シーン106ルキと竜天。
俺と麒麟は麓の街まで飛ぶ。
こんな距離はドラゴン化した俺達にとってはほんの一瞬の事だ。
でも今日のルキは人型のままで空を飛行している。
それにめかしこんでるせいなのか……普段とは違いゆっくりと飛んでいた。
俺達は気づかれないようにルキの後をそろりそろりと飛行する。
ルキはああ見えて鋭い所があるのだ………よって俺や麒麟など強力な力を放出してしまう俺達は着いてくる事などすぐにバレてしまうであろう………………。
よって俺達は変装もする事にした。
とりあえず変装と言っても用意できるものなど中々なかった…………あるもので変装できたのは……………。
麒麟は幼女………………俺は美しい大人の女性へと変装していた。
どこから入手したかは聞かないでくれ……
これならば誰にも違和感なく街の人々に溶け込む事ができるであろう。
これで俺達の尾行は完璧なものとなったハズ。
幼女と大人の魅力たっぷりの俺は街に降り立ったルキの背後を着いていく。
ルキは幸せそうな表情で歩き出す。
俺達もその後をゆっくり着いていく。
完璧な変装だ…………これなら誰にも気づかれまい。
俺はそう実感し後を追っていく。
するとどうだろう。
ルキを背後から着いていく俺達。
彼女は幸せそうな表情で歩いていく……。
そんな幸せそうなルキを見ているのは正直嬉しいのだが…………………なんかこう…………………。
俺がそんな事を考えていると…………………。
俺に向けられている視線を感じる。
それは俺を見ている通行人のものだった。
ある娘は俺から視線を逸らし下を向き震えながら堪える。
男性と並んで歩いていた女性もまた俺を視線を合わせたがすぐさま遠くを見つめ男性に声をかける。
だがその声は僅かに震えていた。
何だこの違和感は………………………。
俺がそんな事を考えていると俺を手を繋ぎ歩いていた麒麟が口を開く。
『おにぃ………………皆おにぃを見て嬉しそおだなあ。』
『ん!?そうか!?』
俺が麒麟に目を向け、そう返事を返す。
するとその時。
俺が被っていた長髪のカツラがスルリッと落ちる。
『あ………………………。』
『あっ…………………………おにぃ………頭とれたあ』
麒麟がそう言った瞬間。
俺を見ていた通行人たちが吹き出し大笑いを始める。
『いやあああああーーーーーーーーーっ!!』
『ここでなのおおおーーーーーーーーっ!?』
『『あははははは!!!!!!!!』』
皆が俺を見て笑い出す。
俺がふとガラス窓に映る自分に目を向ける。
すると、そこには女装をした河童頭の大男が立っていたのだった。
思わず吹き出してしまう俺。
『Noおおおーーーーーーーーーーーっ!!!』
『おにぃ!!!!!』
堪らずルキとは反対方向に走り出す俺。
背後から追いかけてくる麒麟。
俺達は気がつくとどこかの公園に来ていた。
『はあはあはあ………………………………。』
『おにぃ……………どうしたあ?』
『ああ……………いやすまん麒麟よ。』
すると麒麟が告げる。
『おねぃ見えなくなったあ。』
『あ………………たしかに………………まあだが………あいつの向かうとこは大体想像がつく…………着いてこい麒麟。』
『うんっ!!わかったあ。』
こうして俺達はルキの向かう先へと再び歩き出す。
この変装も………もうやめた……………俺の精神が持たないのだった。
◇
◇
◇
そんなこんなで俺は麒麟と共に向かった先は………あの忌々しい…………竜天の道場だった。
◇
◇
◇
武神流と書かれた道場の看板を目にしていた俺達。
『あにぃ………ここにおねぃがいるのかあ?』
『ああ…………おそらく……な。』
竜天の道場はこの街の外れにあった。
俺は何度かここを訪れた事があったのだ………その理由は…………そう……………ルキの後をこうして追ってきたのだった。
そして俺達が中の様子を確認しようとしていると……………………………。
『『えいっ!!!……………やあっ!!!』』
道場で汗を流す子供達の声だった。
すると、その前にいたのは汗を流しながら模範となり竹刀を振る男の姿があった。
そう…………そのいかにも爽やかそうな黒髪短髪イケメンが……………竜天なのだった。
そして周りに目を向けるとそこに立ち竜天に目を向けていた……………可愛らしい姿と笑顔で見ていたルキの姿があったのだ。
『!!!!????』
『おねぃ……………………』
俺は驚きで胸がいっぱいになり声をころす。
すると竜天が竹刀を下げ…………子供達に声をかける。
『よおし!!お前達!!今日はここまでだ!!また明日がんばろうな!?』
『『先生ーーーーーーーー!!ありがとうございました!!』』
『ああ!!またな!!』
いかにも爽やかそうな光景……俺は何かモヤモヤする。
すると一人の少女が声をあげる。
『あははっ!?せんせえ!!これからデートだね!?頑張ってね!』
竜天とルキは真っ赤になる。
『なっ!?こら!大人をからかうんじゃない!?』
『あははっ!せんせえ頑張ってねえ!!』
そして、からかいながら帰っていく子供達。
『『せんせえ頑張ってねえ!!』』
そしてそこには赤い顔の竜天とルキが残された。
俺はその様子を震えながら見ていたのだった。
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