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プロローグ

 久しぶりの連載です。周りが頑張ってるので毎日更新目指すつもりです。

駄文ですが、よろしくお願いします。

 思えば退屈な人生だったと思う。生まれは一般的な家庭、ごく普通に学校へ通いごく普通に友達を持ち、ごく普通に仕事をした。結婚はしなかったが恋人がいたこともあった。最期は出張中に墜落事故で死亡。死因はあんまないことかもしれないけれど特に突出したことのない人生だった。あれ、なんでこんなこと考えているんだろう……。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺が目を覚ました時にまず感じたことを背中の痛みと激しい空腹感だった。身体を動かすのが億劫になるが我慢して目を開けるとそこは暗闇だった。しかし、わずかな月の光が空から隙間を縫うように差し込んでおり、どこかの森であることは想像できた。


「やあ、目が覚めたかい。」


声が聞こえた。妙に懐かしい響きだった。まだ朧げな意識を覚醒させようと身体を起こそうとするがその前に声の主は俺の顔を覗き込んだ。その顔に見覚えはあった。その顔は数年前に謎の死を遂げた姉と瓜二つであった。


「どうだい?気分は。ちょっと色々弄らせて貰ったんだけど。」


「貴様は何者だ。」


咄嗟に俺は身体を起こし距離を取った。

顔が瓜二つでも目の前のそいつが姉でないことは口調から明らかだった。敬虔な教徒であった姉はどんな時でも口調を崩すことはなかったし、何より自らの目で死体を拝み埋葬した人物がこの場にいることがあり得ない。


「警戒しないで?なんて言わないけどするだけ無駄だと思うなぁ。」


「ッ……」


そいつは俺が言葉を発する前に後ろから俺の肩を叩いた。詰めたというよりも元々その場に存在したかのようにすら感じた。


「君にはどうしようもない状況ってわかったところで、さっきの質問だ。気分はどうだい?動きを見るに身体の方は問題ないようだけど。」


「貴様という存在だけが気がかりだ。」


俺は吐き捨てるように言った。背後を取らた状態をどうにかすることが先決だったが、先ほどの出鱈目な移動がこいつの異能だとすれば厄介極まりないため動くにも動けない。


「ふーん?もしかして記憶がはっきりしてないのかな?ボクのことなんか考えているほど君の心に余裕はないはずなんだけど。」


「なに?」


記憶という言葉を意識した瞬間、頭に痛みが走り同時に頭の中をミキサーにかけられたような最悪の感覚が襲っていた。俺は耐え切れず膝をついた。


痛みは長くは続かなかった。


そして、俺は思い出した。俺は裏切られたのだと。親友であり、国を変えようと約束した王に。裏切られて火炙りにされそうになったところを逃げ出してきたことを。


「どうやら思い出してくれたみたいだね。そう、君は、アルセイド・ウォー・マルスは裏切られたんだ。国を変えるって誓いあって協力してきた王、シャルル・ミザエル・レムナント3世にね。」


その通りだった。なぜこいつが知っているのか理解できなかったが、それは事実だ。

俺は裏切られた。幼きとき、俺、姉のエトラ、そして当時王子であったシャルは国を変えることを誓った。そのために3人で協力してきた。エトラが途中で謎の死を遂げ、2人になっても志を持ち続けて行動してきた。しかし、シャルが王になり権力の地盤ができたところで俺はシャルを支えるために嫌々使い続けてきた異能を使えることを密告され裁判かけられ火刑が言い渡された。異能がシャルが知らないことから密告も裁判も茶番で俺を消すためのことは一目瞭然で俺は裏切られたことを知ったわけだ。


「さて、記憶も思い出してくれたみたいだし、まずは自己紹介でもしようか。君にどう聞こえるかは分からないけれどボクは悪魔だよ。」


「悪魔……?」


「“悪魔”か。なるほど、確かに君にとってはそうかもしれないね。ならボクは悪魔。悪魔だ。君の復讐を手助けする者だよ。」


悪魔と名乗ったこいつはの前に立ち笑みを浮かべた。


「復讐だと?」


「あれ?しないのかい?君今凄い表情しているよ。怒りの形相ってやつさ。記憶を取り戻してからずっと表情金が張りっぱなしさ。分からないなら見ているといいよ。」


そう言った悪魔の手には元々持っていたかのように鏡があり、俺の顔を映していた。俺の顔はかつてない窶れていた。

あまりの酷い顔に俺は笑ったつもりだったが、目は一切笑ってないし、それどころか口角がピクリと動いただけで表情はほぼ変わらず自分の顔の方がよっぽど目の前の自称悪魔より悪魔っぽかった。


