シーン37そして次なる大地へ。
俺の元へ皆が駆け寄ってきた。
『お兄ちゃん!!??』
『雷武様っ!!!??』
特に、この妹のルキとサラマンダーのサラは可愛すぎるのだった。
『お前達……!!???』
俺は両手を広げ彼女達の抱擁を待ち望んでいた。
すると……………むぎゅう♡♡♡
俺がその手に抱きしめていたのはなんとも毛深い二人だった。
ん!?なんだこの感触は!?
俺は胸に抱きしめたものに目を落とす。
すると……にたあああーーーっと気色悪い表情で微笑む猫とイタチと目が合うではないか。
『貴様らあああーーーーーーーーーーっ!?』
俺は思わず叫んでいた。
そして背後からくすくす笑っていたルキとサラがいた。
『お兄ちゃん……………そんな事してないで……見てよ…………ほら。』
ルキの声に俺がそちらに目を向ける。
すると美しい翼を広げ………フェニックスが檻から放たれて舞い上がっていた。
『フェニックス…………………お前…………解放されたんだな。』
そしてそれを間近で見ていたのはサラだった。
『サラ……………………………………。』
するとサラの身体はゆっくりと足元から炎へと変わっていた。
サラは目を閉じすぅーっとまるでフェニックスに取り込まれるかのように宙へと浮いていった。
フェニックスの声だろうか………俺達にそいつは語りかけてくる。
『貴方はこのワタクシ……………フェニックスをお救いくださいました…………ここで感謝の意を示します………。』
『いや…………フェニックス様…………私達は何もしておりません………ただ困り果てていたサラちゃんがいて、長老様がいて…………そしてフェニックス様も。』
ルキはフェニックスにそう告げていた。
するとフェニックスは続ける。
『かの…………ドラゴン族…………長による話は聞いておりました………世界の危機を予知しここまでやってきてくれた事……重ねて礼を………そして竜の巫女よ………私もそなたへの礼を兼ねて………我が力を神器としてお渡ししたいと思います………さあ受け取ってください。』
『フェニックス様………その行為はありがたいお話ですがフェニックス様はお力が奪われていた状態かと思われます……ですからもしかしたら存在も消えてしまうかも………それは悲しいです。』
ルキはどうやらあのロンの事を思い出したのかもしれない口ぶりだった。
『ふふ………竜の巫女よ…………貴女は本当にお優しいですね……………………』
そういったフェニックス。
すると代わりにだろうかサラが口を開く。
『竜の巫女………ルキ様……………私はサラマンダーです……………そして我々サラマンダーはこのフェニックス様と共にある存在なのです。』
サラがそう言うと…………………彼女の隣にボっと炎が発する。
それは形を成していく…………どこかで見たその姿は…………なんと里の長だったんだ。
すると長はにこりと微笑み…………すぅーっと フェニックス様の身体に吸収されていく。
『長老様!!???』
ルキがそう叫ぶ…………するとサラはにこりと微笑み口を開く。
『ルキ様…………………元々私達サラマンダーは炎の精霊の始祖でもありますフェニックス様から発生した存在………長老はフェニックス様の元へと帰り…………そして新たなサラマンダーとして…………次のサラマンダーの生命として発する事でしょう………私達はそのような存在なのです。』
サラの話にルキは困惑しているようだ。
『ルキ様…………やはり鋭いお方ですね………そうです…………これから貴女型の神器をここに具現化します……………その為にはこの私の身体もお使いいただきます。』
『なんだと!!???』
俺は思わず声を漏らす。
『ふふふ…………雷武様………妹さんと瓜二つの容姿でいられた事…………そして雷武様にちょっとですが恋心を燃やせた事………私はサラマンダーとして……………お二人………いや………フェリス様もフェローム様にも出会えた事………………僅かではありましたが………貴重な経験と時間を過ごせた事………皆さんと過ごせた時間が素敵な時間になりました。』
そういったサラの身体は僅かに透けていく。
『サラ…………………………。』
『サラちゃん。』
するとサラはとびきりの笑顔を見せる。
『皆さんありがとう…………そして私もまたルキ様のお力になれること………嬉しく思います。』
『雷武様……………………大切にしてくださり………ありがとうございました……また生まれ変わっても………会えたら嬉しいです。』
『サラ…………………………………。』
そして。
すぅーっとフェニックスに吸い込まれるように消えていったサラ。
するとフェニックスはボウッと炎を立ち登らせる。
そしてそれは形を成しルキの手にすぅーっと渡る。
『それは我が力………………フェニックスアローです……そして神器の一つです……どうか…………我々も貴女方と共に………戦いましょうぞ………そして……ここからは………聖獣様がおられる……アフリエイトへと向かうとよろしいでしょう。』
そう告げたフェニックス。
そしてすぅーっとその姿を消していったのだ。
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