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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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82/200

A班 救助用機体5021 カイル隊員2-3

前回同様、化け物の足の間を走り抜け、木の陰に隠れる。

この場所から少し遠い、斜めのアスファルト。

あのアスファルトの陰に隠れ、走る前に足元の流れている体液に気が付いていたら…あんな死に方はしなかったはずだ。

だが「本当にそうか?」と疑問が浮かぶ。


今、木の下に居る分であまり感じないが、木から出れば土砂降りの雨だ。

姿を隠してくれると思ったが、体液を広げる要因にもなっているはずで、足元だけではなく広がる先にも目を向けないと、無駄ではないか。

それに…薄まって広がるという事は土に吸収されるのも、速くなるはず。

無暗に速く進めば良い訳じゃないと、思い至る。

ならば…今、アスファルトまで走り、息が整うまで様子を見てはどうか…と、考えた。


俺は身を隠しながら進んだ。

道中、足元の瓦礫や飛んでくる物に注意を払い、化け物達が俺達に気付いていない事、周りには幼体がいない事を確認して、アスファルトの陰に隠れる。


「滝中君、大丈夫か」


一度目と同じ言葉が出るが、自動再生ではないと思う。

この言葉は、素直に滝中君を心配しての言葉だ。


「はい…」


滝中君の腕の力を確認する。まだ抜けていない様だった。


「今で約半分って所だ、気をしっかり持っていてくれ」


少し息は上がっている。

前は「行けるはずだ」と思い、ここで出た。

だが、今回は大きく息を吸い…少し屈む。

しばらくすると化け物の体液が流れて来た。

俺が走り出ていたら、足を取られ囲まれていただろう。

内心ホッとする。


しかし、土に染み込むまでここで待っている訳にはいかない。

あの時、俺達の命を奪った化け物の体液が降ってくるはずだ。

それに破棄されたとは言え本館とドックを守る為、弾薬を出し惜しみはしないだろう。

隊の爆薬による火炎が、雨のおかげで広がっていないとしても安全ではない。

化け物の体液を避け、反対側に走る。

その直後、居た場所にも降って来た。危ない所だった。


少しずつ…少しずつ。

ドックに近付くにつれて、隊と化け物の交戦が状態が激しくなってくる。

幸い幼体は居なかった。

が、滝中君の腕はもはや限界に達しているのが分かった。

そして…俺の体力も限界に近い。


大きな木の根元に身を寄せる。

「どうにか助かりたい」そう思い、空を見る。

さっきよりも雨はマシになり、飛び交う戦闘機が見えた。

この上を飛ぶあの一機でも、こちらに気付いてくれないだろうか。と心底思う。

ドックまでは三分の一の距離までは来た。

その三分の一の距離が…キツイ。


ちらりと滝中君を見ると、心配そうな目で俺を見ていた。

めげそうな気持に蓋をして、気合を入れなおそうとして、腹に当たる固いものに気が付いた。

エリオットの鞄…その中に何かある。

俺はしゃがみ、鞄を腰から外し中を見ると小さいライトが有った。

これで隊の人間に「合図」が送れる。


心の中で、エリオットに感謝した。

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