シーン94敗北からの……。
俺は意識を取り戻す。
そして目を開けるとそこは。
目の前には霧に包まれた山頂。
そうここは…………………キリマジャーロ山頂。
俺はゆっくり目を開けていく。
するとそこにはにっこり微笑む見知った顔が。
『んっ!?ヘキサ!!???なのか?』
『せいかーーーーーい!なら……今の状況がわかるよね?雷武ちゃん?』
辺りに目を向けると………倒れている仲間たち……そして傷ついた仲間達にヒールをかけているルキだった。
『ルキ………………………………………んっ!?麒麟は!?』
俺がルキに近づくとそこには寝たままの麒麟がいた。
『うん……………さすが麒麟ちゃんっていったところなのかな………傷の治りも早くて……本当に強いよね……………。』
『そうか…………まずは安心した。』
俺が辺りに目を向けるとなんとか無事だった仲間達の姿があった。
だが皆の表情はやはりどこか影を感じる。
そうだ……皆傷つき………………………俺達はあの魔王に敗れたのだ。
するとヘキサが口を開く。
『おじいちゃん……………………。』
ヘキサの言葉に現れたのは聖獣アルビダイヤ。
そしてその神々しい光を抑えていくと聖獣は語り始めたのだった。
◇
◇
◇
此度お主達は………魔王ゼルドリスとの戦いで敗北した。
お主の妹である竜の巫女の視たと聞いた仲間達や本人の傷ついた姿はおそらく今回のこの敗北を視たのであろう………………じゃがな。
誰も死なんかった………これは大きな事じゃ……。
お前たち…………これからどうするつもりじゃ?
俺達にそう問いかけてくる聖獣アルビダイヤ。
俺が仲間達に目を向けると、敗北した事で恐怖を感じたであろうもの達は視線を下げていた。
そしてルキはその光景を見て………そして眠る麒麟を見て悲しげな表情をすると口を開く。
『聖獣様……………前回の戦いで私は魔王ゼルドリスの本当の脅威を感じました………そしてやっぱり………私は皆を傷つけたくない…………。』
思い涙を零すルキがいた。
ルキのその言葉に俺は言葉を詰まらせる。
『俺は………………………俺達は………………』
すると………ルキの涙が麒麟の頬に零れ落ちる。
そして。
スーッと目を開けていく麒麟。
『おねぃ……………誰に泣かされたんだあ?』
そう言いながら麒麟はルキの髪に手を添える。
『麒麟ちゃん!!!???』
『麒麟!!!???』
ルキは麒麟を抱きしめ涙を流す。
『良かった………本当に良かったよお。』
『んんっ?おねぃ………もお大丈夫だから泣くなあ………でもなんか嬉しいぃ。』
ルキと麒麟のやり取りに涙が零れそうに熱くなる心。
すると聖獣が口を開く。
『竜の巫女ルキ………そして雷武よ………確かにお主達の強さはこのわしも分かってはおる……だがあの魔王ゼルドリスの脅威はまだまだあれで終わることはないであろう………先の戦いで…今のままではまた同じ事を繰り返すであろう………そして今度は消える者も現れるやもしれん。』
『聖獣様…………ではどうすればいいですか?私にできる何か方法はありませんか!?』
ルキの言葉に聖獣様は口を開く。
『勇者………………………………………。』
『えっ!?』
『世界に勇者が召喚されたのじゃ………………』
『勇者……………様…………ですか?』
『ああ…………エルフ……ドワーフ……そしてヒューマンの代表がその力でこの世界に勇者を呼び寄せたのじゃ……じゃが勇者はまだまだ来たばかりでな……その力はあの魔王には到底敵わないものじゃ…………そしてこの世界で成長していこうとしておる……そこでワシの提案じゃ……まずお前達は勇者との関わりを作るが良い…………そしていずれこの世界を…………あの魔王ゼルドリスを討つ為に…………共闘するのじゃ。』
俺達はその言葉に驚きを隠せなかった。
『だが………そんな勇者など……………………………。』
俺はその言葉にそう言いかけるとルキが口を開く。
『私もその提案……………良いと思います!!』
『ルキ!?お前。』
『だってお兄ちゃん……皆が無事にいれる方法はそれじゃないのかなあ?』
俺はルキの言葉になんとも言えない感情へと入ってしまう。
『くっ……………俺達は………俺達は…………………何のためにここまで…………………………………。』
『お兄ちゃん……………………でも私ここまでお兄ちゃん達とこうして冒険してこれて本当に良かったよ……それに皆も……………でも私も皆も無事こうしてここに揃っているんだもん…………』
『なあ?聖獣よ…………………………。』
『なんじゃね?』
『やはり…………今の俺が魔王と全力で戦っても勝利はないか?』
すると考えるようにして聖獣はこたえる。
『ああ…………あの魔王ゼルドリスという存在が…………そういった存在……いわば魔王神とでも言える絶大な力を持つ存在なのだからな。』
『そうか。』
俺はそう答えたのだった。
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