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最強の魔物使い〜すみません、私の魔物知りませんか!〜  作者: 漆原 黒野
第1章 戦乱の森
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第37話 アレは俺がやらなければ……!

 

 森から現れた「ソレ」はあまりにも歪で、この世のものとは思えないほど醜くかった。

 素体は人間のような形だが、手足が何本もあり、目が全身にあった。体高も15mもある。

 その生物は様々な生物の特徴を宿していて、顔と思われる部分がいくつもあり、それはクマやトラ、ドラゴン、ヘビ、アリだったり、各所部位には象の鼻やドラゴンの翼、蛇の尻尾、所々に木や土が生えていた。

 色も赤や黒、青、緑などの様々な色合いをしている。

 それを視認した瞬間俺は飛び出していた。


(あいつは俺がやらなくては……)


 驚くことに飛び出した俺についてくる者がいた。

 チラリと横目で見て見れば、そこには刀を腰に差した一人の男。


 驚きはしたもののそれは一瞬。

 意識を前のあいつに戻す。


 アレがなんなのかは分からない。

 そもそもアレは生物とは到底思えない。

 だが実際に動いているし、殺気がビンビンと感じる。


 駄目だ。

 あいつは存在しちゃいけない。

 この世にいていい存在ではない。

 俺の勘が言っている。


 でもなんで俺は飛び出したのだろうか?

 普通なら俺は無関心を貫いていたはずだ。

 いくら”ユキ”のステータスだからといって、使役している魔物を使わずに俺自身でなんとか出来るものでもない。


 俺は正義のヒーローでもなければ英雄でもない。

 そんなのはどこぞの勇者がやれば良い。

 俺は楽しく異世界を満喫したいだけなのに。


 こんな危険を冒す必要なんて無いはずなのに。

 それでも足が前へへと出る。


 アレは俺が倒す。

 本能が訴えかけてくる。


 俺はそれを止められない。止めたくない。

 だって(ユキ)は最強なんだから。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 前を行くユキとかいうやつを見る。


(……魔法使いが、俺と同じ速さだと……)


 いくら全力ではないとはいえ、近接特化の俺、SSSランクに並みの強さの俺と魔法特化のこいつが同じ速さで走れるわけがない。

 だが事実、今前を歩むのは魔法使いの少女だった。


(……何者なんだ、マジで……)


 とりあえずそのことは一旦頭の隅に追いやり、目の前の敵を見つめる。


 スライムの様にべちゃべちゃと身体を(うごめ)かしながら、這うように移動する化け物。

 いくつもの生物の特徴を備え付け、この世のものとは思えないその姿。

 だが俺はその正体に心当たりがあった。


『融合生命体』

 ソレ単体ではなにもできない、いわゆるプランクトンというものだ。

 未だ解明も正体も何も分からない謎の生命体。

 だがその性質だけは知られている。


 名前の通りだが『融合生命体』とは”触れたものを自身の力に変える”という性質を持つ生命体だ。

 それは際限なく自身の力に変える。

『キメラ』とは違い、”合体”ではなく、”融合”だ。

『キメラ』は一部の特徴を自身の身体に備え付けるが、『融合生命体』は全ての要素を自身の力に変換するのだ。


 簡単に言えば『融合生命体』は『キメラ』の上位種と言えるのだ。

 事実一部の学者では『キメラ』の変異種という説が唱えられている。


 やつとの距離が500m程になると身体の一部を触手のようにして伸ばしてきた。

 それは一瞬で俺達の所まで迫り、その先端を変化させた。

 鋭い爪、カマキリの刃、蜂の針、はたまた魔物の顔自体などに変わった?

 俺は全ての触手を斬り捨てるつもりで刀に手を添える。

 だが刀を抜く前に前を行くユキが魔力を高め、魔法を編んでいた。


「……飛ばす」


 一言ユキが言う。

 だがそれで十分だ。

 相手の意図を汲取るだけの実力はある。

 逆に無ければここまでは来れないだろう。


 ユキが止まった。

 俺はユキの3歩前に行き、構える。


「……【障壁】【アイスロット】」


 地面が盛り上がり、直径1mほどの氷の棒が飛び出した。

 そう、俺の足元が。

 氷の足元がグングン伸び、俺と奴との距離を縮める。

 襲いかかって来ていた触手は頭上に張られた【障壁】が全て跳ね返していた。


(どんな強度だよ!)


 奴との距離は40m程までに迫った。

 【スプリングジャンプ】で距離を縮めて【烈空斬】を発動しやすいタイミングだ。


「【スプリングジャンプ】」


 先ほどまでより早く化け物との距離が縮まって行く。

 触手の攻撃は続いているが、【障壁】が跳ね返す。


(……決める)


 刀を居合の要領で抜き放つ。


「【烈空斬】!」


 斬撃が飛び、空間を斬りながら突き進み、化け物の身体を上下に斬り裂いた。


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