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最強の魔物使い〜すみません、私の魔物知りませんか!〜  作者: 漆原 黒野
第1章 戦乱の森
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第30話 この世界の人達、強すぎない?

 

(うるせぇー)


 さっきから俺の後ろで男女が罵り合っていた。

 やい、怠けものだの。

 やい、破壊女だの。

 やい、剣だけの男だの。

 やい、ガキだの。

 もううるさくてしょうがない。


 男の方はしらんが、女の方の実力はピカイチで、俺より魔物を倒しているため文句の言いようがない。

 攻撃系の魔法だけを言うなら俺より上だ。

 それもそうか。俺が攻撃魔法を覚えたのさっきだしな。

 それに話を聞く限り、女より男の方が強いみたいだし。

 なに、強い奴って変人が多いの? 多そう……。


 そしてもう一人はこちらに近付いてくる魔物を倒すのに忙しくて二人を止められない。

 なにやってんだか。


 ちなみに俺の周りにはいつの間にか、魔法士達が集まっていた。

 なんかここが最終防衛ラインになっている。

 多分、こいつらが居るからだろう。

 結構有名人、てかSSランクらしいしな。


 で、俺は支援をかけ続けている。

 効果が切れる前に新しいのをかける。

 こいうのは途切れないように続けるのが良いのだ。


 魔法を使えば、傍にいるアイテムボックス持ちの人が魔力回復薬(俗に言うMPポーション)を渡してくれる。

 これは俺が「……回復薬欲しいな」と呟いたら、傍に居たバルスとかいう男に聞かれ、ポーションを持ってきてくれるよう計らってくれたのだ。マジ感謝。

 自分のを使っても良かったんだけど、できれば消費したくないからね。

 タダで貰えてラッキー。


 これで俺は魔力切れを起こさず、延々と魔法が使えるのだ。

 でも、そろそろ限界。

 飲めない……。


(もう支援かけなくても平気かな? なんか余裕そうだし……。それに、あそこにいる聖職者っぽいやつ、あいつ回復魔法だけを見たら俺より凄いんじゃね? そんで支援魔法も使えるみたいだし。流石に装備が違いすぎるから効果は俺の方が上みたいだけど)


 〈選ばれし指輪〉の効果で得られるのは、ステータスポイントやスキルポイントであり、協力な魔法を覚えられるわけではない。

 つまり種類が多いだけで、使える魔法の威力や効果は他の者達と遜色ないのだ。

 職業や装備で差はあっても根本的には変わらない。

 まぁ、ユキの場合装備が強すぎるから、他の者達と効果が段違いだが。


(前線で戦っているSランク以上の奴らも常軌を逸している。ぶっちゃけゲームの300LVのやつに引けを取らないくらい強いんだけど……)


 前線で戦っているSランクのやつらは、魔物をちぎっては投げ、投げた後は捻り潰すが如く、その武器でボロ糞にしていた。


(強すぎない……? でも上級のスキルとかは使ってないな。あ、そうか! ゲームと違って自力で入手しないといけないもんな。ゲームのようにポイントを払って「はい、習得」とはならないか。それを考えるとますます俺ってチートだな)


 だが俺は思う。

 ゲームのプレイヤーより強いんじゃね?

 これでSだろ?

 SSSならどれくらい強いんだ?

 ……俺より強いってことは無いよな?


 そんな事を考えていると、森の奥からおどろおどろしい悲鳴のようなものが響き渡り、魔物の群れが割れた。

 その間から悠然とこちらに歩んでくるものがいた。


「おっと俺の出番のようだな」

「さっさと行きなさい、怠け者!」

「へいへい」


 そう言って男の方が前に歩き出す。

 とりあえず支援魔法をかけといた。


「センキュー、これで速く終わらせられる」


 なんかよく分からんが、この男が倒してくれるみたいだ。

 あれ結構強そう。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 正面にいる魔物を見てブレインは思う。


(……あいつに比べれば、弱いな)


 身体の奥底から力が漲ってくる。

 錯覚でもなんでもない。

 あいつがかけた支援魔法のおかげだ。


(すごいな。魔法士としても一流、支援者としても一流か……。それに美人だしな。本当何者なんだ?)


 今考えるのはよそう。

 さて、あの”デットイーター”を倒すとしようか。


 デットイーター、死を喰い荒らすもの。

 見た目は中心に丸い塊があり、そこから細長い糸が漂う魔物。簡単に言ってしまえば複雑に絡まった糸のような魔物だ

 糸一本一本に死の呪いがかけられており、魔力が弱いもの、気力がないものなどは触れた瞬間、その命を奪われる。

 危険度AAAランクの危険な魔物だ。


 俺は腰を屈め、腰に差してある剣の柄を握る。

 距離は大体500ってところか。余裕。


(【スプリングジャンプ】)


 ブレインは屈めた腰をバネのようにして跳ねた。

 それは音を置き去りにした。


 音は、秒速約340m。

 それを置き去りにするということは、ブレインのスピードはそれ以上。

 これが怪物と呼ばれる者達の力の一端。

 まぁ、流石にタメがなければこれほどのスピードは出せないが。


 約1.5秒。それで距離は埋まる。

 だが約1.5秒、それほどの時間があれば魔物も十分に迎撃できる。


 丸い塊から出ている糸のようなものが一斉にブレインへと襲いかかった。

 蜘蛛の巣のように一定の間隔を保ちながら迫ってくる糸。

 だがブレインはそのまま突っ込み、手に添えている剣を居合の要領で抜き放った。


「【烈空斬】」


 剣で斬った軌道が割れた。

 比喩ではなく、まさしく空間が割れたのだ。

 その軌道上にいたデットイーターはもちろん、後ろにあった森さえもその余波を受け、斬り裂かれたのだ。


 空間を斬る斬撃。

 それがブレインの持つ最高の攻撃。

 シンプル故に最強。


 斬り裂かれたデットイーターは溶けるかのように地面に黒い紋様を残して消えて行った。

 デットイーターの呪いはまだ残っており、この黒いシミが付いた地面に触れた瞬間、命を奪われてしまう。

 デットイーターは倒しても、後片付けがめんどくさい魔物で結構有名だ。


 ちなみにデットイーターは丸い塊を斬ったくらいでは死なない。

 では何故ブレインの攻撃で死んだのかと言うと、魔物全ての体内にある”魔石”を斬ったからである。


 素材になる部位も魔石もなくなる強力な魔物。それがデットイーターである。

 一応地面にある黒いシミは、呪いの儀式なんかに使われるらしいが、下手すると自分が死んでしまうため、採取しようとするものはほとんどいない。


 そう、この男はSSランクだが、最もSSSランクに近いと言われる男。

 AAAランクの魔物だろうと、SSSランクの冒険者の前では一撃で倒せる雑魚同然なのだ。

 ……タメが十分で初見殺しのような技だからである。


 同等のランクでも、その差は歴然であり、そこにユキの支援魔法が加わったのだ。負ける方が難しい。


 そんな事を考えていると魔物達が一斉に森へと帰って行った。


「お、なんか引いていくな。とりあえず今日はこれでお終いか……。はぁーやっと寝れる」


 そう言うもブレインの目は森の奥を見つめていた。

 強大な敵を予感して——


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