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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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96/200

アンドレア・エルフローレン3-1

2人を食堂に残し、休憩室の窓まで迅速に移動した。

と言っても、廊下のアイツにさえ気を配れば目と鼻の先だ。困難ではない。


食堂のドアのガラス部分に、カイルの顔が時折見える。

アイツの…観察するような眼を俺は感じていたが、何も聞かれず何も言われなかったのを幸いに、何も言っていない。


『聞かれてもあやふやにするよな?』


キッチンに居た時は聞こえなかったあの声が、聞こえてくる。


『薬の所為だとか…思ってないよな?』


窓から中を見る、ここからは誰も見えない。


『腹に産み付けられた奴は燃やさなきゃな』


上手く下を見れないが、誰かがいるはずだ。


『アイツが代わりに燃やしてくれて良かったじゃないか』


窓の斜め下に短髪の金髪頭が見えた。


『精神安定剤』

『興奮が治まっては来たかい?』


いつもの下卑た笑いが頭に響き始めた。

自分の鞄から小型のライトを出し、壊れてい無いか確認する。ちゃんと点く様だ。

軽く窓付近の壁を叩き、中に向かってライトで信号を送る。


--・--() -・--() ・-・-()


見えている頭がビクついた。

気が付いた様だ。


『言うこと聞いてくれたら良いねぇ』


--・--() -・--() ・-・-()


中にいる奴がこちらを向いた。

一緒の隊の奴ではない。見た事のない顔だ。


『誰だアイツ』


同感だ。

いや、そんな事より開けてくれはしないかと、もう一度信号を送ろうとする。

開けるまで壁を叩き、ライトを当て続けるつもりだった。

中の彼がこちらに来て、窓の鍵を外し隙間を開けた。


「やめてくれ、廊下の奴に気付かれたらどうする」

「ドアを開けてくれ」

「無理だ…アイツが入ってきたらどうする」

「…入れてくれ」


隙間は広がらない。


「お前…アンドレアか」

「俺を知ってるのか」

「話は聞いてる…あれだろ、成績優秀の上位ランカー…」

「そうか、なら協力を頼みたい」

「…」

『コイツ躊躇ってやがるぜ』


窓の隙間に指を入れ、勢いよく開け入る。

油断していた奴は勢い余って転んだが、気にはしない。

素直に入れないコイツが悪いのだと、心の中で悪態をついた。


「閉めてくれ」


情けない声を上げていた割には、瞬時に態勢を立て直した。

一旦言われたとおりに窓を閉め、鍵をかける。

鍵をかけた所で、廊下の奴が本気で来たら意味など無いが。

目の前のコイツがあからさまにほっとした所を見ると、無意味なことでも()()()()()()()だとも思う。


「お前…1人か?」

「いや、ここに入れなかったから後2人、食堂に避難している」

「誰だ」

「1人は第一所属のカイル・キース。もう1人は先日救助した学生だ」

「学生?!?」

「そうだ」

「…足手まといじゃないか」

『それ言う?』

「救助対象者だ。規律は分かっているだろう?」


金髪の隊員は不服そうな顔をする。


「こんな状況でもか」

「あぁ」


『人殺しても分からない状況だから見殺しも出来るぜ?』


…もう一錠飲むべきだったか。

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