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最強の魔物使い〜すみません、私の魔物知りませんか!〜  作者: 漆原 黒野
プロローグ 〜異世界に来て〜
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第10話 思ったより強い魔物だったみたい

 

「では買取の話に移させてもらいます。どんな物を売りたいのですか?」


 売りたいものか……。

 〈Fantasy・of・life〉の物を売っても平気なのか?

 できれば売りたくないかな。俺が持っているアイテムって色々やばそうだし。これでも最強を名乗ってたし。

 そうすると何を売ろうかな?

 あ、森で倒した熊ゴリラを売ればいいか。うん、そうしよう。


「……魔物。熊みたいな、ゴリラみたいな、やつ」

「そ、それは”コングベアー”ですか!?」

「……さぁ?」

「で、では毛皮の色や大きさは? あとは特徴なんかは分かりますか?」

「……確か黒色で、4mくらい、かな? あとは、腕が、異様に太かった、気がする。腕が太いわりに、足が短かった。熊みたいな、顔だった……」

「しょ、少々お待ちください!」


 受付譲が急いで走って行ったのを見送り、俺はどうしたものか悩む。

 あー何かやらかしたっぽいな。あの熊ゴリラ意外と強かったのか?

 ラムが瞬殺したから強さなんか分からなかったけど、確かに強そうではあった。


 うーんまずったかな? いや、これはこれで良かったのかもしれない。

 他の冒険者には新人として見られ、ギルドからは謎の実力者と見られる。

 うん、お約束だな。


 しばらくして息を切らした受付嬢が戻ってきた。

 受付嬢はそのまま窓口を出てこちら側に出てきた。


「で、では私に着いて来てください」

「……ん」


 歩き出した受付嬢の後を着いていく。

 建物の横にある扉を開き奥へと進んでいく。隣の建物に入ったのかな?

 まぁ、魔物の死体を置くんだから別の建物で管理するのも当然か。血の臭いとかきつそうだもんな。

 しばらく歩き、他と比べると少し大きな扉の前で受付嬢は止まり、扉をノックして入っていく。


「失礼します」

「おう、”ミリー”ちゃん久しぶり」

「……”クンバ”さん何度も言いますが、ミリーちゃんはやめてください」


 ミリーという受付嬢は諦め半分で言っているみたいだ。

 それをクンバという人も分かっているのか冗談半分でからかっているみたいだった。


「そう固いこと言うなって。それで今日はどんな用だい? ここに来るって事はそれなりの物なんだろう?」

「……はい、多分」

「多分? はっきりとしないな……」

「それはこちらの方、ユキ様がその魔物を知らないため、どう判断して良いか分からず、とりあえずクンバさんに見せてみようと思いまして……」

「そうか理由は分かった。で、その魔物ってのは?」

「……コングベアーです」

「お、久しぶりの大物だな。で、誰が持って来たんだ」

「……それが登録しに来た人で……」

「……それは本当にコングベアーなのか?」

「話だけを聞くと本当みたいなので……」

「……なるほどな」


 危険度AAってそんなにやばいのか?

 何が最高で、何が最低なのか分からないと評価のしようもないな……。早いところその辺の事を学ばないと。

 あ、そういえば本をくれるって言ってたのに貰ってないな。あとで言ってみよう。


「えーっと少年? とりあえず売りたいっていうその魔物はどこにあるんだ?」

「クンバさん、彼女は女性です」

「そ、それはすまんな」

「……別にいい。……フードを被ってる、私が悪い。アイテムボックスにある。……ここに出せばいい?」

「あぁ、床に出してもらって構わない」

「……ん、分かった」


 言われた通りアイテムボックスから熊ゴリラを取り出す。

 熊ゴリラの首からは真新しい血がダラダラと出ていた。


 それを見た二人は呆然とその様子を見ていた。多分これがコングベアーなのだろう。

 そんなに強い魔物なのか?

 それとも血を見て腰が引けてるとか?

