シーン109兄として。
あの後、ルキにどうしたの?と問われた俺。
だがルテンは本当に良い奴だ。
何とか誤魔化してくれた。
ルキの決められたとしてもこのルテンなら、俺も認めざるを得ないのだった。
このままこの二人はきっと…………………。
だが…………………………………。
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『雷武……………………雷武を呼んでくるのだ!?』
それは村の長老の声だった。
このジジイ…………この村の語り部でありながらも太古から生き続けてきた古竜なのである。
だが……こいつは事あるごとに俺をイラつかせる天才なのだった。
◇
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俺を呼ぶその声は昼寝中の俺の耳にも届いた。
『………………………じじい………………なんなんだ。』
すると呟く俺の顔を見下ろす影があった。
『お兄ちゃん…………呼んでるよ?』
それは我が可愛い妹ルキだった。
『ああ……………分かってる……………』
『行かないとだよ?』
『ああ…………行かねえとまたお前が探してこいって言われるもんな。』
『うん……………………お兄ちゃん……あのね。』
『ん?なんだ?』
『私ね……………………』
俺はルキのこれまでにない表情を見た気がした。
いよいよか………………ルテンの言葉を思い出した俺。
(兄様……………………俺はルキに……改めて……告白します。)
『お兄ちゃん…………私…………ルテンに告白されました。』
俺はその言葉に身体を起こす…………そしてルキの顔を見据える。
『…………………………………………………………。』
『私……ルテンと幸せになっていいかなあ?』
俺に問いかけるように呟くルキ。
俺はついにこの時がきた………………そう思うと………時が止まった気がした。
『ああ…………俺はルキが心からアイツを思っているなら…………それでいい。』
『うん…………………うん………………………。』
ルキの目からは涙がこぼれ落ちる。
『アレ…………どうしてだろ………?嬉しいのに………私……泣いちゃってる…………………………。』
『ああ………ルキ…………………。』
『えっ?なあに?お兄ちゃん…………………?』
『幸せに……………………………なれよ。』
俺はまるで父親かのようにそう告げる。
『ありがとう………………お兄ちゃん……………本当にありがとう……………………………………。』
◇
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◇
俺は仕方なくじじいの元に向かう。
これはあくまでルキのためだ………そう自分に言い聞かせながら。
長老の家はこの竜村の最奥にある小屋だ。
確かにこのジジイ…………竜の神の声が聞こえるとかぬかしてる古から存在し…………この地にヒューマン達が暮らし始める以前から存在してると聞いた事がある……そんな村の者達からは尊敬の目で見られ……そして敬われている存在だったのだ。
だが………………………。
ギギギ…………………っと長老の家のドアを開け………入っていく俺。
『なっ!?貴様………雷武!?何も言わずこの長老様の小屋に入ってくるとは……いつもいつもお前は!!!???』
そう声を荒らげたのは長老の護衛男………長老へいつも媚びている俺の気に入らない『竜前』という男だった。
そんな竜前を止めるように手を上げる長老。
『長老……………様……………………くっ……………。』
『雷武……お前がこうして素直にワシの声にここへきたのは………もう何十年ぶりかのお………。』
『ふん…………俺はルキがアンタにまた小言のように言われるのが嫌で来ただけだ……さあ……さっさと要件をいえ。』
俺の声に自分の白き顎髭を触っていた長老はその手を止める。
『ルキから話は聞いた………………許嫁のルテン………そしてルキの婚約をこの村のしきたり通り………………執り行う事にする…………………。』
『ああ………だが……………………………………。』
『村のしきたりは………絶対だ…………………竜人族の我らは竜神様の御心と共にあるのだ………。』
俺はその言葉にイラつき始める。
『フン……………くだらねえ。』
『なっ!?貴様雷武!!???』
『やかましい…………俺は、あの二人の結婚は認めている……………だがこの村のしきたりなどには一切興味がねえ……………やるなら勝手にやればいいだろう!?俺には関係ねえ!!!!!』
『雷武……………貴様………………ルキと共に………旅に出て……………少しは変わったかと思ったが………お前は何も変わっていないのか………………?』
『俺はそのしきたりっていうのが気に入らねえだけだ………。』
『雷武…………お前はまだその様な子供のように……………ルキの事を思うなら………大人になり……この村のしきたり通り……大人しく全てを受け入れよ………それがルキ…………そしてこの村の為でもある。』
俺はその言葉に…………小屋を飛び出していた。
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