シーン11二つ目の神器を求めて。
俺達は神殿から街まで戻っていた。
ロンは消えてしまったがルキはその手に何かを持っていた。
『ルキ?それが取りに来た神器というものなのか?』
『そうだよ……お兄ちゃん!これどうやって使うか分からないけれども………』
ルキがそういいながらそのグローブの様なものを手にし見ていた。
キラキラと輝くまるでクリスタルの様な輝き。
俺はルキからそのグローブを手に取り見てみる。
おお…………これは………だが。
俺が眺めているとすぅーっと何かがグローブから、ぷかぷかと浮いている。
それはまるであの俺達が戦った氷の女神の幼体の様な姿。
『これは。』
『可愛いですわ♡』
ルキが微笑み氷の精霊に目を向け話しかける。
『うわあ可愛いですねえ♡あなたはひょうこだからあ………ひょこたん♡でいいかな?』
ルキはアレが可愛いく見えるのだろうが、俺はルキの可愛らしさにボーッとしていた。
ハッと我に返る俺。
『いやいやいかんいかん』
『んん?お兄ちゃんどうしたの?』
『アホだのお。』
俺を見て憐れむような目で見て欠伸をするアホ猫。
するとひょこたん(ルキ命名)がすぅーっと目を開けていく。
『『おお……………………………』』
俺とアホ猫の驚きの声が重なる。
お互いそれが恥ずかしくなり目を合わせ嫌な顔をする。
『二人とも馬鹿なことしてないで…………さあおいでひょこたん♡』
『……………………………………』
ルキの差し出した両手の上にすぅーっと降りてくるひょこたん。
『いやあ…………可愛い………………………♡』
ルキが抱きしめるとひょこたんも嬉しそうに笑みを浮かべる。
『こんなのが伝説の神器の精霊なのか?』
『これが真実なのだから仕方あるまい。』
そう返してくるフェリス。
俺はまだ腑に落ちなかったが今は次の神器を求め行かねばならない事を思い出す。
『ルキ?次の場所はアイツから聞いてはいたが…………………………』
『ええ、お兄ちゃんわかってます………次はここからちょっと遠いけど『ヨーロディア』という大きな大陸ですね?』
『ああ…………そのようだな…………疲れてないか?なんなら俺の背に乗って行くか!?』
『お兄ちゃん!!大丈夫です!!』
元気にそう答えたルキ。
するとドラゴンへと変化した俺の背には、なんとアホ猫が乗り叫んでいた。
『おい!!ほら行くぞ!爬虫類!!!』
『なんだとアホ猫ーーーーーーーーーっ!!』
『もお二人とも喧嘩しないの!!』
そういいながらルキもまた緑の身体の風のドラゴンへと姿を変える。
こうして俺達は次なる大地…………ヨーロディアへと飛び立ったのだった。
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ここはヨーロディア大陸………首都パリーゼ。
そこではなんと…………魔族VS魔族の争いが起こっていた。
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『我が名はケンタウロス…………確かに俺は魔族…………だが武人としての誇りだけは俺の自慢だ……………魔王か何か知らんが………この俺………そしてここに揃った我が同胞達はお前達の指図はうけん!!!!!』
するとそこに対する魔族の代表である指揮官が口を開く。
『ほお?我々魔族は魔王様の元………強さをより求めるのが当たり前ではないのか?』
『フン………知るか…………俺が気に入らないんだ………それは認めん。』
『そうか…………残念だよ…部隊長にもなれるであろう実力者の君なら我が主………フィガーロ様の………ひいては魔王様のお言葉を簡単に納得してくれるかと思っていたのに……………ねえ?』
『やかましい………そんな事を言ってるその口………きけないようにしてやろうか!?』
ケンタウロスがそう言い放ったその時。
目の前には魔族に捕らえられたまま引きずり出された一人の男の姿があった。
ミノタウロス!?
そう、それはケンタウロスを兄と慕い、いつもついてきていたミノタウロスの姿だった。
巨大な身体だが………………それでもケンタウロスとっては一緒に泣き笑いした過去を持っていた。
『お前達……………例え魔族であろうが一人を好き勝手にしていい話はないぞ。』
『はあ?俺達は魔族なのだ………強者こそが絶対であり強者こそが真理なのだ……………まあ今ならお前がその身体を差し出すと言って協力するならコイツの生命まではとるまいよ。』
『くっ………兄貴……………………すまねえ。』
『ミノタウロス………………』
するとケンタウロスはその手から自身の武具を放った。
ケンタウロスの武具が音を立てて地に転がる。
そこで声を上げる一人の魔族。
『捕らえろ!!!!!』
『『うおおおおおーーーーーーーーーーっ』』
こうして一人の魔族ケンタウロスは奇しくも同族である魔族に捕らえられたのだった。
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