シーン2竜希との冒険。
突然ルキが告げた話はルキをとある場所へ連れて行って欲しいという話だった。
『で?ルキ………その場所とはどこなんだ?だが……その前にそこへ行ってお前は何がしたいのだ?』
俺はそう問いかける。
するとルキは語り始める。
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『長老の話なのですが……………………。
太古から竜人族に伝わる伝説。
竜の巫女なる者は………世界を視る力があるのです……私がいつも修行をしているのは視る力を養う為……それがここ数日前の事……私に見えてきたのは…私達竜人族の滅亡の姿………私は怖くなり長老様に相談した所………その未来を変える為にはとある力が必要だと言う事………そして、その力を解放する為には世界に散らばる竜巫女の為の神器と呼ばれる物を供え祈りを捧げる事でその力は解放されるというのです………そういえばお兄ちゃんは最近の魔族の話を知ってますか?』
俺はその言葉に首を横に振る。
するとため息混じりにルキは続ける。
『今この地は魔王率いる魔王軍が世界を混沌の闇へ変えようとしてるのです。』
俺はルキの言葉にドキリと心を揺らす。
確かに魔王がこの世界に何かをしようとしているのは知っていた。
だが俺たち竜人族は世界でも有数の最強の力を誇る…………そんな俺たちが魔族などに負けるハズがない……俺はそう思っていた。
すると……ルキは続ける。
『お兄ちゃん………私は竜人族の巫女としての責務を全うしたいのです!滅びの未来が見えたのなら私はそれに抗いたいのです。』
『ルキ……………お前も言うようになったな………』
俺はそう答えていた。
『ならば竜人族最強を誇るこの俺様がお前のその希望を叶えようではないか!!!!?なあに………最強の俺たちならそんな未来など覆す事が出来るぞ!!!!!』
『お兄ちゃん………………ありがとうございます。』
にこりと微笑むルキ。
俺は我が妹ながらこの笑顔を見るのが一番の幸せなのだ。
すると突然ルキに抱かれていたねこ精霊が口を開く。
『ほお?お前達兄妹から不思議な力を感じたかと思えばなんと………希少種族………竜人だったか。』
『ん!?』
『ねこちゃん!?』
俺たちは驚き目を開く。
すると猫精霊はぴょんっとルキの腕から飛び出し、なんと二足で立ったのだ。
『僕の名前は剣聖………フェリス…………そこの赤髪の男…………そしてそこの娘には先程腹を空かせていた僕に魚を買ってもらったのでな……聞いていたところ………お前達はこれから旅に出るのだろうて……しばらくの間この僕も力添えをしようではないか。』
『なんとも………………こいつは珍妙な奴よ。』
俺はそういうもフェリスという名の猫精霊はムッと言葉を返す。
『何をいう…………僕は剣聖なるぞ!?今のこの姿が本来の姿ではないのだ。』
そう言い放つフェリス。
だがどこからどう見ても俺にはただの猫にしか見えなかった。
そんな目で見ているとぷるぷる震えるルキの姿。
堪らず飛び出し再びフェリスを抱き上げるルキ。
『めちゃめちゃ可愛いーーーーーーっ!!フェリスちゃん!?私とお友達になってくださるのですか!?』
『おっおおっ!?』
フェリスはルキにもみくちゃにされながら焦り出す。
『お前………………いいのか?ルキはお前みたいなチンチクリンが好みなのだぞ?ずっとそんな旅になるぞ!?』
『なっ!?僕はチンチクリンじゃな!ああっ!!』
ルキの愛でる力にされるがままになるフェリス。
『アホだな……………こいつ。』
『うるさい!!ああっ!!』
俺は溜息をつくとフェリスはもがきながら言葉にする。
『おっ!!お前達はど、ど、こにいく、つもり………なんだあっ!?』
苦しげにそう言い放つフェリス。
『おい!ルキ!!そうだぞ!それはまだ俺も聞かされてはないぞ!?』
俺の言葉にピタリと愛でるのをやめるルキ。
するとルキはとある方向を指を差し口を開く。
『私の『未来視』によると最初の神器があるのは……ここから見えている大地………チェンウォンです。』
そう答えたルキ。
どうやら、この大地から俺達の冒険は始まるのだった。
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