アンドレア・エルフローレン5
薄紅色の玉の中の2人。
息絶えているのか、生きているのか分からない。
が、俺にはもう助ける気力も命も無かった。
Restrictionから逃げて来たのだろう。
建物が崩れた際に思い至っていれば、あるいは俺がもう少し早く気付いていれば…助ける事が出来たかもしれない。
このまま終わるのか…。
『お前は終わりだ』
あの声が聞こえる。
『お前が失敗したんだ』
その通りだ。
Restrictionに彼が居る事は知っていた。
でも、会いたくなかった。
怖かったんだ。
『弱虫の偽善者め』
「mission 失敗」
「mission 失敗…Continueしますか?」
「Continueしますか?」
「Continueしますか?」
頭に響いていた声とは違う、械的な女性の声が聞こえる。
戦闘開始時と終了時に聞くあの…。
「Continueしますか?」
Continueした所でどうなるって言うんだ。
また、繰り返すのか?
この惨劇を?もう嫌だね。
こりごりだ。どうせ誰も助からない。
「Continueしますか?」
俺に選択肢はないんだ。
YESかNOか選択するのは俺じゃない。
「Continueしますか?」
無理なんだ、選択をする時間はとうに過ぎた。
『本当はそう思っていないだろ』
「Continueしますか?」
『また失敗するのが怖いだけ』
「Continueしますか?」
『諦めて終わりにすればいい』
「Continueしますか?」
『バッドエンドも一つの終わりだ』
「Continueしますか?」
『戻らない選択も』
「Continueしますか?」
『お前の選択』
「Continueしますか?」
『誰も…には…逆らえない』
「Continueしますか?」
『お前が自由に…自由に…』
「Continueしますか?」
『戦闘…時の…だけ…』
「Continueしますか?」
二つの声が頭に流れる。
止めてくれ、もうたくさんだ。無理だ。しんどい。疲れた。色々並べようが、消える事のない声達…。
分かった。分かったから…。もう…。
「…select...A...2-3…start」
械的な女性の声が…誰かの声に答えた。
俺は強制的に巻き戻る。
選択権は無かった。
もちろん、拒否権も…。
そして…俺は医務室に向かう廊下に立っていた。
午前中の…空き時間。カイルと話す前に戻っていた。
『さぁ…狂ってしまえ』
誰かの声がした。




