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最強の魔物使い〜すみません、私の魔物知りませんか!〜  作者: 漆原 黒野
プロローグ 〜異世界に来て〜
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第13話 嫌な夢を見ました

作者はあまり夢とか見ません。

 

『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』


 呪詛の言葉が聞こえる。

 意識がぼんやりとしていて聞き取れない。

 いや、それだけじゃない。ノイズが走っていて何を言っているのか分からない。


『お前が憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て憎て堪らない』


 だんだんと意識が浮遊していく。だがそんな俺を逃がさないとでも言うように、何者かが捕まえて離さない。

 それが何なのかは分からない。

 でも確かに感じる不快感。

 俺はそれを振り払おうと動くが、それは決して俺を離さない。


『いつか必ずお前を殺してやる』


 分からない。

 こいつはさっきから何を言っているんだ。


『見ていろ。お前が守ったもの全てぶち壊してやる』


 俺にはお前の言葉が分からない。

 だが確かな存在がそこにいる。

 だから問いかけるしかない。

 お前は一体……。


『私は…………」


 その時、急激に水面に打ち上げられるかのように、抗いようもなく意識が引っ張られる。


 そこに残るのは黒い闇。

 不気味で、(おぞ)ましいそれは、去り行くこちらに眼を向け続ける。


 そこで俺は意識を失う——



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ばっと布団を跳ね除け、荒い呼吸を繰り返す。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、な、なんだ……? お、俺は、何の、夢を……。夢? 夢なんか、見てたか……?」


 分からない……。でもすごく嫌な夢を見ていた気がする。

 自分の腕を見てみれば、異常なほど鳥肌が立っていた。


「……」


 なんだったんだ、今のは……?

 (おぞ)ましい何かが俺にとりついたような感覚。

 ブルっと体が震えた。


「すぅー、はぁー……」


 浅い呼吸をする。

 うん、少し楽になった。

 そんな時ドアがノックされた。


「ユキいる? 夕食の時間になったから、呼びに来たんだけど?」


 どうやらアリスが呼びに来たようだ。

 俺は荒い息を整え声を張り出す。


「……いるよ」


 声を出してみると先程までの恐怖が引いていくように感じる。人の存在を確認して安心してるのかな?


 髪をとぎ、服に乱れがないかを確認してドアを開ける。


「夕食だけど……!?」


 ドアを開いた瞬間、アリスがこちらを見てあんぐりと口を開け呆然とした。

 それは突然目の前に幽霊が現れたかのような反応だった。


「……?」


 アリスが驚いた理由が分からず、小首を傾げた。

 そうするとアリスが息を呑むかのように口を閉じ、じっとこちらの顔を凝視続ける。

 ……なんかこの反応どこかで見た気がするんだけど。

 どこだっけ? 最近の事だった気がする。

 俺の顔を見続ける……。


「あ!」


 俺は急いで頭に手を当てるがそこには何も乗っていないかった。

 俺も一緒になって固まってしまったが、急いでフードを被り直す。そして何事もなかったかのようにアリスに話しかける。


「……夕食って、下に行けば食べられるの?」

「……」


 話しかけても反応がない。

 あーこの顔は女にも効くのか……。


「……それじゃあ行こうか? アリスも一緒に行くんでしょ?」

「……」


 まだ反応しないのか……。


「……アリス?」


 心目の前で、手を振ってみる。

 そうすることでやっとアリスが動き出した。


「え、あ、あの、その、えーっと、そ、そう! ゆ、夕食を、し、知らせに、来て、えーっと、その、あの……」


 慌てようまで兵士達と同じだな……。

 まぁ、反応があるってことは俺が作ったユキが相当綺麗と言うことだから良いんだけどね!

 少し対応がめんどくさいけど……。


「……少し落ち着こう、アリス」

「う、うん……」


 アリスは一旦落ち着く為に目を閉じて深呼吸を繰り返す。

 しばらくその様子を眺めていたが、整理が着き終わったのか目を開けこちらを真っ直ぐ見つめてくる。


「……ユキってそんなに綺麗だったんだね。びっくりしちゃった」

「………まぁ、うん。認めるのもあれだけど、私の顔って普通より綺麗だから、騒がれることが多かったんだ。だこらフードを被るようになったんだ」


 少し蛇舌になってしまったがしょうがない。

 言い訳するんだからある程度話さないと。


「そっか……。うん、確かにユキの顔を見たら騒ぎたくもなるよね」


 うんうんと頷くアリス。


「……それじゃあ、夕食を食べに行こう?」

「そうね一緒にいきましょう」


 そうして1階へと降りるのだった。


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