A班 救助用機体5021 カイル隊員3-1
アンドレアと合流し、命辛々と言っていい程の体でドックの建物に着いた俺達は、一息も付くことなく窮地に追いやられている。
ドックへ向かう廊下にヤツがいる。
俺の苦手な…アイツだ。
絶望の淵に立たされ、両手で頭を抱えた俺を、アンドレアはリードしてくれた。
休憩室には入れなかったのは残念で、どうにかするべき事だが、急遽身を隠した食堂で滝中君の意識が戻った事は良かった。
水を取りに行ったアンドレアが、合図を送って俺を呼ぶ。
受け取り口の台には水の入ったグラスが置いてあった。
空のグラスを持って奥へ行く彼に「わかった」と手を挙げる。
「ちょっと待っててくれ」
そう、少しぼうっとしている滝中君に声をかけ、取りに行き彼に差し出す。
「すみません…手が…」
彼の握りしめた手が、余程しっかりと握りしめていたのだろう、固まって動かなかった。
そして今もなお、続く緊張で硬直しているのだ。
彼の手を握り、ゆっくりと擦る。
「大丈夫だ。大丈夫」
そう言い聞かせ、一本ずつ組んだ指を解していく。
「外には化け物がいるから、小声で…ゆっくりと話すよ」
彼は頷いた。
「今僕達は、向かっていたドックの建物内に居る。ここからドックへ向かいたいが…どうも廊下に幼体が居て…他の隊員達を襲っているみたいだ。廊下には遺体がある。見たくないかもしれないが、どうしても目に入ると思う」
彼は静かに聞いている。
「君の体力次第だが…体力温存に出来ればもう一度、僕かアンドレアの背に居て…もしもの時は、降りて僕らの指示に従って欲しい」
「分かりました」
ようやく彼の指が離れ、動くかどうかグーとパーを繰り返して貰う。
ぎこちないながらも出来るようで、スムーズになるまで繰り返した。
そして、水の入ったグラスを渡す。
少しずつ飲む彼を見て、俺は安心した。
「どこか痛い所とかは無さそうだね」
「はい。大丈夫だと思います」
テーブルから降り、立ってみる彼を観察する。
腕や足を曲げ伸ばししてもらう。
「よかった。頭とかも打ってない?」
「はい、多分…痛みは有りません」
「何か違和感とかが有れば教えてくれ」
「はい…」
ガタン
アンドレアが行った…キッチンの奥の方で何か音がした。
口の前に人差し指をやり、滝中君に沈黙するよう合図する。
近くの窓から、外に居るアイツには気付かれていない事を確認後、滝中君にテーブルの下…椅子の間に隠れているように指示する。
「ちょっと確認してくる。外の奴には気付かれて居ないだろうが念の為、君はテーブルの下に隠れてて…ちゃんとどっちかは戻ってくる様にするから…」
口を開きかけた彼を置いて、俺はキッチンの方へ進む。
途中のドアからもアイツは見えなかった。
ただ、廊下の床に広がる血の量で、遺体が増えている気がするのが…心底嫌だった。
そして、アンドレアが向かった奥へ…慎重に進む。
「無事で居ろよ…アンドレア…」




