますね。」
そして、決闘が再開された。
今度は相手から突っ込み、ランスで突いてきた。
その瞬間、ここにいる全員が歓声を上げた。
サキエさんは突きに合わせて突き返し。相手のランスの軌道逸らして自分の突きを当てるという神業をやってのけた。
刃が相手の肩に刺さる。
「ぎやああああぁぁぁーーーーいてぇ!」
相手は悲痛の叫びをあげた。
「すっすげーなんだ今のテクニック!」
「姉ちゃん、かわいい顔して、あんなにすごかったのか!」
ギャラリーもサキエさんの業に沸き上がる。
サキエさんは追撃を辞めない、そのまま、スネを斬り、手を斬り相手の動きを殺した。
「もっもうやめてくれ!参った降参だサキエ!!!」
相手は泣きながら降参した。それを聞いてサキエさんは手をようやく休めた。
「立会の人?ワタシの勝ちでいいかしら?」
『はっはい。勝者フルカワ・サキエ!』
こうして、決闘はサキエさんの勝利に終わった。
「はー良かった・・・。」
オレはホッとして胸をなでおろす。
サキエさんの周りには人がいっぱい集まっており、讃えているもの、残念がっているもの様々だ。
(この世界でも人気者なんだな、あの人は・・・。)
サキエさんに会うために来たのだが、みんなから囲まれているサキエさんを見ていると、少し気が引けてきてしまった。この世に馴染めず、寂しかったのはオレだけで、この世界に馴染んだサキエさんはオレのことなどもう気にもしてないんじゃないかと・・・。
しかし、弱気になっているところを世話係さんが一押ししてくれた。
「サトウ様、話しかけないのですか?」
「・・・話しかけます。」
もう自分のやりたいと思ったことに対して、逃げないと誓ったのだ。オレは勇気を出して、サキエさんのほうに歩いて行った。
「古川さん!」
サキエさんはオレの声に気づいてこっちを見た。
「佐藤くん・・・。」
オレはサキエさんの顔を見た途端に涙がこぼれ落ちた。