シーン1雷武とルキ。
とある国の象徴の大山には竜人一族と呼ばれる伝説の種族が暮らしていました。
俺は魔神雷武…………竜族という伝説の竜人族の一人だ。
俺達竜人族は富士の竜村という場所でひっそりと暮らしている。
『お兄ちゃん!?どこにいるの?』
俺を兄と呼ぶ声………それは俺の妹でありこの村の巫女として存在する竜人族の一人……『竜希』だ。
俺は村の神社がある大木の上に寝そべっていた。
俺達は竜人族として竜神を崇めこの地で暮らしてきた……。
そして俺のこの赤毛は炎の象徴なのだ。
ただ。
我が妹の竜希もまた………赤毛の竜女であった。
『よっ!』
俺は大樹から飛び降りると背後から
声が聞こえる。
『あっ!やっぱりお兄ちゃんここにいたのね?』
『なんだよルキ?また長老でも俺を呼んでるのか!?』
俺の言葉に何かを思い出したかの様にハッとするルキ。
『そうそう!長老様がねーーー!!』
やっとの事で俺への用事を思いだす妹のルキ。
そんな呆けている所も我が妹ながら心地よく思っていた。
『………………………………。』
俺は無言で背中にドラゴンの翼を発現させ広げる。
『ルキ………長老に言っておいてくれ……………俺は今………忙しいのだと。』
バサっと翼を羽ばたかせ空に舞い上がっていく俺。
『あっ!?お兄ちゃん!!!???』
『わりいなルキ!ちょっと行ってくるぜえ!!!』
『お兄ちゃんどこ行くの!?お兄ちゃんってば!!!???』
俺はどこまでも遠く舞い上がり飛行を始める。
俺達の棲む竜の富士は島国である『邪馬国』の一部だ。
この広大な世界からすれば実際はとても小さな島国の一つである。
俺は気分が乗るとこうして他の大地まで飛んだりする事もある。
世界の中のヒューマン属もその知能を使い飛空艇などという空中を移動する乗り物なども作り飛んでるらしいが俺様の翼には敵わないのだ。
『ふぅ………ヒューマン属は頭脳は優秀らしいが戦闘能力………そして魔力においては精霊属、魔族には敵わない…………だが我々竜属はこの世界でも貴重でレアな種族だ………だが長寿でもあるが故…………それと繁殖能力は人が少ない為に極めて悪い………要するに血縁関係がほとんどなのだ。』
って俺は誰にこんな事を話してるんだ?
そんな事を考えながら俺が飛んでいると遙か眼下に何かが見えてくる。
『ん!?あれは!?』
俺の目に飛びこんできたのは大きな大地だった。
そこで目に飛びこんできたのは広大な大地に見えるヒューマン属が建設したであろう建物が並ぶ国。
『あそこはなんて言ったか………確か城塞国家ファンコクだったか…………』
俺は気まぐれにその大地に降り立ったのだ。
そして俺は人型へと姿を変化させていく。
すると。
『まてえーーーー!!この泥棒猫ーーーーー!?』
何者だろう!?流暢に話すその言葉の主がヒューマン属のものだと言うことに気がつく。
すると何者かが魚屋という店から魚を咥えてこちらへ走ってきたのだ。
動物か!?と思ったのだがよく見ると、あれは。
『精霊か!?』
俺がそいつから感じたのはなんと精霊の気配だったのだ。
そう、動物なのだろうその姿は猫の姿をしたその精霊。
『ちっ!!気まぐれだ………俺が捕らえてやるか。』
俺はそう思い軽く炎を纏わせる。
すると精霊は何かを悟ったのだろう身体に冷気を纏わせる。
それは俺の炎に勘づき発したのだろう力だった。
『なにっ!?その力………だが、この俺竜人である雷武様にとっては大した力ではない……………さあ猫の精霊よ………立ち止まりその咥えた魚を離すがいい。』
俺が炎を発しようとするも猫は空気を凍てつかせた………その時。
『ストーーーーーーーーーーーーーップ!!』
それはどこかで聞いた声。
なんと俺たちの前に現れたのは……我が妹のルキだったのだ。
『ルキ!!??どうしてお前がここに!?』
すると、その猫精霊はなんと、ぴょんっと飛び跳ねるとルキに抱かれにいくではないか。
『もお………猫精霊ちゃんそのお魚は私がお金は出しておきました!だから食べていいですよ?』
『なっ!?お前は見ず知らずのその猫に優しくしても何も出んぞ…?というかいつの間に俺に追いついてきたんだ。』
するとルキはため息をつき答える。
『私だって竜人なのですよ?これくらいの事はできます!それよりお兄ちゃん?私は長老から伝言を預かってここに来たんだけれど…………』
『まあ…そうなのだが……なんだ?………また小言か?それならウンザリだから話すな……………。』
俺はそう言うとルキはにこりと微笑む。
『お兄ちゃん……話は最後まで聞いてから飛び出しなって。』
『ん!?なんだルキ?』
『ちょっとした冒険に私を連れて行って欲しいのです。』
『なにっ!!???』
◇
◇
◇
魔神雷武の物語。
お読みくださりありがとうございました。
 




