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最強の魔物使い〜すみません、私の魔物知りませんか!〜  作者: 漆原 黒野
第1章 戦乱の森
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第19話 緊急事態のようです

ヤバイよヤバイよ!

 

 ギルドに駆け込んできた人物は肩で息をし、苦しそうに胸を押さえていた。


「はぁ、はぁ、せ、戦乱の森から、魔物が溢れ出した! それも危険度AAAランク級の魔物が複数体確認された! 数は分からないが最低でも1万5000はいる!」


 そう男が発した瞬間、ギルドはにわかに騒がしくなった。


「マジかよ! 危険度AAAランクって言えばSSランクの冒険者と同じレベルだろ!」

「ヤバすぎだろ!」

「戦乱の森にいる魔物が溢れ出したんだろ!? ならB級以上のやつもごまんといるだろ!?」

「どうする!?」

「どうするもなにも逃げるしかないだろ!? 今回のはヤバすぎる!」


 ガヤガヤとそこらじゅうから、声が聞こえてきた。

 そのどれもが「無理だ。逃げよう」などの悲観的なものばかりだ。

 こいうときは誰かしら「武功を上げるチャンスだ!」的ななにかを言う奴がいると思ってたけど、さすがに常軌を逸したことに挑む馬鹿はいなかったようだ。


「さっさと荷物をまとめるぞ!」

「あぁ、こんな大群なんだ。”二”の方に行くに決まってる!」

「馬車を用意しろ!」

「住人を先にしろ!」

「伝えて周れ!」


(……住人を先に逃がそうとするんだ……。意外だな。こんな世界だから我先にと逃げるのかと思ってたよ)


 というかどうすんだ、これ。

 もう収集つかんだろ……。

 そんな俺の確信に近い思いは裏切られることとなった。


「静まれ!」


 それは突然響いた大声。

 一瞬でギルドは静まり返った。


 二階のテラス的な場所から顔を出したのは、これまたごつい顔付きの年寄りだった。

 顔には皺が寄り、頭はほとんど禿げていた。見た感じ70歳を超えているだろう。

 だが、その気迫は老人のものではなかった。

 まさに歴戦の戦士。

 死地を何度も潜り抜けた、猛者の中の猛者。

 そんな気配が肌を通して伝わってきた。


(……強い。レベルで表せば300は超えるだろう……)


 なぜか分かる。

 別に俺は相手の力量が分かるとかそんなことはない。

 でも本能が理解する。させられる。

 多分、身体に精神が引っ張られているんだろう。

 相手の気迫に混じる力量を感じ取り、ある程度の力を見抜いたのだろう。


 それと今更だが、隣にいるギブルとか言うやつも相当なやつだと思う。確証はないけど。


「一体何があった?」


 爺さんは辺りを見回しながら問いかける。


「……ギ、ギルマス!」


 そう声を発したのはギルドに駆け込んだ男性だった。


(へえー、あの老人がギルマスなんだ)


「”ジョン”か。一体何があった?」

「そ、それが! 戦乱の森が氾濫したんだ!」

「……ふむ。数や種類は分かっているのか?」

「数は1万5000ほど! ゴブリンやオーク、オーガ、キラーアント、ダイアウルフなどの”集団魔物”が多い。その中には大型のドラゴン数体や”プリズンマグナム”、”ポイズンガスト”、”デットイーター”、さらに変異種と見られる”サイクロプス”が一体! 他にも強者と見られる魔物が数体いた!」


 それを聞いた者たちは開いた口が開かないと言ったような有様だった。


(知らないやつもいるな……。うーん、でもあれだろ? AAAランクってラムが瞬殺したやつの一個上のランクだろ? まぁ、ラムを引き合いに出すと全部雑魚になるか)


 ギルマスは数瞬考える素振りを見せたが、それは本当に一瞬だった。


「……ジョン、魔物の到着はどれくらいだ?」

「遠くから見た感じだと、早ければ2時間もしないうちに来る!」


 そう、ジョンが言うと同時に、辺りに(おびただ)しい鐘が鳴り響いた。


「……どうやらここからでも見える所まで来たらしいな」


 ギルマスは顎に手をやり1分程考えたのち指示を出し始めた。


「……マリー、緊急依頼と強制依頼を出せ! ミリーと”マシェー”はSランク以上の冒険者を至急集めて俺の部屋に連れてこい! その他の者は物資や他の冒険者などに説明を頼む! というわけだ。ここにいる者たちは装備などを整え直ぐにでも行動できるようにしてくれ! それとジョン、お前も来い!」


 言うだけ言って戻ろうとしたギルマスに声をかけるものがいた。


「ちょ、ちょっとギルマス! ”二”の方に行かないのか!?」

「……AAAランクがいるんだぞ、それが散り散りになられたらもっとヤバいだろうが。それをさせないための”一”だろうが。”二”の方には連絡して増援ができそうなら送ってもらう。一応言っておくが逃げ出そうものなら、重罪だからな?」


 返事を聞くことなく、奥へと消えていくギルマス。

 ギルマスが消えた後はそれはもう動物園なみにうるさかった。


「……そいうことなのでギブルさん、ギルドマスターの部屋に行ってください。私は依頼を出して来ますので」

「……ん、分かった」


 そう言ってマリーさんとギブルが歩き出した。


(へぇーあいつSランク以上なんだ。ギルマスみたいにピリピリしたのは感じなかったけど、気配を消しているのかな?)


 さてと俺も準備をしないとな。今のままだと不味いからな。

 俺はとりあえずギルドに併設されている酒場みたいなところの椅子に座るのだった。


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