シーン32不思議な力。
俺達の前には巨大な機械の檻に入れられ力なくその翼を閉じていたフェニックスが見えた。
それは俺達に衝撃を与えたのだった。
『フェニックス様!!???』
『フェニックス様…………………。』
サラと長老の叫ぶ声がこの塔内部に響き渡る。
そして……………………………………。
そのフェニックスを幽閉し……ニタニタと笑みを浮かべているサイボーグ化したケンタウロス。
『お前…………………ケンタウロスってえのは俺もその名は聞いた事があるが、ヒューマン達にとっては神のような存在じゃあなかったのか?』
俺の言葉にぴくりと反応し……一瞬笑みを消すケンタウロス。
すると奴は口を開く。
『黙れ……………貴様のような下等な爬虫類とこの神でもある俺を一緒にするな。』
『フン………………ならばそこをどけ……俺達はこのサラマンダー達を救う為にそこのフェニックスをそこから解放したいのだ。』
『それではお前達には一生かかってもフェニックスを解放などはできまい………この俺ケンタウロスがここを守っている限りはな。』
そう言い放ちその腕には巨大な何かが装着され構えるケンタウロス。
ドオオオーーーーーーーーーーッという爆風を上げるケンタウロスは装着された何かから見えたのはギリギリと音を立て無数の矢尻が顔を出す。
するとケンタウロスは口を開く。
『どうだ…………俺は元々…………戦いの際には弓矢を好んで使用していた…………だから俺の弓矢の腕は達人の域であった……だが見るがいい…………どうだこれは………そんな俺の武力を遥かにアップさせたのが自身の機械化だ…………達人の俺が機械化で更にパワーアップしたのだ…………お前達などもはや赤子同然の戦力となった俺はここで……あ…………そういえばそうであった…………なあ?ドラゴン…………もしもお前達が命乞いをし………ここで敗北を認めるのであれば………そうだのお………フィガーロ様………果ては魔王様への口利きをしてやってもいいぞ?どうだ?悪い話ではないだろう?』
ケンタウロスは笑いながらそう言い放った。
『ああ………確かにそうだなあ…………』
『お兄ちゃん!?何を言ってるの!?』
俺に叫ぶルキの声。
『確かにお前達の軍門にくだりその鋼鉄の身体でも手に入れば………俺はドラゴンサイボーグとしてまさに地上最強となれるのかもしれん……しかもそのボディは永遠に近い存在になれるのかもしれん。』
その身を震わせ……目に涙を浮かべたサラもいた。
『だがな…………仲間達を消され……涙を流し……そして絶望し……………藁をも掴む思いで頼み込んできた……………そんな、か弱き者を………………。』
俺の背後から炎が溢れ出す。
『俺は放っておけねえだろーが!!!???』
その瞬間。
ドゴオオオーーーーーーーーーーーンっと放たれた俺の拳は目の前の機械兵器と化した元神の存在だったというケンタウロスの顔面を捉えていた!!!
『ぐっ………………………この強烈なパワー…………やはり貴様は只者では無いようだな。』
俺の拳を顔面にくらいながらも未だ立ち尽くすケンタウロス。
さすがに一筋縄ではいかないようだ。
『なにっ!?俺の拳が……………………………!?』
俺が驚きの表情を浮かべていると。
ルキが叫ぶ。
『お兄ちゃん!!!???』
その瞬間。
『クククッ……………どうだ!?その腹に刺さった数十本程の矢の痛みは?』
ケンタウロスの腕がいつの間にか俺の腹目掛け至近距離で放った矢。
強烈な痛みを感じ膝から崩れ落ちる俺の身体。
そして。
『うぐっ…………がはっっっ!!!???』
突然腹から喉元……そして口から赤い鮮血を吐き出してしまう俺。
『お兄ちゃん!!???』
『雷武様っ!!!???』
俺の名を叫び駆け寄って来ようとするルキとサラを片手を差し出し止める。
『くる…………………な。』
二人の足がピタリと止まる。
俺が感じた何か…………それはこの男の強さだった。
元々神とまで呼ばれたコイツは本当に実力者で強者だったのだろう。
俺はそれを身に染みて感じていたんだ。
これは………今いるメンバーだけでは危機を覚えた俺。
するといつの間にか俺の傍に見知らぬ……………二人の男達が立っていたんだ。
『ん!?お前達は。』
俺がそう問いかける。
一人は剣を携え鎧に身を包み……白髪で生意気そうな目をしてるヤサ男。
そして、もう一人は迷彩柄の衣装を纏い……身体中に爆弾を取り付け………………そして巨大なライフルを背中に背負いサングラスをかけたマッチョな男の姿だった。
すると白髪の男が口を開く。
『おお………これはなんの因果なのか…………やはりフェニックス様のお力のおかげであろうか。』
『そのようですね…………さあ………師匠…………どうやらここは僕達の出番のようです。』
ん!?コイツらのセリフ。
俺は辺りに目を向けるとあの猫とイタチの姿がどこにもないではないか。
『お前ら………………まさか……………………………。』
俺はただ…痛みを堪え………その光景に目を向けるのだった。
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