シーン30サラマンダーの願い。
俺に頼み込んでくるサラマンダーの里の長老。
だがその話ではフェニックスを救ってくれと言う話だった。
『それで…………じいさん……………そのフェニックスとはどこにいるんだ!?』
俺の問いに長老は語り始める。
◇
実は我らが神であるフェニックスはこのヨーロディアの遙か北……そこには一つの島がありまして……………その島にヒューマンが建てた巨大な塔があるのですが………誰も立ち入る事がない小さな島…………島の存在を誇張するようにそびえ立つ巨塔。
フェニックス様はそこに幽閉されているらしいのです。
◇
そう語ったサラマンダーの長老。
するとさらにサラが口を開く。
『雷武様…………先程私達を救っていただいたばかりでこうしてまたお願いをする事………本当にすみません…差し出がましいお願いなのは重々承知の上なのですが……………やはり私達には強きドラゴン様であります…………雷武様達に頼るしかありません……………もし気に入らないのであれば私は……………その身を全て貴方に差し出しても構いません!!………………ですから…………私達を…………………………………………。』
『私達を………お救いください。』
サラの目は涙で潤んでいた。
俺はそんなサラを、放っておくなどできはしなかったのだ。
俺はサラの肩に手をかけその目を見つめ…告げる。
『サラ………もう大丈夫だ………俺がいてやる。』
俺の言葉にさらに目から涙が溢れ出すサラ。
『はい、ありがとうございます。』
『なんだあいつ?一人でカッコつけやがって。』
『あのセリフは僕に似合うと思うであります!!』
なんか外野がうるさいが俺は震えるサラを抱きしめていたのだ。
するとルキが口を開く。
『お兄ちゃん………あの島はここからそれほど離れてないみたい………ただ………またあの塔にはフェニックス様のお力も感じますが……それに匹敵するかも知れないほどの何かを感じます……。』
『ふむ………たしかに何かしらの力を感じるな……これはやはり魔族のものだろうな。』
『はい…………でもこの魔力の量はちょっと嫌な感じがします…………気をつけないと私達も先程のようになってしまいます。』
ルキの声に一同沈黙してしまう。
すると……声を上げたのは長老だった。
『竜神様………我々のエネルギーの源にもなり得るほどの力を持つ貴方だからこそ………どうぞこの地の………我々の力を十二分にお使いくださいませ。』
『じぃさん…………気づいていたのか?』
俺の言葉にルキか不思議そうな表情で問うてくる。
『お兄ちゃん………私に隠し事ですか?』
『いっ!?ルキ?そうじゃないんだ………まあこれは俺の能力が炎だから言える事なのだが………俺の力の源の炎を発生させるエネルギーをこの身体に普段から溜め込んでいて俺は炎を吐いたりそのエネルギーで戦ったりもできているのだが………その構図はそいつらサラマンダーとは違うものなのだ。』
俺はなるべくわかりやすいように説明する。
『一方……そこにいるサラマンダー達は自ら炎エネルギーを作り出し続け放出できるようになっているのだ………ここまでの説明はいいか?』
俺の問いかけにまるで生徒になったかのようにいつの間にか机と椅子を用意し座る奴ら。
アホ猫にミリタリーイタチ、こいつらは学ラン姿………そしてルキにサラ…二人はなんとセーラー服を着て座って聞いていた………こともあろうに長老までもが学ランをきて俺の話を聞いているではないか。
なっ………なんだコイツら………本当にふざけているのだろうか。
『先生ーーー!!授業だるいんですけど。』
『そうそう!先生の話はつまらないであります!!』
こいつら……………。
するとルキとサラが俺を助けるかのように。
『ちょっと男子ーーー!真面目に聞きなさいよ!』
『そうそう!!先生の言う事は聞かないといけません!』
おお………ルキとサラには特別にテストの時点を百点満点にしてやろうではないか?
すると最後に長老はボケたのか…………。
『酒…………飲みたいのぉ………………。』
◇
『って……こんなコント等やってる場合ではないのだーーーーーーーーーーーーーーっ!!』
思い切り突っ込んだ為に俺ははぁはぁと息を整える。
『いいか?さっきの続きだが簡単に言えば俺はサラマンダー達のように自らはエネルギーを作り出せないが炎を溜め込める……それにより俺のエネルギー量は限りなく………膨大な炎の発射装置にはなれるのだ……』
俺はそう言い切った。
すると長老が俺を見ていた。
『雷武殿………どうか………どうか………我々をお救いください。』
『ああ…………任せろ。』
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