第6話 俺異世界の言葉分かるのかな!?
光が止み、視界が戻ってきた。
辺りを見回してみればまだ木々が生い茂ってはいるが、人が通った後の様なものが見て取れる。
ここから歩けばそんなに時間は掛からずに人がいるところに着けそうだ。
あ、人に会うんだからこんな恰好はまずいな。
森で暮らしていたって設定なんだから、こんな上等な服やアクセサリーを着けてたら怪しまれる。
それに俺の姿は隠したほうが賢明だ。
こんな美しくて綺麗な美少女なんだから、犯罪とかに巻き込まれそうで怖い。俺自身は大した力を持ってないからな。
そんなこんなで歩き続けて、30分程。
鬱蒼と生い茂っていた森から抜け、まばらに木々が生える程度になったころ、近くから人の話し声が聞こえてきた。
「ーーーーーー」
「ーーーーー! ーーーーーー」
「ーーーーーーーーーーーーーーー。ーーーーーーーーーーーーーーー」
まだ遠くてなんて言っているのかは分からないが、人の声だ。
よしこれでひとまず大丈夫そうだ。
ん? まてよ。人が喋ってる?
あ! お、俺この世界の言語分からないけど大丈夫かな!?
こ、こいうのってお約束で勝手に翻訳されているっていうパターンだよな?
大丈夫だよな? 言葉通じるよな? 通じなかったらどうしよう……。
なんか不安になってきた……。
と、とりあえず話し声がするほうに近づいてみるか。そこで言葉が理解できたなら良し。出来なかったら作戦変更だ。
そうして話し声がするほうに向け歩いて行く。一応ラムは護衛のため出したままだ。
しばらく歩いているとはっきりと声が聞こえてくるまでになった。
「だから……………………! 私は…………だって! 」
「しょうが………………。俺だって…………予想して………………」
「二人とも…………はやめ……。…………危険そうだし……」
はぁー良かった。どうやら言葉は通じるみたいだ。
これで一安心。うん、なら予定通り街を目指すか。
なんか喧嘩してるみたいだけど俺には関係ないから無視無視。
よし気合を入れなおして、出発!
そこからさらに1時間程歩くと完全に木々がなくなり、少し遠目に見れば防壁のようなものが見えた、
うん壁だ。防壁にしてはかなり高いな。
あ、ちなみにラムには戻ってもらった。この辺には意外と人が多く通っていて、万が一にもスライムなんかを連れていたら怖がられたり、馬鹿にされたりしそうだから。
壁に近付けば近付くほど城壁の馬鹿でかさが際立っていた。
大体目安で50mくらい? それどんな巨人?
まぁ、異世界なんだからこのくらいないと魔物とかに破壊されてしまうからだろう。
さてさて中に入るにはどうすればいいんだ?
門みたいなところに立っている兵士? に声をかければいいのかな?
他の人達もそうしてるみたいだし。
二人の兵士に近付き声をかけてみる。
「……あの……」
「どうした?」
「……中に入るには、どうしたらいい……?」
「ん? それなら身分証を見せてくれればいいだけだが?」
こいつは何言ってんだって眼で見られる。
うわー、帰りたくなってきた。だが賽は投げられた。
このまま突き進んで行くしかない!
「……身分証、持って無い……」
そう言った瞬間兵士二人の雰囲気が変わった。不思議そうに見る目から、不審者を見る目へと。
それとなく兵士達はいつでも動けるように身構えている。
「何故身分証を持っていない?」
ここからが正念場だぞ。どこまで通じるか分からないけど行けるところまで行くしかない。
ゴクリと生唾を飲み込み、覚悟を決める。
「……森で暮らしていたから……、人の文化、分からない……」
「森で、暮らしていた……?」
オウム返しに問われたので首を縦に振る。
無駄な事は言うな。俺は久しぶりに人と会話をしている設定なんだから。
ボロが出ないように慎重に。
二人の兵士はお互いに顔を見合わせ、困ったような顔でこちらを見る。
「うーん困ったな……。とりあえず詰所に来てもらえるかな? 別に捕まえたりするわけじゃなくて、事情を聞かせてほいんだ」
それに首を縦に振ることで了解の意思を返す。
「じゃあ着いて来てくれ」
一人の兵士が歩き出したので、俺もそれに着いて行く。
ちなみに作者は英語とか全くできません。
だから技名とは適当になると思います。