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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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83/200

A班 救助用機体5021 カイル隊員2-4

ライトが付くことを確かめ、飛び交う戦闘機に向かって「SOS」の合図を送る。

化け物と雨との間で、見えにくい事は分かっていた。

しかし「誰か、気が付いてくれ」と必死に祈る。

側に飛んでくる化け物と瓦礫を避けながら、何度、神とエリオットに願ったか、分からないくらいだ。


不意に戦闘機の一機が集団から離れた。

かくんっと操縦を誤ったかの様な動きで高度を下げる。

が、機体は地面に落ちずに、化け物達よりやや高い位置で止まり、こちらを向いた。

微かに見える機体ナンバー…NT…5510…アンドレアの機体だ。


俺は機体に向かって「5021」と送る。


「SOS…5021…」


助けてくれ、アンドレア…!


「SOS…5021…」


必死にカチカチとやる。

何か、合図を返してくれ…頼む。アンドレア。


「SOS…5021…SOS…」

「・―・」


返事が返って来た。


「・―・」

「あ…ああ…神様…エリオット…」


アンドレアからの返事は「了解」だった。

すぐさま、NT5510は俺達が居る大きな木に向かって飛んできた。


「滝中君…安心しろ。もうすぐ助けが来る」


腕の中の滝中君を見ると、さっきより顔色が悪かった。


「大丈夫か!しっかりしろ」

「だ…大丈夫です…」

「もう少しだからな。アンドレアが来るから」


力ないままだが、軽く頷いてくれた。意識はあるようだ。

しかし、俺に回した腕も、握りしめている手も未だ解けないのが不思議なくらい、体力も限界の様だ。

怪我の確認も、きちんとは出来ていない。

あの衝撃だ、どこか怪我をしていてもおかしくないのだ。


「アンドレア…頼む…速く…」


彼を抱え必死で祈る。

俺にはもう祈る事しかできない。


俺達の居る場所へ機体が近付き、真上でホバリングする。

梯子状になったロープが垂らされ、それを掴む寸前…化け物の腕が機体を殴った。

否、化け物も殴る気はなかったのだろう。

よく見るとアイツも息絶えていた。

ただ、化け物の身体が倒れた拍子に、運悪く機体に当たった。

…それだけで、機体は吹っ飛ばされ、木の上に落ちた。


梯子状のロープはヒラヒラと、俺の前から去ろうとしている。

「蜘蛛の糸」だって、こんな容易く希望を取り上げたりはしなかった。


…こんな…仕打ちが…有ってたまるか…。

滝中君を抱え、膝を着いた。

涙も出て来た。

滝中君…アンドレア…すまない。

心が折れそうだ。

エリオット…神様…。


ガサっ…ガサガサ…


何か音がした。

化け物の幼体が来たのか…?アイツらなら、木の間も入って来れる。

もう…終わりだ…。

そう、俺は覚悟を決め身を縮めた。


「すまない、カイル。多分、機体はダメだ」


枝やパラシュートの紐を外しながら、アンドレアが歩いて来た。


…あぁ…神様…エリオット…。

もう、口癖のように2人に感謝を述べ続けた。

「・―・」って文字で見ると何か…可愛い。

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