満月が最も高く昇る刻に。
この屋敷では常に松明・ランタンが置いてあるわけではないようだ。月明かりが怪盗にとって雄一の光源となっていた。
「いやー、さすがに警備多すぎるでしょ、、、」
いかにもな仮面をつけた少女がつぶやく。金庫の周りの明かりで、かなり警戒されているのがわかる。ドールは「ブースト」の領主の館にいる。午前0時ぴったりに盗むためには、少し早めに金庫に入らなければならない。しかし多すぎる。明らかに過剰ではないのだろうか。
「なんか王家親衛隊の隊服もいるんだけど、、、?各街の治安とか大丈夫なの?」
しかしそろそろ時間が来てしまう。今までも大量の警備たちとやりあってきたんだぞ、と自分を奮い立たせ、金庫へ足を向ける。
「お疲れ様です。差し入れどうぞ」
「あ、ありがとう。嬢ちゃ、、、」
「煙幕魔法!」
一気に煙幕が広がって行き、目視では自分の手すら見えないほどの濃い霧が広がっていく。
「そして、「千里眼」!」
かなりお世話になっているスキルに感謝し、別のスキルで金庫を開錠する。
「お、意外と速く終わった」
そして目の前に現れた大きな袋を収納用魔道具に入れるために近づく。
ガシャンガシャンガシャン
いきなり出てきた音、そして霧。瞬きする間にドールは檻に捕まってしまったらしい。
「なになになに!?何が起きたの!?」
「ハハハハハハハ。怪盗スドールとはお前か!この国のいたるところで聴衆を騒がしているお前が予告上出してきたときは驚いたが、この程度か。」
「いやー、その癖にかなり入念に準備していたみたいじゃないの。」
「、、、牢獄へ入れろ。」
「仮面は外さないでほしいなーなんて。」
「つかまっているのに、よく要望が言えるな」
「張り詰めた空気にはボケがぴったりかな。と思って」
ドールの場違いな発言で場の空気が凍り付く、しかし領主は気に入ったようだ。
「おもしろい!おいお前ら、仮面は残しておいてやれ!」
「はっ」
その言葉と共にドールは牢獄へ運ばれた。




