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最強の魔物使い〜すみません、私の魔物知りませんか!〜  作者: 漆原 黒野
第1章 戦乱の森
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第23話 戦えない、だと……

 

「……長い」


 俺は1時間近く椅子に座って待っていた。


(いくらなんでも長すぎないか? 早くしないと魔物が来ちゃうぜ?)


 周りも結構集まって来てるし、みんなソワソワしている。

 これじゃ戦う前に変なストレスが溜まるぜ?


 そんなことを思いながら、さらに15分ほど待っていると、テラスから数人が出てきた。

 その時、俺の身体が無意識にぶるっと震えた。


(……この感じ、あそこにいるやつら只者じゃないな……。あ、そう言えばSランク以上のやつを集めていたんだっけ)


 ギルマスが一歩踏み出し声を高らかにあげた。


「今回はここ”一”で迎え撃つ! 報告ではAAAランクが複数体いると思われるため、戦闘に参加する者はCランク以上の者とする。Cランク以下の者は後方支援に徹してもらう。そしてこれは強制依頼でもあるため逃亡、またはそれに準じる行為は禁止とする。魔法使いは開戦直後に自分が使える最大威力の魔法を放ってほしい。その後はAランク以下の魔物を出来るだけ倒してほしい。それ以上のものはここに居るSランク以上の者が倒す。それと回復系アイテムはいつも通り無償で一人10本、あとは無くなり次第に後方に取りに来てくれ。武器なども同様だ。それと今回は緊急を要するため我々ギルド職員も戦闘に参加する。何か質問があるものは私の元に来い! 以上、解散!」


 バラバラと散っていく者や、パーティーメンバーと話し合う冒険者達。

 そんな中俺は……


(え、Cランク以上じゃないと戦闘に参加できないの……? え、それじゃ俺の見せ場ないじゃん!)


 得体のしれない俺が「戦闘に参加させろ」なんて言っても取り合ってくれないだろうし……。

 うーん、言われる前になんかしちゃう?

 いや、それは命令違反では?

 でも面白そうだな。

 利害が一致してるしな。

 ……やっちゃう?


 ユキの妄想は止まらないのだった。

 たちが悪いのがその妄想を実現できてしまう力があるため一概に馬鹿に出来ないことであった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そこは防壁都市から約1ヶ月程離れた距離にある都市『ブブラバ』。

 ブブラバの冒険者ギルドに一人の冒険者が呼び出されていた。


「やぁ、よく来てくれたねクルス君」

「……呼び出されたら来ますよ。それも緊急の用事だとか」

「あぁ、そう緊急だ。単刀直入に言うが、戦乱の森が氾濫した」

「——それは!」

「あぁ、相当強力な魔物が溢れ返っているようだ。それも今回はいつもと違いAAAランクの魔物が複数体確認されている。確認されていないがSランクの魔物もいると思われる。これは現場の判断も同じだ」

「……ヤバイですね」

「あぁ、ヤバイ。そのため至急防壁都市に向かってもらいたい」

「……それは構いませんが……。いいんですか私なんかに依頼して? どう見てもランク違いじゃないですか?」


 そう、クルスのランクはS。

 だがその実力は桁外れだ。

 クルスの力の一端を知るものならば彼女がSSSランクの力を持っているのは有名だ。

 だがそれを知らない者から見れば、何を馬鹿なことをと思われるだろう。

 特に貴族の連中が。

 クルスは貴族との仲が最悪と言ってもいいほどに悪い。実力があっても上へ行けない最もな理由だ。


「構わないとも。これはこの国の存亡に関わるほどの事だからね。誰にも文句など言わせないさ」

「……分かりました。それで移動手段などはどうするんですか?」

「第三防壁までは”ゲート”で送れる。だがその先は君自身の足で行ってもらいたい。馬車なんかよりよっぽど速いからね」


『ゲート』とは魔道具の一種で、ゲート間の行き来ができるのだ。

 つまり転移装置である。


「分かりました。では早速……」

「いや、少し時間がかかる。なんたって防壁都市と繋がっているからね。万が一にも魔族や魔物に使われないように複雑なシステムが組み込まれているんだ。稼働するには丸一日近くかかるらしい。それくらいならば向こうの戦力で持たせることは可能だからね」


 ギルドマスターは立ち上がり、横に置かれていたワゴンをクルスの前まで持ってきた。


「そのため君には万全の状態で行ってもらいたい。こちらで出来うる限りの準備をさせてもらった。好きなアイテムを使いたまえ」

「……ありがとうございます」


 クルスはワゴンに乗っているアイテムを一つ一つ確認するのだった。


忘れている人がいるかもしれませんが、「クルス」とは『序章』の少女の事です。

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