 そう思いしばらくほって置くと、正気を取り戻したのかクンバが口を開いた。


「……これはすげぇ。アイテムボックス持ちのさらに時間停止機能まで付いてるやつとは……」

「……ですね。首から出ている血がまるで殺した直後のようです。それに僅かですが身体がまだ動いています……」


 あ、そっちね。

 この魔物より俺のアイテムボックスですか……。

 いやまぁ、分かるんですけどね? 質量を無視して仕舞えて、さらには時間さえも止まる謎空間。

 これで驚かない方がすごいと思う。


「……こいつが100万人のうちの1人か……」


 ……なに? アイテムボックスってそんなに珍しいのか?

 いやでも、詰所ではそんなこと言われなかったから、多分時間が止められるアイテムボックスが珍しいのだろう。それが100万人に1人の確率なんだろう。

 この世界の人口はどれくらいなんだ? もし数千万人ほどの人口だと、めちゃくちゃ珍しいじゃないか。いや、さすがに数億人はいるよな?

 まぁ、もうやっちまったものはしょうがない。

 話を逸らさなくては。


「……あの、鑑定してもらえる……?」

「え、あぁ、すまん。時間を止められるアイテムボックスを見るのは初めてだからよ。びっくりしちまってな……」

「……すみません。時間が止められるアイテムボックスを持っているのなら仕事などには困りませんね。羨ましい……」


 ミリーさん、最後に本音が出ていますよ……。


「……これで稼ごうとは、思わない」

「そ、そうですか。失礼しました」


 こちらに申し訳無さそうな表情で軽く頭を下げてくるミリーさん。別にそこまで気にしなくていいのに。

 変な空気になろうとした時、クンバが一際明るい声を上げた。


「さて、魔物の鑑定にいくか!」

「そ、そうですね」

「うん、見たところ確実にこれはコングベアーだな。これは嬢ちゃんが倒したのか?」

「……ん。正確には、私が使役してる、魔物が」

「そうか嬢ちゃんはテイマーなのか?」

「あ、クンバさん正確には召喚師らしいです」

「俺からすると大して変わらない気もするがまぁいい。嬢ちゃんはこのコングベアーの素材全部売るってことでいいのか? こいつの毛皮は丈夫だから、自分のローブを作ることができるぞ?」


 どうしようかな……。普段用のローブを持っとくのも良いかもしれない。


「……それなら、ローブを作りたいから、毛皮は、売らない」

「そうか。でも一応言っとくけど毛皮はこいつの素材の中で一番価値の高い部分だからな。それでもいいんだな?」

「……他の部位で、それなりのお金が、手に入るのなら、いい」

「分かった。とりあえず鑑定しとくから、また明日来てくれ」

「……え?」

「どうした?」

「……私お金ない。宿泊まれない……」

「あぁ、じゃあ少し前金として渡すからそれで大丈夫か?」

「……それなら大丈夫」

「了解。あとは任せる」

「分かりました」


 そう言って部屋から出て行く。もう一度受付の所へ行き、ミリーさんは中で少し作業をしてからこちらへ戻ってきた。


「こちらが前金の1万コルと買取を預かっていますという証明の書類です。この書類を無くしますと買取金を受け取れなくなりますので気をつけてください」

「……ん」


 小袋に入ったお金と格式張った紙を受け取り、アイテムボックスへ入れる。


「それでですが、冒険者登録料はどうしますか? 今お渡ししたお金で払いますか? それとも明日お金を受け取るときに払いますか?」


 うーん、宿がどれくらいするのか分からないから、お金は持っておきたいな。


「……明日にする」

「そうですか。では他に何もなければこれで終わりにしたいと思います」

「……本をくれるって、言ってたけど、貰ってない」

「あ、そうですね。冒険者登録をしたので説明書を渡さないといけませんね」


 そう言って引き出しみたいなところから一冊の本を取り出し渡してくる。


「こちらが冒険者用の説明書です。しっかりと読んでおいてください」

「……ん、じゃあ」

「はい、ではまたのお越しをお待ちしています」


 そう言って笑顔で頭を下げるミリーさん。それに答え、こちらも軽くではあるが頭を下げる。

 そして冒険者ギルドを出るのだった。


これもテンプレだよね!

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