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stare  作者: kanoon
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Soiree

口に含めば甘い味、

けれどその色は苦い味。



Soiree(ソワレ)



知らないと、己の心を閉じ込めたのは

いつだったろうか。

笑いあうことはキライじゃない、

それでも笑うだけではいられない。

皆が、いや二人が傷付くくらいなら、

いっそ自分が身を引いてしまおうか。

目一杯自分を傷付けて立ち直れない程。

いつもそうやって逃げてきた。


嗚呼、嗚呼、

それでいい、二人は幸せになればいい。

水の中でもないのに息苦しい空気の中で

僕は笑った。


いくら手を伸ばしても、

互いには届かないから。

だから、このキレイな三角形の、

強くて脆いトライアングルの、

このちっちゃな端っこの一点を

僕が崩して構わないだろうか。


例えそれが成功したとして、

二点が結ぶ線になっても、

二人は何も知らなくていいんだ。

背負うのは一人で十分だから。

泣くのは一人で十分だから。


それから、勘の鋭いキミは気付くんだろう。

崩されたトライアングルに。

居なくなった一歩後ろの存在に。

今更なんだから、お願い、

気付かないフリで。

その隣の優しくて繊細な人に告げないで

本当は優しいって知っているから最後のお願い。


逃げることに疲れて、

嘘を吐くことに疲れて、

笑顔を貼り付けることに疲れて、

周りを見ることに疲れて、

だけどそうせざるを得ない自分に疲れたんだ。


いつかキミが取り払ってくれた仮面を

キミの為につけて。

こっち側に片足モロに突っ込んでるキミに言う。

「こっちに来たらいけない」と。「汚れるから」と。

その冷たい目が、

キレイな三角形だったときのような

穏やかで暖色に変わる前に、

さっさと背を向けて、姿消して。

泣くのなら僕の居ない場所で。


そして、

次に逢うときは、 敵 。


紫色の淡い果実を味わって、

深い漆黒の夜の空に包まれて。

似てるけど、似てない僕らのように

甘さと苦さを兼ね備えて。


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