第31話 疲れたので寝たいです……
魔物達が引き上げていくのを見て、俺は肩の力を抜く。
「ふぅー……。苦し……」
歩くだけで、お腹にたまっているポーションが揺れ、吐き気を催す。
この戦いで飲んだMPポーションの数は20本以上。容量は1本ヤク○トくらいだ。
まぁ合計で1Lくらい飲んだと言えば分かりやすだろう。
ちなみに俺が飲んでいたのは上級ポーションで、値段もそこそこ。ギルド太っ腹!
(もう帰って寝よう……。何も食う気しないし)
俺は街へ向けて歩き出す。
だが歩き出す俺を不思議そうに見つめる視線が一つ。
「どこ行くの?」
「……街に戻って、寝る」
「え、話し合いに参加しないの?」
「……?」
何言ってんだ、この女は?
なんで俺が話し合いに参加しないといけないんだ?
互いに首を傾げ、見つめ合う。
そんな中二人の男達が近付いてきた。
「はぁーやっと寝れる」
「何言ってるんですか。これから色々と話し合うですよ」
「……それ俺いなくても良いよね?」
「……そんなわけないじゃないですか。ブレインさんは最大戦力なんですし」
「つまり戦力があればいいんでしょ? 話し合いはそっちで勝手にやってくれ。じゃあね」
「ちょ、本当に行っちゃうんですか!?」
「もちろん!」
よし、この流れに乗れ!
「……じゃ、私も」
そそくさと俺も逃げる。
面倒ごとはお断り。
疲れた。寝る!
「待ってください。貴方には少し話を聞かせてもらいたいので、一緒に来てください」
「……断っても、いい?」
「駄目です」
駄目だった……。
まぁ、こんな怪しくて実力があるやつを見逃すわけもないか。
俺は大人しく着いて行くことにする。
断って後々めんどくさくなるのは嫌だからな。
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部屋には9人の人間がいた。
男が6、女が3。
あ、俺女だから男5、女4になるのか。
でも精神的には男なんだよな……。
「ねぇ、私達全員ここにいて良いの? 見張りとかに一人くらいいたほうが良いと思うんだけど?」
「大丈夫だろう。Aランクのやつらを20人程見張りにつけてある。それもかなり上位のやつらだ」
「ふーんイスカくらいの実力なら安心かな」
「……」
部屋がピリついた。
イスカの力量不足は周知の事実だ。
だがそれを口にするのはタブーというものだ。
(え、何? なんでピリついてんの? 怖いんだけど!)
表面上は冷静さを装うが、空気の重さには耐えられない。
「……ねぇ、お腹減った……」
うわー、一斉にこっち見た。
迫力がありすぎて、ちびりそう。
「がはは、あれだけの戦闘をしたんだ。腹も減るよな! わはは、俺も減った!」
「……ガラン、もう少し静かにしましょう」
ミカに収められるガラン。
仲良いな。
ギルマスは机に置いてあったベルを鳴らす。
「失礼します」
「ご飯を用意してくれ。二人分でいいか?」
「あ、私も食べたい」
「……」
「俺も……」
「うむ、5人分お願いする」
「……私のは量……少な目で……」
「分かりました」
ふぅー、なんとか部屋の空気を戻すことができたようだ。
さすが俺。
「そういやお前、えーっと確かユキだったか?」
ガランとか言う男がこっちを見ながら聞いてきた。
俺は首を首肯する。
「あの時とは随分と喋り方が違うみたいだけど、なんかあったのか?」
「……別に……これが普通。あれはキャラ作って……喋ってただけ」
まぁ、今の俺もキャラを作っているんですけどね。
「なんでそんなことしてたんだ?」
「……ああした方が……全体的に士気が上がるから……」
「……そんなこと考えてたんだ……」
まぁ、幻滅されてもしょうがないか。
でも俺はやる事やってるからな。
「ねぇ、私も気になってたんだけど、貴方何者なの? あの魔法は人知を超えている」
「……」
あー、やっぱり【ニヴルヘイム】はやり過ぎだったか。
でも人の身では使えないほどなのか?
いやまぁ、ポイントで取ってる俺が言うのもあれだけど。
「言いたくなってことね。別にいいけど」
俺が何も言わないでいると、勝手に納得してくれた。
もちろん言うつもりはなかったけど。
でもなんか俺を見る眼が危ない気がする。
あとガランを止めた女性も同じような、いやそれ以上にヤバい眼をしている気がする。
身体が自然とブルッと震えた。
正直不気味だ……。




