シーン107竜天。
ルキ視点
私は今………麓の街の道場にいたの。
今日ここに来た理由………それは………今目の前にいる私の幼なじみであり、かつてから許嫁とされる男性………竜天に会いに来たのでした。
『ルキ……………久しぶりだな。』
『うん…………私ね……実は旅に出てたんだ。』
『知ってる………俺が話を聞いたのは、お前が旅だった後だった。』
『ごめん…………………………言わないで出てしまって…………でもね………ルテンに話したら私……きっと貴方に甘えて旅に出れなかったもん。』
私は今こうして無事に帰ってきてからやっと報告していたの。
『ああ……ルキ…………お前は確かにそういう所があるけどさ…………一言言って欲しかったな。』
『ルテンは話したら言ったら私を止めなかった?』
『時と場合による。』
『ズルいよ………。』
するとルテンの腕が私に迫っていた。
次の瞬間。
ルテンは私を抱きしめていた。
『ルテン………………………………。』
『ルキ……………おかえり………………。』
『ただいま……………………………。』
私をこれまで以上に抱きしめてくれるルテン。
彼の言葉足らずの声も……爽やかな汗の匂いも…幼き頃から決して変わらない私への深い愛情を感じる。
私達は昔からこの許嫁として相手がルテンだと言われて………。
幼い時は常に一緒に遊んできた大の友人。
私にはお兄ちゃんがいるけど………過疎と化している村に住んでいる私にとっては貴重な友人なのだった。
それはルテンも一緒の事。
そんな私達はずっと一緒に育ってきた。
成長してきた私達…………私はいつしかこの村の竜の巫女として………ルテンは私を守る為に強くなるんだと………剣の修行……そしていつしか自分の流派の剣技を抱え……今ではこうして子供達に剣を教えるまでになっていた。
『ルテンって凄いよね?』
『ん!?何がだ!?』
『だって剣の道を修行して強くなって、そして今ではこうして子供達にも教えてる………私尊敬してるよ。』
『なあに言ってんだよ!それだったらルキはあの魔王と戦ってきたんだろ?それも抑えてきたなんて………この世界じゃ本当に勇者みたいなものだぜ!?』
すると……私の胸の中に急激に恐怖を感じ始める。
震えてしまう私。
『ルキ!?どうした!?』
私は思わずルテンにしがみついてしまう………そして目からは大粒の涙が………零れ落ちる。
『私………………わたし!!怖かったの!!!私も……………村の人たちも!!仲間達も………お兄ちゃんも!!!そして…………ルテン……………貴方までも!!!皆が魔王にやられてしまうの………そんな夢をずっと見てたの…………………………。』
ルテンの私を抱きしめる腕に力がこもる。
『そうか……………そうだったんだな……………。』
『うん…………………………うん…………………………。』
私は感情が高まり………そしてルテンの胸で…………ずっと泣きじゃくった。
何も言わず私をずっと抱きしめてくれるルテン。
私は…………私の思い……気持ちは………ずっと昔から変わらず…………………目の前にいるルテンに吐き出してきた。
許嫁でありながらも………お兄ちゃんにでも言えない事でも………彼には何でも話せたのだった。
お兄ちゃんなら優しく甘やかしてくれるけど、彼は私の為に喝もくれるし……彼の存在が私の向上心を上向きにしてくれる存在。
それが目の前のルテンだったの。
だから私は彼を尊敬もしているし、惹かれて好きになっていたの。
『大丈夫だ…………ルキ………俺はそんな運命を背負っているのを聞いてきた…………だから俺は死にものぐるいでここまで強くなれたと思ってる………お前は俺がずっと守ってやる。』
『ルテン!!!』
私は彼に……………ずっと抑えていたものをこうして聞いてもらった。
『ルキ……………そういえば兄様も無事だったんだろ?』
『ん!?えっ!?お兄ちゃん!?うん!お兄ちゃんも本当に凄かったよ。』
『そっかあ!兄様は強いからな!兄様がいるから俺はお前が旅立ったと聞いても不思議と安心感もあったからな』
『本当に!?だってお兄ちゃんとルテンって、いつも喧嘩ばかりしてるよね?』
『アレは………兄様が俺を認めてくれないだけだろ?』
『本当に!?私いつも喧嘩しかしてないとこしか見た事ないんだけど!?』
私がそう言うと困った顔をするルテン。
『まあ……でも………………それは何とかしないとだな。』
『えっ!?』
私はルテンの言葉にどういう意味なのか分からなかったの。
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