第5話 設定はやっぱりテンプレになるよね?
考えるの面倒……。
さて人に出会う前に、少し俺の立ち位置を決めとくか。
どいう内容にしようかな。
記憶喪失?
うーんそれじゃ俺に力があるのがおかしくなるな。
それじゃあ武者修行をしていた?
悪くは無いが、俺みたいな少女がってなるよな。それに修行といっても俺自身は大した力がない。
これだと少し矛盾があるな。
遠い国から来た。
それだとどうやって来たって事になるし、ここに来る前にある程度の知識が無いとおかしい。
うーん迷うな。
常識が無くて、力は強い。
矛盾が無いようにするのは少し無理があるか?
いっそのこと本当の事を言うか?
あ、魔物使いって事なんだから、森とかで暮らしていたというのは自然だよな?
森で迷って、仕方なく森で暮らしていた?
まぁ、悪くない設定だ。
森なんだから魔物なんかも出るだろうし、生きるために強くなったって事で筋は通る。ずっと森で暮らしていたのだから常識が無くて当たり前。
他に問題はあるか?
……ないよな?
ないと信じたい。
あとは俺の性格かな?
一人寂しく森で暮らしていたから、人見知りで、臆病で、言葉が拙くて、疑り深い。でも頑固とした意志がある。
こんなところか?
他にも決めといた方がいい事ってあるか? まぁ、その時その時に考えればいいか。
「森で暮らしていたからよく分からない」とでも言えばその場はなんとかなるだろう。
よし大体決まった。
これだけ険しくて、鬱蒼と生い茂っている森を歩いているのにあまり疲れていない。この体のおかげなんだろうな。
と、そんな時。
『主、近くに魔物の気配がするよ。どうする?』
「そうだな……。人がたくさんいるところまで、あとどれくらいかかりそう?」
『ん、そうだね……このまま歩けば10日くらいで着くと思うよ?』
「え、10日!? そ、そんなに掛かるの?」
『うん、だって主が目覚めた場所ってすっごく秘境みたいだよ? それに主が眠っている間に主から出ていた魔力の所為でここにいる魔物達が強くなっちゃってるみたいだし』
「え、私の所為?」
『そうだね、元凶は主だね。あ、主が目覚めたからと言っても、もうここはダンジョン化しちゃってるからもう元には戻らないと思うけど?』
なんか知らない間にダンジョンを作ちゃったみたい……。
俺の作ったダンジョンで人が死んでも知らんよ。まぁ、ごめんと謝っておくけど。
というか意外とラムの辛辣な言葉が心に刺さるんですが……。
「あ、そういえば魔物は大丈夫?」
『あ! なんかこっちに向かって来てる。倒しちゃう?』
「うん、別に良いよ」
しばらの場で待っていると、近くの木々がへし折れる音が聞こえてきた。
そちらの方に向いてみれば、熊のようなゴリラのような変な生き物がいた。
それも体長4mほどにもなるでかい生物が。
「うわー大きい。私くらいなら一飲みで食べられそう……」
『僕も食べられちゃうのかな?』
「さすがにスライムは食べないんじゃないかな?」
『そっか……。倒しちゃって良いんだよね?』
「うん、よろしく」
『分かった!』
そう言ってラムは身体? から触手を出したと思ったら触手が消えた。と、思ったら熊ゴリラの首が無くなっていた。
それはもう跡形も無く。
綺麗に残った身体がバタンと倒れる。
うわー何が起こったのか分からなかった……。
さすがラム、強い!
『これどうする?』
「一応アイテムボックスに入れとこうかな」
そう言って熊に触れアイテムボックスに入れる。
やっぱり倒しても自動的にアイテムになるわけじゃないんだ。この辺は現実的なのか。
まぁ、これなら肉や皮や爪などは倒した分だけ手に入っていいけどな。
アイテムボックスはチートだな。現実でこんなのあったらバックとかの意味がなくなるな。
「ねぇラム。ここから人がたくさんいるところまで転移出来ない?」
『出来るよ。やる?』
出来るんかい……。
それなら最初からそうすればよかったじゃん。まぉ、今更か。
「それじゃあお願い」
『分かった!』
「あ、ちなみに人がいないとろに転移してね」
『うん、人がたくさんいる所の近くで、人がいない所だね?』
「そう、お願いね?」
『任せて!』
そう言って光に包まれるのだった。