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自衛隊架空戦記 赤い帝国の襲来  作者: 高本五十六
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第2話

アントノフ政権の危機回避という目的で計画された「バクラチオン2」の具体的な内容が決められていった。


・アメリカ軍が本格的な軍事介入する前に欧州を赤色化し、日本に対しては北海道の道北と道東を占領しオホーツク海を完全聖域化することで戦略原潜の安全を確保する。


モスクワの政治家たちに不信感を抱いていた軍に対してもこの作戦の利益は大きかった。とりわけソ連海軍にとってはオホーツク海を完全に掌握することで核弾頭ミサイルを搭載した戦略原潜の航行の安全が確保され、アメリカに対する劣勢は改善される訳だから、最終的な国威発揚にもつながる。この対日戦に消極的な姿勢を見せていたソ連海軍太平洋艦隊が、最終的に納得したのはそれが理由だった。

対外戦争に勝利し、領土拡大が達成されればアントノフ政権に対して増加している国民や軍の不満を解消することができ、超大国としてのプライドと栄光が取り戻せれる。

自身の富が守られることに満足したアントノフが「バクラチオン2」を承認し、会議は終了した。そのあとのことは連邦軍の仕事だ。


モスクワのクレムリンから「バクラチオン2」発動準備の指令を受け取った極東軍管区司令のガガノフ大将は、早速側近の参謀たちを集め、対日侵攻作戦の計画を立てた。

日本は専守防衛を掲げ、自衛隊も最高司令官である内閣総理大臣からの出動命令が出ない限りは自由な行動ができない。しかも最終的には国会での承認が必要とされ、勝手に動けば「クーデターを起こす」と守るべき自国民から騒がれる。そこが最低限の禁止事項ネガティブリストに基づいて自由な行動する諸外国の軍隊との違いだった。

したがってファーストストライクは成功する可能性が高いと決められ、極東軍管区司令部が立てた対日侵攻計画は次の通りだった。


・海軍航空隊のSu-33を常時日本海にオンステージさせ、日本海での制空権と制海権を確保する。


・自衛隊側のレーダーサイトと航空基地を攻撃機、爆撃機による攻撃で無力化する。


・道北側には親衛空挺師団を降下、道東側には海軍歩兵旅団を強襲上陸させ、後釜の自動車化狙撃旅団と共同し日本軍(自衛隊)のオホーツク海岸線への進出を阻止する。


・北海道侵攻作戦の助攻として新潟方面にも侵攻し、相手側の戦力を分散させ、北海道への増援部隊到着を遅らせる。


目標が明確になり任務が具体化すれば、士気と能率が上がるのが軍隊というものであり、対日侵攻作戦を担当するソ連軍各部隊は直ちに準備を始めた。

沿海州、樺太サハリン、北方領土へのソ連軍の移動が活発化し、兵力移動と作戦物資の集積のためにシベリア鉄道は軍の輸送を最優先した。空挺部隊と輸送機がハバロフスク郊外の航空基地に到着していった。

これらのソ連軍の大移動は当然人目に付きやすかったが、北方領土における演習というカバーストーリーが用意されていて、対外的にはそう発表された。


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