A班 救助用機体5021 カイル隊員3-2
死の描写と残酷な描写があります。
苦手な方はご注意ください。
先程、水を取りに来た時同様、慎重にドアの前を通り、受け取り口の台まで行く。
もう少し奥にいるのだろう、アンドレアの姿は見えない。
銃は使いたくはないが、念の為構えながらそっと歩く。微かな音は、アンドレアが居る方向から聞こえてくる様だ。
いつ、廊下のアイツに気付かれ突撃されてもおかしくない状況に、緊張で冷や汗が背中を伝うのが分かる。
出来る事なら…。
外のデカいヤツとの方がマシだと思う。
電気がいつもより暗く感じ、上を見ると電灯が何個か割れていた。
足元のガラスを踏まない様に先へ進むが、何度かパリッと音がした。
奥の方で動く人影が見える、アンドレアだろう。
その足元に…奴らしい影が見えた。
しゃがみ、様子を見る…。
彼らより手前に、倒れた人間が何人か居る様な…そんな影が見えた。おそらくは全員死んでいるだろう。
銃を構え、発砲の準備をする…。
撃鉄を起こすとカチリと音がなった。
ゆっくりと近付く…。
その時、アンドレアが手に持つナイフで奴を突き刺した。
耳障りな奇妙な音を立てながら、激しく動く奴をアンドレアは尚も刺し続けた。
「アンドレア!」
体重を掛け、奴を押さえ付ける彼に駆け寄る。
「気を付けろ!側にまだいる!」
暴れる奴をナイフごと…床へ突き刺す勢いを緩める事無く、アンドレアは叫んだ。
どこだ。どこにいる!?
俺は周りを見渡した。
「そこに転がっているシェフの死体に、いるはずだ」
左右を見るが、どれがシェフなのか分からない。
よく見ると足元にもナイフが刺さった奴らが居た。
…幼体…か?
我々が知る「幼体」とはだいぶ大きさが違う。
あまりにも小さくて…生まれたて、なのだろうか?
アンドレアが突き刺すナイフの下にいる奴も、目の前に息絶えた奴も、どうにも小さい。
「小さいが…人を喰うぞ…」
アンドレアは奴を押さえ付けながら言う。
まだ、奴の勢いが衰えず、苦戦しているらしいかった。
「他の奴はどこだ、どこにいる!?」
銃を構え、アンドレアに背を向けながら彼に近付く。
彼の下の奴はまだ奇妙な音を立て、生きている事をこちらにアピールしてくる。
なかなかにしぶとい。
「後一匹…台の下に転がってる死体だ」
アンドレアが顎で示した方向に、異常な形の赤黒い物があった。
俺は警戒し、銃をそれに向けながら近付く。
悍ましい形相で…惨憺たる状況の…。
人間の死体が、転がっていた。
思わず顔を背けてしまう。
顔の下半分は崩れ、薄っぺらい大胸筋が、破れた服の様に捲れ上がり、肺も胃や肝臓さえも無く…空っぽな空間を曝け出していた。
有るべき筈の胸骨も、砕けてどこかへ行ってしまったのか…喰われたのか…何も無い。
頭付近に白い小さな物が転がっているのは…歯か骨か。
しかし、アンドレアが言う奴がどこにも居ない。
もしかして…逃してしまった…か?
その場合、1番危険なのは滝中君だ。
キッチンを出て、彼の元へ向かおうと振り返った時、身体に何かが触れた。
銀に煌めく…糸の様な…モノ。
「カイル!」
俺の頭上に…。
アンドレアが制しているモノと同じ大きさの…。
奴が居た。




