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この世界に私はいない。
だから、世界がどうなろうとも、私には関係ない。
世界に見捨てられた私。
どうして?
どうして世界は私を見捨てたの?
わからない。
悲しい。とっても。
こんな私を救ってよ。誰か。お願い。
・・・・
・・・
・・
目覚めると、僕はまだ屋敷だった。目の前で少女がベッドに横たわっている。昨日はあの後、気がついたら壁にもたれていて、そのまま眠ってしまったらしい。僕は立ち上がると、大きく体を伸ばした。
そして少女に向けてこう言った。
「おはよう」
彼女は相変わらず、大人しく眠ったままで、返事はなかったけれど。
「おはようございます」
「!?」
少女の寝顔をのぞき込んでいると、いきなりタキシード男がやって来た。
「おや、何かお嬢様の顔に付いてましたか?」
「・・・いや、そんなことはないぞ」
「ふむ。わかっていると思いますが、お嬢様にいかがわしいことをした場合・・・この私、ただじゃあおきませんよ?」
うっ・・。こいつ目が真剣だ。
「あぁ・・そんなこと、わかってるさ!俺も一応、紳士だからな」
「ふむ。まあ、ご注意くださいね。ところで、どうです?習得されましたか、例のものは?」
たぶん、テレパシーのことだろう。
「・・・そ、それは・・・」
「ふぅ・・。まぁ、そんなに急かすつもりもありませんが、あなたの面倒を見るのも、タダではございませんので、できれば、お早めにお願いしますね」
「あぁ・・そうだよな。わ、わかった」
「それに」
男は“お嬢様”をチラと見る。
「こちらとしては、一刻も早くお嬢様を「助けて」もらいたいので」
そう話す男の目は、どこか哀しみに満ちた色をしていた。
「あぁ・・・。こちらも早く国に帰りたいからな。努力はするよ。」
そういうと男はにっこりと笑った(不気味だ・・・)。
「ところで、ずっと気になっていたが、あんたはあの少女の何なんだ?」
「ふふ・・・それは、そのうちわかりますよ」
ぐぬぬ・・。ったく、こいつは本当に、こっちの質問に答えないやつだ。
「・・そうか。まぁ、いいけどさ」
「ふふ。では、頑張ってください」
そう言い残し、男はまた扉の向こうへと去っていった。
ふぅ、いなくなったか。どうも、あの男は苦手なんだよな・・・。こっちの質問には答えないくせに、歯に衣着せぬやつ・・。正体も謎だし、とことんわからないやつだ・・。
まぁ、やつのことはどうでもいい。とにかく僕はテレパシーを覚えて、目の前の少女を救い、さっさと日本に帰るのだ!
なにはともあれ、まずはきちんと「養成キット」の使い方を覚えないと、話は始まらない。僕は真剣に付属のガイドブックを読み込む。
(にしても、このガイド・・・翻訳版だからか、すごく読みづらいぞ。。)
・・・
・・
それから、何時間たっただろうか。ようやく、僕は「養成キット」の使い方を理解した(気がする)。
要するにあれだ。装置の電源が入っていないまま、習得しようと必死になっていたわけだ・・。ハッハッハ。
「・・・早く気づけよ、僕。」
そして、僕は装置の電源を入れ、マニュアル通りにやってみる。
「スイッチオン!!!」
その瞬間!
「ビビビビビビビ!!!!!!」
「ぐあああああああああああああ!!!qあwせdrftgyふじこlp;@:」
あ、頭にとりつけた装置から・・こ、高圧電流がっ・・・。
「う、うあああああああああ!!!」
で、電源を・・ ・・OFFに・・ し、しないと・・・
「びびびびびびびびび!!!!」
「・・し、死ぬぅううううう!!!orz」
だが、無情にも電源を切ることが出来ず、装置から流れてくる高圧電流のおかげで、僕は意識を失うことになった。
ビビ!ビビビビビ・・・びびびびびび
(その後も電流は流れ続けた・・・のだろう)