シーン98雷武覚醒する。
ルキの俺を呼ぶ声がこだまする。
『くっ!?これは………………ヤバい………ルキ。』
思わずルキの名を呼んでいた。
ここで俺が倒されてしまったら……残された者たち………ルキも……………きっと魔王の手にかかるだろう。
俺は。
『そんな事など………………させるかあああーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!??』
俺の中で起こる激しい怒りと叫び。
その時。
俺の脳内に何者かが語りかけてくる。
◇
◇
◇
『竜王…………雷武よ………………………………』
『誰だ!!!????』
『俺の名は、時竜そうこの世の竜種が一人である。』
『時竜…………だと!?それは名だけは聞いた事がある…………だがそれは昔話の様な…………俺達竜人族に伝わる伝説の話だぞ。』
『まあ…………お前がこの俺の事を信じるも信じぬとも構わない………だがお前はそんな伝説のドラゴンにうったえかけてくるのでな…………。』
『なんだと!?貴様…………この俺が一体いつ………貴様に……………………………。』
俺に語りかけてきたのは時竜という伝説級のドラゴンだった。
時を操るドラゴン………このドラゴンは時……………つまり時空を飛び……様々な場所に姿を見せ……そして世界に何らかの力を示すというドラゴンだった。
そのドラゴン、時竜が俺に語りかけてきたのだ。
『フフッ………まあいい………だが………ちょっとした理由でな………その内容は明かせんのだが………このままではお前も………そして仲間達も………お前の妹………ルキまでもが………ここで魔王ゼルドリスに消されてしまうであろうよ。』
『なっ!!???時竜…………貴様何故それを……んっ!?まさか……時を移動できるとされる貴様がそう言うということは…………………………。』
俺はその未来の現実を察してしまう。
すると時竜は続ける。
『お前がこの俺の言葉を信じるも信じないもお主の自由だが…………俺は只々お前達がこのまま消されてしまうのは心苦しい。』
『くっ…………だが……どうすれば…………俺は……。』
『この俺の力を………使わぬか?』
『なっ!?なんだと!?』
俺はその言葉に驚きの声を上げる。
『なあに……この俺も魔王ゼルドリスにはちょっとした因縁があってな………俺の言葉を信じお前があの魔王ゼルドリスを倒したいと願うのであれば………この俺の力を使うが良い。』
俺は………考える…………………。
確かに魔王ゼルドリスとの力の差は明らかだった。
だが俺のプライドはこの提案を簡単に受け入れがたかった。
『くっ………俺は………俺の力ではあいつを倒せぬのか………………………。』
『……………………………そう悩むのではない………あの魔王ゼルドリスの力は神の力なのだ…………それだけの事だ…………………』
『ああ………確かにそれは実感した…………だが俺が貴様の力を受け入れたとして……本当に奴を倒せるのか?』
『今………俺はわずかだが………時を止めてお前に話しかけている……………いいか?この選択を謝ればお前はこのまま魔王ゼルドリスの刃に身体を真っ二つに割られ………そして消されてしまうであろう。』
『……………………………………………………。』
今…………確かに俺の身体近くまで魔王ゼルドリスの刃が迫っていた事は分かっていた……そして時竜は時を止め……俺に声をかけてきたのだ。
『選択肢はないのだな。』
『分かったか?だが………まあいい………今のお前は……この俺の提案を受け入れるしかないのだから………………………。』
そう言うと時竜の声は届かなくなっていく。
眼前には魔王ゼルドリスの刃が迫っていた。
『うおおおおーーーーーーーーーーーっ!?』
ガキイーーーーーーーーーーーーーーーーンっと魔王の大鎌をおさえた刃があった。
それは俺の手に握られた一本の刀だった。
『なんだ………これは…………………!?』
思わず声を上げてしまう俺。
『なん………………だと!?』
魔王ゼルドリスの驚きの声に俺はスっと構える。
それはまるで俺を操るかのように………この刀が俺を支配しているようだった。
『くっ…………貴様……………それを一体どこで手に入れた?』
『フン……………そんな事はお前には関係ない事だ…………………。』
俺は刀を構える。
(これが……………あの時竜の力なのか?)
(だが…………………確かにこれならば…………この力があるのならば………………)
すると聞こえてきたルキの声。
『お兄ちゃん!!???』
『ああ…………ルキ……………お兄ちゃんが今……。』
俺の身体は操られるがまま………いや…………。
今………きっと時竜の意思と俺の思いが重なった。
『お前を魔王ゼルドリスから守ってやる!!』
俺は刀を振り上げ飛び出した。
『うおおおおーーーーーーーーーーーっ!?』
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