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11話 決闘

 サキエさんと冒険者の男は訓練場に立った。

 

 「姉ちゃんいいぞーー」

 「へへへ奴隷になったらオレにも貸してくれよ!」

 

 ギャラリーも勝手なことを言っている。

 

 「ほんと底辺冒険者はクズばっかですね。」

 

 「まぁ、あまり好ましい方々ではありませんね。」

 

 サキエさんと男の真ん中にギルドの関係者が立ち、決闘を取り仕切る。

 

 『両者、お互いの条件に異論はありませんね!』

 

 「「はい!」」

 

 『戦いの神オディーリアに誓いを捧げ、この決闘を行います。』

 

 男は手を組み空に祈りを捧げた。サキエさんもそれを見てマネをする。

 

 『それでは、両者、構えて。』

 

 2人は武器を抜いた。


 『開始!!』

 

 サキエさんは合図と同時に突っ込んだ。木剣を叩き込みにいく。

 

 それに対し、男はランスを振り回す。

 

 サキエさんは後ろに飛んで避けたが、そこに追撃が来る、それを何とか木剣で受け太刀。

 

 「ほーあのサキエという女性、強いですな。」

 

 「世話係さん分かるんですか?」

 

 「えー私も剣が趣味でしたからね。素晴らしいフットワークと剣捌きだ、木剣で鋼のランスを受けたら折れるはずだが、うまく力を逃がしている。」

 

 「大丈夫ですよね?」

 

 「うーん、それでも厳しいかもしれませんね。木剣と鋼のランスではリーチも質も相手が有利すぎる。彼女の地力があってこそ渡り合っているだけです。」

 

 「武器・・・そうだ!世話係さんちょっと、こっちに。」

 

 サキエさんは懐に踏み込めずにいる。相手はランスを薙ぎ、下がれば突く。これの繰り返しで、サキエさんを苦しめる。

 

 木剣は軋み。今にも折れそうになっている。

 

 「ははは、サキエ!木剣が折れそうだぞ!それそれっ」

 

 ランスを振り回す。

 

 「く~こんな突きも下手、ランスを振り回しているだけのド素人相手でもこんなボロ剣だとキツイわね。ボロ剣捨ててもいいけどパワーじゃ勝てないしな・・・。」

  

 そして遂に木剣が折れた。

 

 「ははは、サキエ!剣が折れたな、降参しろ!」

 

 「はっ?降参なんかするわけないでしょ、下手くそ。」


 「あのおばさんホントムカつく!もう殺しちゃえ!」

 

 「おいおい物騒なことを言うな、神が見ているんだぞ。だから、神への見世物としていたぶってやる・・・。」


 サキエさんのピンチだ。オレはギフトスキルを使って”あるもの”を作っていた。

 

 (これさえあれば、サキエさんは負けないはず)

 

 そして訓練場を見ると、サキエさんは避けるばかりで防戦一方だった。オレは急いで仕上げ、渡しに2人の戦いの中に向かった。

 

 「古川さん!これを受け取ってください!」

 

 オレはあるものを投げた。この”薙刀(なぎなた)”を。

 

 「はっ佐藤くん?てゆーか、何でこんなもの・・。」

 

 驚きながらもサキエさんは薙刀を拾った。

 

 「ちょっと!おばさん武器を取り換えるなんて反則よ!」

 「なんだあの武器、見たことねーぞ。」

 「棒の先に曲がった剣がついてる。」

 

 「・・・立会人の人、武器を途中で変えるのは反則なのかしら?」

 

 「いえ、前例がありませんので、何とも・・。」

 

 決闘の途中で武器を外野から渡されるのは、援助という形になるかもしれない。少し考えが甘かったかだろうか。

 

 「反則に決まっているだろう!武器を外野から渡されるなんてのは!」

 

 やはり相手の男は反則だと言ってきた。その通りなのだが・・・。

  

 しかし、サキエさんは何やら考え付いたのか、笑った。そして、まさかの行動に出る。

 

 「ここにいる皆さん!ワタシがこの武器を使う許可をくれたら負けた時の条件をつけ足します。ここにいるみんなでワタシを好きにしてもらっても構いません!!」

 

 「なっ!サキエさん何を言って!?」

 

 「うおおおおお!」

 「許可!許可!きょーか!きょーか!」

 

 ギャラリーから許可コールが沸き上がる。

 

 「なっなによ!おばさんなんかに欲情して!」

 

 「ちっ!これは許可しないとオレがみんなに殺されるな・・・。まぁ、盛り上がること大好きだし、いっか。」

 

 相手の男も武器の使用を許可した。

 

 「ありがと。さてと、たっぷり後悔させてやるわ。」

 

 サキエさんは笑った。

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