シーン84怒りの麒麟。
ルキが目を閉じた………それはまるで最後を待つかのように。
その時。
ブオンっと辺りに激しく突風が巻き起こる。
その衝撃がルキにトドメをさそうとしたベリアルを吹き飛ばそうと暴風が襲いかかる。
『なっ!???こ、これは……………!!???』
ベリアルがそう声を荒らげた瞬間。
爆風を纏い宙に浮く者がそこに存在したのだった。
それはその者を象徴する激しい風。
自由に空をかけているその者の名は……『麒麟』。
そうルキを姉と慕う可愛らしい弟なのだった。
『お前…………おねぃを泣かせたらダメだ…………僕が…許さない。』
『えっ!?』
そう…………皆がその足をとられ身動きがとれない状況の中………ただ一人………小さな身体に内包していた激しいパワーで飛び出したのは麒麟だったのだ。
『麒麟ちゃん………………………………。』
ルキのその瞳から零れる涙の先に見えたのは彼女を守る為に立ち尽くしていた麒麟の姿。
『おねぇ………僕を弟としてくれた優しいおねぇ………そんなおねぇを泣かせる奴は僕が相手だ。』
そう言ってくれる麒麟……そしてそんなルキを庇いたっている。
ベリアルはその光景にその手の槍を構える。
『貴様………………ゆ………許さん……………ぞ。』
取りみだし始めたベリアル。
やつほどの男が焦りを見せたのは理由があった。
それはルキを助ける為に爆発的に上げた超魔力によるものだった。
するとフェリスが口を開く。
『あいつは………魔神となりし者……だったのか』
『ええ…彼はあの様な力を持っていた為に……これまで中々友人が出来なかったようですね……私達はもしかしたら本当に救われるかもしれませんね……麒麟ちゃんは……本当に凄いんです。』
フェリスに言葉を返すスクエル……そしてそんなスクエルに共感し頷くカラーとコング。
するとプテラが口を開く。
『そうなんです………彼は元々…地上でその目を開いたそうです………そしてあの激しい力からでしょう……ヒューマンも精霊達も彼を中々仲間として認めなかったと聞きました…………そして孤独な存在だった彼は私達のいる…………この空島に偶然やってきたのです……そんな彼の能力も高さにいち早く気がついたペガサス様は彼を仲間として管理していく事になさったのです。』
『そういう事だったのでしたか。』
ルキの声にプテラは続ける。
『ええ………だから雷武様もルキ様にも兄弟と言ってもらえて本当に嬉しかったのでしょう………あの子があんなに他人の為に感情を顕にするなんて。』
そういったプテラも嬉しげな表情をする。
きっと彼を見てきて少なからず嬉しくなったのだろう……そんな彼女もまた優しい存在だったのだ。
その時。
現実に引き戻される面々。
そこには希望となる麒麟と対面しているベリアルだった。
『貴様あああーーーーーーーーっ!!???その力…………………どこにそんな力を隠していたのだ。』
『んんっ!?僕はお前が嫌いなんだあ。』
ベリアルに対しそう言い切る麒麟。
『フン……………俺のこの沼から這い出しそしてここまでの力を見せるとはな……確かに貴様のその力は認めてやろう……だが……相手が悪かったようだな…………そんなお前の目の前にいるのはあの魔王様の部下であるこのベリアル様だ……このベリアルに勝てるものならやってみるがいい…………うおおおおおーーーーーーーーーーっ!!!???』
爆発的な漆黒の魔力を纏っていくベリアル。
その禍々しい力は見ている者に恐怖を感じさせるものだった。
奴の力を感じたルキ達。
身体が震え……………やはり恐るべき力を奴に感じる。
『おねぃ………………大丈夫だあ………僕がいる………そして…………………あっ………………。』
そう言った麒麟は上空に目を向ける。
『馬鹿なやつめ!!!!どこを見ている!!!!!!???』
ベリアルの巨大な鉾が再び麒麟に振り下ろされる。
ドゴオオオーーーーーーーーーーーーンっと爆風を上げそれは麒麟の身体をとらえる。
『なっ!!??なにっ!!!???』
ベリアルの鉾は麒麟の身体には届かなかった。
『麒麟ちゃん!!???』
『僕のおねぃは守る。』
その瞬間。
シュンっと姿を消してしまう麒麟。
そしてそのスピードに巻かれていくベリアル。
『なっ!!??なんだこれは!!!???』
『おねぃ達は痛かったんだぞ………お前はもっと…………………………………。』
『麒麟ちゃん!!???』
麒麟の身体が突然ベリアルの前に現れる!!
『くっ!!??死ねええーーーーーーーっ!?』
ベリアルの鉾が麒麟に。
『怒る風…………………………………………………。』
『はあああーーーーーーーーーーーっ!!!』
麒麟の風が竜巻と化しベリアルの身体を取り囲み巻き上げていく。
『ぐあああああーーーーーーーーーっ!!?』
そしてベリアルの身体は傷を負っていったのだった。
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