「確かに酷い顔だ。どうやら俺自身が思っているよりも俺は憤りを感じているのかもしれない。」


「それじゃあ、復讐もするよね?君がすると言えばボクは君にそのための力をあげるよ。」


「ああ。」


その言葉は意識せずに漏れた。だが、その返事をしたらブラックコーヒーの飲んだ後のように意識がはっきりして、俺は復讐をすることは当たり前のように思えてきた。


「なら決まりだ。」


悪魔はそう言って指を鳴らした。


「これで君の異能を強化した。君の異能は非常に優秀だからね。それに実はもう済ませてたんだけどちょっと知識も増やしておいた。これだけ強化すれば君ならばシャルル・ミザエル・レムナント3世を殺せるはずだよ。」


「待て、異能の強化と知識とは具体的に何を指す?」


「言わなくとも使っていけばわかると思うよ。そのへんの知識も増やしてるからね。じゃあボクはこれで。後は君次第だ。」


自称悪魔はそう言って姿を消した。


「おい、待て!せめてここがどこかだけでも!」


「ああ、言い忘れてたね。ここはラムス王国の禁忌の森。まずはその場でもいいから異能を試すといいよ。」


月が雲に隠れたのか暗闇に包まれた森のどこかから自称悪魔の声が聞こえた。

それ以降、何度か悪魔に呼び掛けたが返事はなかった。


「使えばわかるか……。」


半信半疑であったが他にどうしようもない。夜が明ける気配はないが空腹感が体力を蝕んでいることは確かだった。

 

 異能を使おうと意識した瞬間、頭にすべきことが浮かんだ。


『この地に眠りし者よ。我が力に従い、その身を現せ。』


すると、目の前の地面が盛り上がり大きな熊が姿を現した。地より這い出た熊は土で汚れている様子は見られたものの損傷は見られない。


「なるほど。これならば復讐も可能かもしれない。」


何が何でも復讐を成し遂げるつもりであったが、理性のどこかであった諦観が吹き飛んだ。


 この世界には魔法という便利なものがある。属性分けされた物理的に不可能な事象、奇跡を魔力を代償に起こす能力でおおよそ国の人口の1割に才能があると言われている。もっとも魔法を使える者の大半は生活に役立つ程度で戦争などで用いられるレベルを使える者は限られる上に一人で50人を相手取るがいいところで戦争では強力ではあるが勝敗に影響を与えるほどの力は持たない。

 それに対して、この世界にはもう一つ人智を超えた力が存在する。それが異能である。異能は魔法以上に使える者が少なく、世界に100人とまで言われている。それでいて能力に差は大きい。俺の知るミザール神聖帝国にいる能力者であれば、メト教の聖女は治癒の能力を持ち、四肢の欠損であっても回数制限はあるが治すことができた。宿敵となったシャルに至っては自分に一定以上の信頼を寄せているものを操るというさらに強力な能力を持っている。逆に以前出会った他国の者の異能は1日1つどんな植物でも成長させることができるという使いどころに困るものだった。


話を戻す。俺の持つ異能はネクロマンスだ。この異能は1日3回人間の死体を前で使うことで死者を蘇らせるものだった。ただし蘇った人間は3日後には死体すら残らず消える、蘇った人間は意識を持つが、蘇らせた俺には逆らえないどころか生前嫌っていようと過剰な好意を向けてくる。などデメリットが多かった。

しかし、自称悪魔の言った通り、異能を使ったことで俺の頭の中にはどれくらいのことができるのかなんとなくわかったし、実際強化されたことは目の前で死体を見ずに人間でない者を蘇らせるという異能のデメリットをことごとく破ったことから明らかだった。


「まずは戦力を増やすことだ……。」


しなければならないことはわかっていた。空を見上げる。いつのまにか晴れた空から月の明りが熊を照らした。

ふと何か大事なことを忘れているような気がしたが思い当たらず、雑念を振り払い復讐への1歩を踏み出すことにした。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


遥か天の高みから森を眺める者が居た。


「はあ。無事成功して良かった。異能強化、記憶の偽造、記憶の融合、知識の追加、それに下界に姿を現したこともかな……。流石に力を使いすぎで疲れちゃったや。」


何もない無の空間で豪華な椅子に座り、眼下の森で恐ろしい笑みを浮かべる男を見ていた。


「何はともあれ、あとは上手くいくことを願うばかりだ。シャルル・ミザエル・レムナント3世をこれ以上生かすことは危険すぎるからね。」


天より眺める者にとって眼下の男は駒に過ぎない。


 最初の導入はほぼご都合主義を成り立たせるための設定なので補足しとくと、現代人の記憶が混ざってるって描写です。人格的なものは一切出てこないのであんま気にしないで下さい。


今回の物語のテーマは「なろうの追放」ってジャンルに対するアンチテーゼです。アンチテーゼになってるのか微妙ですが……。でも序盤から中盤までは伏線は入れ続けるつもりですがストレスレスの主人公最強を目指していきます。もし、作者の文章力以外でストレスレスを感じたら感想で教えていただけると幸いです。

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