シーン5仙境。
ロンが話してくれる神器の話。
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かつてこの国は……大いに栄え、繁栄を極めていた。
するとやがて人の心にも邪な心が芽生えてくる。
その邪心は大きなものとなり、悪を生み出す、人の心など弱いもので邪心はどんどん大きなものとなり、遂にはそれは形となり邪神を生み出してしまう。
人の争いを好む心、人の邪な心を増幅させる憎しみを好む心、あるいは人を征服させる心……そして貪欲な欲望の心………その四つの心が大きくなり四体の邪神を生み出してしまう。
四悪神はそれにより暴走を始める。
人々は恐怖し、そしてこのままでは滅びの道をいってしまうと。
その声に、神々はこの大地に神器を与えたのです。
この国の神器とは………仙人と呼ばれる者がその姿を変え神の力を封じたとされるもの。
これがこの国に眠る神器と呼ばれる物なのです。
そう…話し終えたロン。
俺はいつか聞いた事があった。
『ほお?確かにこの俺もその話は耳にした事があるな………だがそれは一部のヒューマンによってそれは果たされたと聞いていたがやはり裏ではそんな力が働いていたのか。』
『ええ……その四悪神もまた……あの世界の魔王ゼルドリスにも匹敵する程の力を持っていたと話には聞かされました。』
『そんな事が………ではやはりその神器を手に入れ………魔王ゼルドリスへの対抗する力として私達はそれを手にしなければなりませんね。』
ルキのその言葉には力強さを感じていた俺。
するとロンは口を開く。
『実は我がロン一族もまたその四悪神と戦ってきた一族なのです………はるか昔我が祖先はその神器の力で悪神を封じました………神器の間違いないその力は我が一族が保証します………ただそれは簡単に手にできる場所にあらず………覚悟と力無きものには決して辿りつけない場所にあります…………あなた方にはその覚悟がありますか?』
ロンはそう改めて問いかけてくる。
『ああ………俺は竜人族の中でも戦いに秀でてるのでな……そして我が妹は………』
俺の話しを遮るようにルキが前に出る。
『私は竜人族の選ばれし竜の巫女…………………ルキ……………我が一族は運命に抗う為にここへまいりました……ここで撤退の意思はないのです。』
ルキの言葉にロンは目を閉じ笑みを浮かべる。
『はは………そうでしたね……あなた方は神器を求めてこの地に来たのですよね………。』
ロンはそういうと立ち上がる。
『いいでしょう……では…ここからはこのチェンウォンの武闘家であるロン・フェイがこの身をかけ……あなた方を仙人様達の力が支配すると言われる『仙境』へと、この私がお連れしよう。』
ロンはそう告げると家の奥まで入っていったもだ。
そして俺達は半刻ほど待っているとロンが身支度を整え出てきたのであった。
『いやあお待たせ致しました。』
そういって出てきたロンさん。
その姿はまさに武闘家といった出で立ち。
『おお、かっこいいです!ロンさん!!!』
ロンの姿を見ると、そう言い放つルキ。
『フン……姿だけで判断するとは、まだまだ男の見る目がないのお……ルキよ。』
『そうですかー!?お兄ちゃんこそこれまでに私は彼女という女性を連れてきたことがないじゃないですか?人の事をそんな事言えませんよ?』
『なにっ!?ルキよ………兄に向かってなんだその言い草は!?』
『お兄ちゃんこそ、なんですか!?』
するとロンが口を開く。
『まあまあ………二人とも!ルキさん?お兄様にそんな事を言ってはいけませんよ?こうしてあなたの為にここまで着いてきてくれる優しいお兄様は中々いないと思いますよ?』
『えっ!?あ、、、はい。』
顔を赤らめそう声を返すルキ。
このロンという男…………人間にしては姿からするとこの俺の見た目くらいだろうか。
人間でいうと大人の余裕とでもいった雰囲気を持つこの男…………中々の男なのかもしれない。
そんな男にいよいよルキは恋心でも抱いたのか?
俺は複雑な思いを心にしたため、歩き出した二人の後に続いたのだ。
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俺達の向かう先はこの街から遥か北に向かった場所にこの地の大きな山脈があるらしい。
その山々に紛れるように仙人の棲む仙境と呼ばれる場所があるらしい。
そこに俺達の探す神器は眠るという。
そんな俺達には翼がある。
その山脈へは飛べばいいと思うのだが空からの登頂は深い霞で覆われ無理のようだ。
すると山頂へと向かう俺達の周囲からなにかの気配を感じる。
『来たようだ…………お二人は下がっててください。』
ロンはそう言うと荷物と上着を地にそっと置く。
するとドドドと何かの足音が聞こえてくる。
『これから来るのはこの山の番人呼ばれる魔物………』
足音がさらに大きくなる。
『きたみたいだ…………………。』
ロンは構えると飛び出す!!!
『氷虎です!!!!!』
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