アンドレア・エルフローレン3-2
目の前の隊員も、俺に囁く声も、何やらごちゃごちゃと言う。
時間はある様で、実際は無いというのに。
このままウジウジとされていては事が進まない。
俺はドアの方へ歩いた。
が、奴は先回りをし、ドアの前に座り込んだ。
いざとなれば2人を窓から入れる気ではいたが、あの子がスムーズに入れるか不安がある。
最善の方法を取りたい。それには、ドアが速く安全だ。
「彼らを見殺すのか?」
「お前みたいな優秀者には分からないだろ」
『優秀者様だぜ?』
何を言い出しているんだ、コイツは。
俺の考えが見えたのだろう、引き攣った顔をする。
「あぁ、そうだろう。俺の名前や…顔すら知らないだろ」
「…知らないな」
『酷くね?敗北者が可哀そうだろ』
「俺は…第二の…柳隊長は…」
何やらまたモゴモゴ言い始めた。
第二の所属…柳隊長の下か。
大方、率先して死ねと言われでもしたんだろう。
本庄隊長とは違い、横暴で嫌味な奴だと知っている。
「それが、カイルと少年に関係あるか?そこを退いてくれ。彼らにも…俺達にも危険は迫っているんだ」
「俺は…帰れない。でも…死にたくない」
「柳隊長に何を言われたかは知らないが…。予想はできる。所属は運だったし、お前は運が悪かった。しかし、このままここにいるのか?奴が入ってくるまで?」
「…」
「大方特攻を命じられたんだろ。外の…奴らに特攻していた隊員達が居たからな」
「…皆…」
「第二全員ではないだろう?」
「…隊長にとって使えない奴らさ…。俺も…」
「使える奴だと示せ」
『無茶言うぜ』
「俺とカイルと…あの子を守って逃げればいい」
「そんな簡単に…」
「簡単ではないだろう。外にはあれがいるし、機体も残っているか分からない。しかし、4人だ。隊員1人ではできない事も、3人いる。あの子はか弱そうだが…意外としっかりしてるんだ」
『おいおい、子供の事は知らないぜ?』
「搭乗人数も4人。お前が協力してくれたら、ピッタリだろ」
金髪の隊員がこちらに目を向け、ようやく目が合った。
もう少しだ。
『物は言い様…だな』
聞こえる声にイライラが溜まるが、目の前のコイツには聞こえていない。
怒鳴りたい気持ちを抑え、説得を続ける。
お願いだから…抑えられている間に…説得に応じて、ドアを開けさせて欲しい。
『キレたら全てが台無し、おジャンだもんな』
ちらっと、外を見る。
2人がドアから出てきた。
…何かがあったのだ。
キッチンの奥のシェフの死体と卵が、頭に浮かぶ。
その周りの…死体達の…腹はどうだっただろうか…。
アイツらがいたのだろうか。
もう少しちゃんと焼けば良かったのだろうか。
…俺は拳銃を持ち金髪の隊員に向ける。
「こんな事は…したくない」
隊員の目が恐怖に慄き、開く。
「あっちの状況が…変わった様だ。お前をゆっくり説得する時間はない。どうする…?」
撃鉄に指がかかる…。
『おっ。殺るのか?』




