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異世界転移  作者: メルル
1/2

異世界転移だってなんとかなるはず

とりあえず完結を目指したい。

20話ぐらいを想定しています。


 「この世界には神などいない」


 別に中二病が再発したわけでもないし、どこかの有名な哲学者の著書を読んだというわけでもない。

 だが、思わずそう呟かなければやっていられない状況に俺はいるのだ。


 俺は今、馬車の中にいるわけなのだが


 (うわぁー、馬車ってこんなに揺れるのか。というか背中も腰ももっと言うなら全身が痛てぇよ。うぉっ、また揺れて、痛っ。

 俺、町に着いたらサスペンション作ってがっぽりもうけてやるんだ)


 あまりの馬車の揺れに俺はサスペンションの開発を決意した。

 サスペンションはたしかバネを車輪にくっつけて衝撃を吸収するようにするものだったはず。

 もしうまくいかなくても、現地の職人さんにでもアイデアを教えればなんとかやってくれるだろう。

 そして、サスペンションで儲けた金をもとにさらなる発明をしていき、なりあがっていくのだ。

 その後、俺は素晴らしい発明家として王城に招待され、そこで可愛いお姫様と運命の出会いをする。

 王道のテンプレである。

 かつて多くの転生者たちが真っ先に作っているものだ。

 完璧なプランに、顔がにやけていくのがわかる。


 「気持ち悪い顔でにやけてるんじゃないっ」

 「ひょわっ、す、すいません」


 俺が輝かしい未来に思いを馳せていると、隣から鋭い声がとんでくる。

 その声に思わず自分でもキモいとしか思えないような変な声が出てしまう。

 だって仕方がないじゃないか、めちゃくちゃドスのきいた声なんだもん。

 隣をチラッと見るとこちらを睨む紅い瞳が見える。

 年はたぶん10代後半で、少し幼さは残っているがきつめの美人形の顔だ。

 視線の鋭さと整った顔立ちに、思わず視線をそらしてしまうと今度は豊満な胸に視線が吸い込まれてしまう。

 鎧を身に付けている状態でもわかる胸の大きさに、ごくりと唾を飲む。


 馬車の揺れがきついのもたしかに問題ではあるのだが、一番の悩みの原因はこのきつめの美少女なのだ。

 ことの発端はほんの数時間前のことであった。











 (夏真っ盛りの8月とはいえ最高気温40度は絶対異常。42度を越えると人間は命の危機だってどっかで聞いたことあるし、それに近い気温でも補習をさせるうちの担任はマジ鬼畜)


 高校3年生の夏、見事に期末試験で9教科でオール赤点を叩きだし補習に呼び出される男、名前は河野尊(かわの たける)

 俺の高校は進学校であり、俺もまわりに合わせて大学受験を今年する予定だ。

 受験がすぐそばに迫り、俺の担任はピリピリしだし遂に俺の夏休みが補習で埋まることになってしまった。

 たぶん自分のクラスから浪人生がでるのが嫌なのだろうもが、夏休み中俺に補習をするほど嫌だとは思いもしなかった。

 正直、受験なんて冬休みにでも猛勉強すればなんとかなると思うし、夏休みを潰してまで必死に勉強する必要があるかは疑問である。

 まぁどんなに文句を言ったところで、補習をサボって家に電話でもされたらかなわないので、結局通いなれた道を自転車で行くわけだが


 (また赤信号かよ。なんか今日の俺の運悪すぎないか)


 普段はそこそこ止められる程度だが、今日は俺が通る信号という信号がすべて赤になるのだ。

 俺は赤点をとっていることからわかる通り勉強はまったく好きじゃない。

 そうなると補習へ行くのもいやいやになり、補習が始まる時間に間に合うぎりぎりに家をでるわけだ。

 しかし、こうも赤信号だらけだと予定が狂って補習に遅刻しかねない。


 また前の信号が点滅しだした。

 俺が通る頃には赤になるだろう。


 ところで、歩道の信号が赤になるのと車道の信号が赤になるのには少しズレがある。

 これはすなわち、歩道の信号が赤になったとしてもすぐに飛び込めば車にひかれることはないということだ。


 (よしっ、行けるぞ!突っ込め!突っ込め!)


 今思えば、補習なんかのためにわざわざ危険を冒すなんて馬鹿げてるとしかいえないが、度重なる赤信号に俺はイライラしていた。

 そして案の定、すべての信号が赤になるほど運の悪かった俺は、左へカーブするトラックに引かれ18年の人生を終えたのだった。











 そして、目が覚めると俺は暗いうっそうとした森の中にいたのだった。


 「ここいったいどこだよ」

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