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シーン3神器。

俺達がここに来たのは………そして妹のルキが俺の後を追ってここまできたのにはこんな理由があったから……この大地にあるというルキが探しに来たという神器と呼ばれる物。

ルキの為に俺と猫いっぴ………いや……フェリスも同行する事に。

そして俺達は街を歩く。

するとルキはフェリスを御満悦で抱きながら歩く。

ルキの上機嫌な表情に俺は肩の力も抜ける。


『おおっ!?お兄ちゃん!?ほらほら!あれなんだろう!?あ!あっちには!!』


ルキは街の中を見て回る事に色々なものに目がいくようだ……まあ俺達の暮らす村ではほとんどが自給自足だ………こうして色々なものが売っている店なんてものは、ない為、ルキがこうなるのも仕方ないのだが。


『ルキ……………そんなフラフラ歩いていたらあぶねえぞ?』

『えーーーーーっ!?大丈夫ですよーーー。』


フェリスもそんなルキに抱かれながらご機嫌なようだ。

するとフェリスが口を開く。


『んふふ…………らくちんらくちんだにゃあ……この娘………僕がいつか人型に戻れるようになったら結婚してやってもいいな』

『何を抜かすアホねこめ!俺達は高貴な竜族だぞ?お前ごとき精霊に何が出来ると言うのだ。』


俺は生意気な猫にそう告げる。


『ほらほら二人とも喧嘩はしないのーーー!あ!見てこの街の最奥の家に神器の事を知ってる人が住んでるみたいなんだよね。』


そう言ったルキは何かのメモを見ていた。

俺は気になりそのメモを覗き込む。


『ん!?何だこの地図のような子供のイタズラ書きの様な何かは!?』

『ん?そうかなあ?長老様の絵も文字もいつもこんな感じよ?』

『お前は…………………………はあ。』


深いため息をつく俺。

すると同じくそのイタズラ書きを見ていたフェリスが口を開く。


『ほお?これは……』

『は?俺でも解読できないこの地図が分かるのかフェリス?』

『僕を舐めるでない………こう見えても元剣聖なのだぞ?その頃から文武両道……剣の腕はもちろん……学問にも、そして芸術もこの僕は才あるヒューマンだったのだ。』

『芸術………ねえ………………………………………。』


俺はフェリスをジト見する。


『なんだその目は!?じゃあこのままこの僕の言う通りに進むがいい!!はい右!!』

『はい!!』


ルキが返答し俺達は声に合わせて右に曲がる。


『また右だ!!!』

『はい!!』


フェリスは自信満々にそう言い放つ、それに返答しルキは更に右へ。


『さあ、ここから右だ!!』

『はいいいっ!!!』


ルキはまた、その声につられ右へ。

そう……………これでは………………………。


『同じ場所に戻っただろおおおーーーアホねこーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?』

『あはは!フェリスちゃんったら!』


大笑いするルキ、そして首を傾げるフェリス。

俺はどっと疲れが増したのだった。


『はあ………やれやれ。』

まあ、こんなやり取りがあった俺達だったが……広すぎるこのチェンウォンの一つの大きな街であるここ『チェイトゥン』。

俺達はいつしか貧困層が住んでいそうな一角へ迷い込んでいたんだ。

こういった場所は兎にも角にも治安が悪い事は俺も知ってはいた。

そこへ。

建物の影からスーッと俺達の前に数名の男達が姿を見せる。


『なんだお前達?』


俺はそう声をかける。

すると男達の中の一人が前に出てくる。


『クククッ………この辺じゃあ見ない顔だが………こんな所に迷い込んでくるとはお前達もついてないな………………』

『なんだと!?』

『俺達はこのチェイトゥンの裏街『フェイ』ここを影で取り仕切る組織『フェルフォン』の者だ……今ならそこの女を置いていけば………………』

『やれやれ…………お前達はもう少し相手を見てそれを言った方がいいぜ?』


俺はそうため息をつく。


『なんだと!?訳の分からない事を言うんじゃない…………さあ、女…………ここでその衣服をめちゃくちゃに切り裂かれ恥ずかしい思いをしたくなければ…………大人しくこっちへ来い。』


するとルキは何事もなくフェリスを抱いたまま歩いていく。

腕に抱かれているフェリスも涼しい顔で欠伸をする。


『おい女………………その抱いてる猫なんかその辺に捨ててこい。』


一人の男がそういいフェリスの身体をつまもうと手を出す。

すると。


『フェリスちゃんに触らないで……………………。』


そう呟くルキ。


次の瞬間。


焦った男達が身の危険を感じたのか一斉にルキに襲いかかる。


『触れないでってば。』


ボウーーーーーーーーーーーーーーッと炎がルキの身体を包み込み。


『うああああーーーーーーーーっっ!!??』


触ろうとした男の腕が燃え上がり転がりのたうちまわる。

するとルキの身体からスーッと炎は消えていく。

ルキはにこりと微笑み振り返る。


『さあ、お兄ちゃん!いこっ!!』


俺はふざけてもこいつを怒らせないようにしようと改めて思うのだった。

お読みくださりありがとうございました。






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