本庄 凛(ほんじょう りん)4-1
第二基地から第四基地へ移動中、私は無気力だった。
怜と誠也の事はまだ分からなかった。
時折、操縦席に繋がる無線が微かに聞こえて来たけれど、良いニュースとは程遠い物ばかりで、ヘリの中は重たい空気で満たされていた。
この瞬間にも誰かは怪我をし、誰かが死ぬ。
私は無力で…何も出来ない。
肩に置かれた父の手も、心なしか震えている気がした。
ただのヘリの振動かも知れないけど、父に人間らしい動揺を求めていた。
基地が爆発をした所は見なかった。
目を背けたから。
あの化け物が基地をどう来たのか、どう去っていくのか、それすら見ず下を向いたままここまで来た。
「もうすぐ着きます」
操縦席の人が声をかける。
父はそれに頷き、私の肩から手を離した。
「すぐには無理かもしれないが、二人の事は確認するから、大人しく待っていてくれ」
その言葉に私は頷き、外を見る。
知らない街の、知らない所。
例えここから出た処でどうせ何もできない。
私は用意された部屋で、また外には出ずに待つ。
父が帰ってくるのを。
そして、二人が無事だと聞く事を。
私ができる事は祈る事だけ。
怜、誠也…無事でいて…と。
今度の基地は第二からは遠く、迎撃システムが高いとの事で、第二よりも研究施設や武器庫が充実しているらしかった。
でも、そんな事を聞いても、私には関係ないと思った。
言われるまま、私は行動するしかない。
悔しいけれど。
着いた部屋は第二よりも広く綺麗だった。
キッチンやお風呂以外にも部屋が二つあり、父と一室ずつだという。
「あまり戻っては来れないけど…」
と、父が暗い顔をした。
「大丈夫だよ…お父さん」
そう返すと、父は部屋を出て行った。
私は独りぼっちだった。
1人は寂しいと、思う。
お母さんも一緒に居れたら良いのにと思う。
多分、私以外の…私よりも小さな子も、こんな状況の子も居るだろうし、なんなら私の方が良い環境に置かれていて…すごく贅沢な…気もする。
それでも、心にある寂しさはどうも埋まらない。
涙が出てくる。
止めどなく。
ポロポロと…。
ふと、誰かに見られている気がした。
辺りを見回したけれど、誰もいない。
監視の為のカメラでも付いているのかと、部屋を見回してみたけれど…そう言う事でもなさそうで、気の所為かもしれないと椅子に座る。
外は太陽も沈み切り…夜だった。
本当なら街灯やネオンで煌めいていた街は、疾の昔に赤い灯りが所々についているだけになっている。
平和な世界がいつか…来るのだろうか。
私はぼやけた赤い光を、眺めた。




