第14話 異世界のご飯は意外と美味しかった
ご飯は美味しい。
1階に降りた俺はアリスに案内されるがままに厨房に近いカウンター席に座った。俺としてはあまり目立ちたくないから端の方が良かったが、折角アリスが勧めてくれた席だから大人しくそこに座ることにした。
「ユキは何が食べたい?」
「……なんでも。とりあえず、美味しいものなら、良い」
「分かった。それじゃあ今持ってくるね」
アリスは厨房の中へと消えていった。
周りを見回してみれば、かなりの人が混み入っていた。
結構繁盛してんだな。それだけ美味いのかな?
アリスの他にも少年が二人、注文を受け取ったり料理を運ぶのにてんやわんやしていた。
「あははははそれは面白れぇ!」
「だろ! 今度お前も行こうぜ! すっげぇ面白れぇから!」
「あぁ、今度連れて行ってくれやぁ!」
と、酒を飲みながら馬鹿騒ぎをしている強面の男達。
でも良いな、この感じ。異世界に来たって感じがする。
もう何度も味わってるけど、良いと感じる。
「ユキお待たせ。家の自慢のステーキ肉だよ! 一杯食べてね」
「……ありがとう」
アリスが持ってきたのは、そこそこ大きな肉と野菜とスープだ。
俺は早速、何の肉かも分からない謎肉を切り分け口に運ぶ。
肉汁が口一杯に広がり、肉の味が驚く程に口内をかき回す。
「……美味しい」
確かにこれを食べようと店が繁盛するのは分かる。
背中に視線を感じた俺は、そちらの方を見てみるとアリスが満面の笑みを浮かべていた。
俺が「……美味しい」と言ったのを聞いていたのだろう。
30分後。
(ふぅー、結構美味かったな。これで味の心配をしなくてよさそうだ。量は少し多かったけど、これがこの世界の普通なんだろう)
俺はアリスに部屋に戻ることを伝え部屋へと戻るのだった。
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部屋に戻ってきた俺はとりあえず冒険者ギルドで貰った本を読むことにした。
冒険者とは依頼を受け報酬を貰う仕事である。
仕事には、雑用、採取、護衛、討伐、緊急、強制、指名など様々な種類がある。
冒険者はその中で自分に適した依頼を受け、仕事をこなしていくのだ。
ただし依頼を受けるにあたっていくつかの条件がある。それはランクだ。
ランクとは冒険者の実力を表すものだ。
冒険者のランクは以下の通りである。
SSS、SS、S、A、B、C、D、E、F、G。
ランクに見合えば好きな依頼を受けることができる。
依頼を受けられるのは基本的には自分のランクの上下1つ違いまでだ。それ以上の違いは基本的に認めていない。ただしSランク以上、または緊急、強制、指名などは除く。
そして冒険者には登録期限と言う物がある。
Gランクの冒険者は3日に一度依頼を受け、成功しなければ冒険者の資格を剥奪する。
Fランクの場合は7日間。
Eランクの場合は10日間。
Dランクの場合は1ヶ月間
Cランクの場合は3ヶ月間
Bランクの場合は半年間
Aランクの場合は1年間
Sランク以上の者は期限は存在しない。
※ただし怪我や長期間の依頼などでギルドが認めたものに関しては、これに当てはまらない。
ランクの上げ方は様々だ。
・依頼を必要回数こなす。
・ギルドへの貢献度。
・緊急時での判断能力。
・ギルド、国等からの推薦状。
・力量。
などがある。
そして冒険者と比例して、魔物等にも危険度というものがある。
危険度は以下の通りである。
SSS、SS、S、AAA、AA、A、B、C、D、E、F、G。
そして冒険者のランクと危険度の力関係は以下の通りである。
冒険者———危険度
———————SSS
———————SS
SSS—————S
SS—————AAA
S——————AA
A——————A
B——————B
C——————C
D——————D
E——————E
F——————F
G——————G
これを参考にして魔物を倒すときには注意をしてほしい。
冒険者は一般人に暴力を振るうことを固く禁じる。
相手が刃物、もしくは凶器となるものを持っていない限り、一般人を怪我をさせた場合、基本的に冒険者側が罰せられることとなる。
たとえ相手から手を出してきたとしてもだ。
冒険者は基本的に戦争、または国際的な私的目的に関与しないこととする。
これを破れば厳しい罰が与えられると思って欲しい。
等々と書かれた本のページをめくっていく。
基本的には異世界にありがちな冒険者だと思っておけば良いみたいだ。
一応俺のランクはGだ。
まぁ、登録した初日だしな。
てかあのコングベアーってAAランクって言ってたよな?
これを見る限り結構強いやつみたいだな。だって冒険者ランクで言ったら上から3番目だしな。
うーんこれは目立ちすぎたかな?
まぁ、やっちゃったもんはしょうがない。気にしないで行こう。
この本は今日中に読み終わっておいた方がいいな。今夜は徹夜かな。
そう思いながらページをめくるのだった。
1時間後にはスヤスヤと眠る姿があったのだった。