シーン76麒麟と大穴。
俺達は麒麟の案内でこの空島の中にある大穴へと向かう事になったのだ。
◇
『麒麟ちゃん?大丈夫?』
『うんっ!僕は強いんだあ!だから全然大丈夫!』
俺が強くならなければと言ったからか麒麟は強がって見せていたのかもしれない。
そんな麒麟が可愛く見えるのだろう……ルキは母性本能をくすぐられたように麒麟の面倒を見ていた。
そこへ俺はある疑問が頭に浮かぶ。
それを麒麟に聞いてみる事にする。
『麒麟…一つ聞きたいのだが………………………』
俺はニコニコ笑顔でルキと手を繋いで歩いている麒麟に声をかける。
『あにぃ!?なんだあ!?』
『ああ…………この空島は魔族が干渉しないのか?まあ簡単に言うと襲ってくる敵などはいないのか?』
すると考え込む麒麟。
『ううっん……………………敵かあ?』
『ああ……………敵だ…………………空島は魔族などはいないのだろう?………ならば襲ってくる怪物なんかもいないのかと思ってな。』
麒麟は考える。
確かに、ここ空島にきてからは魔族の気配は感じない…………だけど何かを感覚が知らせていたのだ。
するとカブトムシとクワガタが口を開く。
『雷武様………実は…………我々があの地…下界に降りたって捕まってしまった事には理由があるのですが。』
『私達は普段から、この空島に危険がなきようセイレスペガサス様からパトロールを任命されてのですが……その時……………あの大穴を調べるよう言われたのです………そして私達は大穴への侵入をはかった所……いつの間にか身体をあの糸に縛りつけられ………地上まで引っ張られ………気がつくと……あの巨大な蜘蛛の巣へと捕らわれてしまっていたのです。』
『なんだと…………するとあの大穴から地上への干渉する何かが繋がっているという事なのか?』
俺はそう問いかける。
するとカブトムシが答える。
『その可能性をセイレスペガサス様も語っておられました………そしてセイレスペガサス様と我々は先程までのあなた方の行動を申し訳ございませんが空島を管理する千里映像で見られておりました……すると………大穴へと向かう事になったようで我々はあなた方への御恩がございます…………我々も同行させていただく事を申し出たのです。』
するとルキが口を開く。
『そのような事だったのですね………ではやはりあの大穴に危険があるかもしれませんね………あのバットスパイダーも関しているならば……何かを仕掛けているかもしれませんし………そうなれば魔王にも知られている事は明白………この空島にも何かを仕掛けてきてもおかしくはありませんね。』
『ええ………可能性はあります……あの大穴は以前からあったのわけではないのです…それまで何事も無かった空島に……突然空いたというのが正しいのです……………。』
すると聞いていた麒麟がルキに声をかける。
『お姉ちゃん…………大丈夫………僕がお姉ちゃん達についてるからあ!』
『えっ!?………麒麟ちゃん……ありがとう!』
ルキの笑顔に麒麟はにっこり微笑む。
確かに強力な力を持つという麒麟。
でもまだ小さい少年だ。
俺は麒麟の頭を撫でる。
『偉いぞ麒麟………お兄ちゃんと一緒にルキと……皆も守ってやろうな?』
『うんっ!!』
こうして俺達は大穴を目指し歩いたのだった。
◇
◇
◇
大穴はこの空島の巨大な大森林の中に突然ぽっかりと空いたという…………未だに魔物が直接そこから現れた事はないという………だが何が起こるか分からないというのは事実だろう。
俺はふと疑問を感じる。
『空からあの大穴に向かってお前達は捕らわれたのだろう?』
二人は頷く。
『ええ……突然の事で…………』
『そうなんです…………あっという間に糸に絡め捕らわれてしまったのです…………そして気がつくとあの巣に。』
『麒麟も大穴にいってその首飾りを見つけたのだろう!?お前は大丈夫だったのか!?』
俺は麒麟へそう問いかける。
『んんっ!?僕かあ?僕は強いからあ!』
そう言って微笑む麒麟。
彼はニコニコと何も気にしていないようだ。
すると俺達の進む先から何かを感じる。
『なんだ…………大穴が近いのか…………嫌な気配があの先に感じるぞ。』
『お兄ちゃん………あの禍々しい感覚…あれはきっと魔族です………魔族の何かの力が大穴の中から感じます。』
どうやらルキもあの大穴から何かを感じ取ったようだ。
すると麒麟の手が震えるルキの手をしっかりと握る。
『麒麟ちゃん?』
『大丈夫!おねぃちゃんには僕がついてるぅ!』
笑顔で微笑みあう二人。
そして俺達の前には巨大な大穴が現れたのだった。
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございました。




