表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔物使い〜すみません、私の魔物知りませんか!〜  作者: 漆原 黒野
第1章 戦乱の森
27/39

第26話 女神降臨

私は女神。

人々を導く者である。

的な?

 

 そして女神が現れた。

 白銀の髪を(なび)かせ、悠然とこちらを見据える一人の少女。

 天使を思わせる羽衣を纏わせ、それを強調するかのように腕や脚にも似たような装備を身に着け、王者の如くその頭部には冠を着けた、まさに女神のような姿だった。


 さらに、その可憐さを極めかせるかのように、背後にそびえ立つ氷山が少女の君臨を祝福するかのように煌めく。


 その姿に誰もが魅了され、息一つ聞こえない。

 固唾を飲み込み、ただその佇まいを眺めるのみ。


(あぁ、なんと美しい……。これが神に選ばれし者なのですね)


 そうして私、ミカ・セレインは思う。


(なんとういうことでしょ。聖職者になって早15年。これほどまでに貴方様を近くで感じたことはございません。きっと彼女は貴方様が使わせた者なのでしょう。この窮地をお助けなるために。なんと慈悲深いお方。これからも貴方様に忠誠を……)


 と、狂信的な思考のミカであった。

 ちなみに現在27歳である。


 そう祈りを捧げるミカの元に(ユキ)のお告げが告げられる。


「冒険者諸君!」


 その声は驚くほど辺りに響き渡り、人々を魅了した。


「今この都市は危機に陥っている! 魔物の群れが押し寄せ街を破壊しようとしている! だが私は抗う! 私と共に死地に飛び込まんとする勇気ある者は前へ! 人々を救わんとする者は剣を取れ! その手に持つ力を指し示せ! 」


 決然と言い放った女神は杖を天に掲げ、その身に宿る魔力を神に供物を捧げるが如く、天高く昇らせる。

 天高く昇った魔力を代償に魔法陣が現れ、空を覆い尽くした。


 空から光の雨を降り注いだ。

 それに触れた瞬間、身体の奥底から力が湧き上がってきた。

 暖かく、心地良く、包み込まれるようにずっとこうしていたいと思えた。


(まさか! これは【オール・オブ・ブースト】! それも無詠唱で! さらに広範囲に! あ、あり得ない! こんな事ができるなんて、”貴方様”以外にありえない! まさか彼女がそうだと言うの!?)


【オール・オブ・ブースト】、全ステータスを10%UPする支援魔法。支援系の最高峰の魔法である。

 さらにユキの魔法は装備のお陰で全ステータスを82%UPする事が出来る。

 まさにチートだ。


 驚くミカであったがユキの魔法は終わらない。

 立て続けに魔力が天に昇り、魔法陣の形、色が変わる。


 赤、青、黄、緑、紫、白、色鮮やかに、その時その時で形が変わる魔法陣。

 神秘的で幻想的な光景に誰もが見惚れてしまう。


 だがその魔法一つ一つにどれほどまでに力が込められているのか、それを正確に推し量ることの出来る者はいない。

 それでも一つ一つが強力なものだと言うことだけは分かる。

 それをこんな1000人近くもいる人達、全員にかけるなんて……。


(あぁ、なんと美しい……)


 ミカの顔は陶酔しきり、頬はだらしなく緩み、口元からは涎が垂れ流し、眼は狂気に満ち、心臓はドクンッドクンッと鳴り響いていた。


 魔法をかけ終わった女神は悪戯っ子のような笑みを浮かべ言った。


「これが終わったらギルドのお金で宴でもやろうか。もちろん報酬とは別で」


 一拍の間を置き、冒険者達は天へと武器を捧げるが如く、高く上げた。


「「「「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」」」」」」


 辺りに冒険者達の雄たけびが響き渡たる。

 気分良くしたのか、女神が笑顔で言う。


「さぁ、行こうか!」


 少女は前を向き、杖を天に掲げ、勢いよく振り下ろした。

 同時に氷山が崩れていき、魔法の残火が煌びやかに散っていき、その中を冒険者達が駆けていく。


 キラキラと散りゆく残火は美しく、幻想的で、我々に夢を抱かせる。「もしかしたらなんとかなるかもしれない」と。

 それは幻想で現実はもっと残酷だと言われるかもしれない。それでも今この瞬間は夢を見る。その夢を実現しようと武器を手に持ち、走るのだ。


 まさに英雄譚の一ページのように、女神のように美しい一人の少女によって、絶望的な状況から一縷の希望を見出す。


(……私は貴方様が遣わされた彼女に全てを捧げます。どうか私にご加護を……)


 私は祈りを捧げる。

 身も心も、私自身の全てを捧げます。

 その瞬間——


 ドクンッ!


 強く、強く強く心臓が唸った。


 今、世界に芽吹いてはいけない芽が芽吹こうとしていた。


 だがミカはそれに気付かない。

 その先にあるのは破滅か希望か、それはまだ誰にも分からないのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