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衝撃。

そして、もう一度目を開けた時、私は……

「……ここはテンプレじゃないのね。」

オギャァァァァァアアア、なんて叫んで生まれる、なんてシーンはよく見るけど、私は今、自分で立ってるし、視界もはっきりしている。

そして目の前には、跪いた身分の高そうな紳士。

「?どうかなさいましたか?」

「……いえ。」

何でもありません、と微笑む。頭の中はパニックだ。え、何この状況。明らかにおかしい。

え、っと。ほんとのホントに異世界、来ちゃいました……けど。

「5歳の誕生日おめでとうございます、麗しの第二王女様。」

あー、5歳なのか私。それでこの状況は誕生日パーティと。成程あたりには着飾った男女がひしめいている。

って、

お、王女ぉぉぉぉおおお!!?私が!?

なんだか私のオプションは、あの天使に頼んだものにさらに付加されているようだ。

……天使の中に詐欺罪はないのか。



「王女様。国王様がおよびです。」

「……ッ」

ヒィ、と出かけた悲鳴を飲み込む。背後から聞こえたのはどうやら侍女の声らしい。しかも国王?え?状況把握もままならない5歳の幼女(中身アラサー)にそんな過酷なミッションをしろと?

「さて、いきましょうか。」

ショックで返事もままならない私に、何を思ったかその侍女は私を引きずるように国王様がいるらしい場所に向かって連れて行こうとした。

はいわかりました行きますってば!

掴まれていたその手を半ば無理やり引きはがして、私は侍女の背中を追いかけた。

そして、

「……うわぉ。」

と思わず声が出てしまった。

幸い結構人がいるので、誰にも届かなかったようだ。

……仕方ないと思う。だって一番豪華な椅子に座ってる国王様らしき人__________つまり私のお父様は、とても子供を持つ父親とは思えないほど若く美しい人だったのだ。

しばらく呆然とその凛々しい金髪碧眼というよくありがちな王族のシンボルを見つめて、はっとした。

いけない。私は今___________国王に挨拶に来た、王女なんだ。

「陛下。

本日は、私の誕生会にご出席くださいまして、誠にありがとうございます。」

王族同士の挨拶の仕方なんて私は知らない。だから、最低限失礼がないように謙譲語と尊敬語を使いまくればなんとかなると腹をくくった。


「うむ。生誕以来になるな。息災で何よりだ。」

「はい。陛下もお変わりないようで。」

ってあれ。生誕以来って、まさかこの人、自分の娘に生まれた時から5年間も顔合わせてないの!?なんて薄情な……あ、そうか。国王ならそういうこともあるのかもしれない……でも、何かなぁ。

そんなことを考えていると、どうやら固い公式の挨拶は終わりのようだ。

いつ退けばいいか、タイミングを見計らっていると、

「こちらへ来い、ルカティーナ。」

へ?

国王様が私を見ながら言った。

ルカティーナって、……私?

元の名前からあまり変わってないのはうれしいけど、なんだか安直だ。

……まぁとりあえず、近くに行けばいいのかな?

チラチラと横目でさっきの侍女を探す。この状況で頼れるのはあの人だけだ。

案外そばに立っていた彼女は、目が合うとGOとでもいうようにウインクしてきた。

……妙に美形なの腹立つなぁ。

「わかりました。」

そう返事をして私は国王様の手の届くぐらいの距離まで歩いて行った。

すると、

ぎゅむ

「……ッッ!!?」

「ルカティーナ……」

ヒィィィィイイイイ、と今度こそ叫びそうだった。

だ、だって、超絶美形のお顔がすぐそこに!し、しかも、私の名前を耳元で囁くし、吐息かかるし!

妙に熱をはらんだような声で国王様は続ける。

「私の可愛い可愛いかわいい子。ルカティーナ……」

なにこのひとちょうこわい。

助けを求めて目線の動く範囲にいる人に懇願するけど気づかないふりだ。

どうでもいいけど助けて。ほんと。転生先のお父様が国王でしかも病んでる親ばかとか笑えないからッッ!!


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